猫又と青年
この小説の主人公は二人です。
最初の内は話の展開によっては視点が変わったりしますので、出来るだけ誰の視点かすぐに理解出来るように配慮するつもりですが、それでも読みにくかったら申し訳ありません。
正直なところ、オレは『変な人』である。
変な人ではあるが決して『変態』ではない。
あくまで他人より少し変わった人だ。
変な所、その1。
オレの名前は『猫又君彦』という。
幸い名字を理由にイジメられたことはなかったが、からかわれたり笑われたりするのはもう日常茶飯事である。
今ではすっかり慣れたということもあって、猫又という名字のせいで特に思い悩んだりとか、そういうのはなかったりする。
変な所、その2。
物心つく前から普通の人には見えないモノが見えたりする。
いわゆる『幽霊』とか『物の怪』……、そういった類のモノだ。
幼い頃から『そういうモノ』が普通に見えていたので、それが『死んだ者』だという自覚が子供の頃にはなかったのだ。
生きている者と死んでいる者の区別がつかず、どうして他の人には見えないのか幼い頃には不思議に思っていた。
今となってはそういう区別は一応ついてるので、出来るだけ見ないように……見えないフリをしようと試みる。
しかし、幽霊というものは随分と自己顕示欲が強かったりした。
誰もが幽霊となった自分に目もくれない中、自分のことが見えている、存在を認識しているとバレたからさぁ大変。
こぞって自分の存在をアピールしてくる幽霊達に、毎日ストーキングされる始末。
おかげで幽霊が見えない回りの人達は、まとわりつく幽霊を払いのけているオレの姿を見て、『危ない高校生』だと認識されてしまったのだ。
正直、猫又なんて名字でほんの少しだけ悩んでいた昔の自分がバカらしくなってくる。
だがしかし……!
オレには『その2』をも上回る、もっと迷惑極まりない変な所があるのだ!
ぶっちゃけこいつに比べたら『頭のおかしい危ない青年』だと思われる方が、どんだけマシか……っ!
『なぁ~にをさっきからぶつくさ言ってんだよ、君彦』
無視だ、むしムシ無視!
『おい、君彦ってばよぅ……返事位しろよなぁ』
馴れ馴れしく話しかけるな!
猫なで声出したって無駄だ、オレには通用しないからな!
『……おっ、あそこに見えるは愛しの黒依じゃねぇか?』
「なぁにぃ~!? 黒依ちゃん!? どこだよどこだどこだ、カワイイ黒依ちゃ~んっ!!」
――ハッ!
……オレの、バカ。
『ほんっと、お前は可愛いやつだよ……』
うるさい、オレの頭にまとわりつくな!
あっ、バカ! カバンを持ち上げるな、通行人が見たらどうすんだよ!
……そう。
オレの頭に、脇腹に、足元にまとわりつくぽっちゃりとしたこのアメショーもどき。
尻尾が2本……、つまり二又の尾を持ったこの猫。
何かの冗談か、シャレのつもりか? 座布団やれねぇぞこのレベルじゃ。
そう……オレこと猫又君彦は、どういうわけか『猫又』という物の怪に取り憑かれているのだ!
『けけっ、いいじゃねぇか……。一人っ子のお前にゃ、オレ様みたいな愛玩動物は心の癒しだろ?』
うるさい、黙れ、普通の猫ならまだしも小生意気な言動が目立つお前なんぞ願い下げだ!
黒髪のショートヘアにメガネ、背格好は至って普通の平々凡々、趣味は料理と……どこからどう見ても世間で言う『草食男子』な猫又君彦。
見た目はアメリカンショートヘアだが、本人(本猫か?)曰く血統書付きだと言い張る、雑種の『猫又』との奇妙な共同生活。
この数分後、君彦はある女子高生と出会うことになる。
果たして猫又に悩まされる君彦に、幸せは訪れるのか……?
見切り発車のように始めてしまったこの小説。
他にも連載を多数抱えていますが「思い付いたら即執筆!」といういい加減な作者ですがどうぞ読んであげてください。