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第二楽章♬ 「届け」


う、う~ん……


ここはどこだ?


異世界に転生され目を覚ますと、そこには高い木々と青空が広がっていた。


「よいしょっ……と」


トンッ


とりあえず周囲の状況を確認してみようと体を起こすと、手に何かがあたった感触がする。

その方向を見てみると、


「あ!? 俺のバイオリンじゃないか!?」


俺が子供の頃に父さんにもらった時から大事にしている、相棒のバイオリンと弓がそこにはあった。


「お前もこっちにこれたんだな!」


あまりの嬉しさ声が漏れ、バイオリンを抱える。


もう40年ほどこのバイオリンと人生を共にしてきたので、これなしの生活は考えられない、それに俺はこのバイオリンがあってこそ、最大限の力で演奏できるのだ。


「おっと……少しはしゃぎすぎたな」


俺は背筋を伸ばしスーツの襟を整えて気持ちを落ち着かせる。


……って、俺コンサート用のスーツとシューズじゃん! 服が同じだから自然と演奏をする前のルーティーンをしてしまったようだ、この服装じゃ相当動きにくいぞ…


まあ、服があるだけマシだってことで、でとりあえず周囲の状況を確認してみる。


辺り一面には木、木、木……そして少し先に幅5mほどの川が流れているのが見える。


確認はできたが、それでまず俺はどうするべきなんだ?


とりあえずライフラインの確保が先決か、死んだらまた演奏することも人を喜ばせるとこもできないからな、せっかく与えられたチャンスを無駄にするわけにはいかない。


まずはあっちにあった川に沿って少し探索してみよう、もしかしたら村や町があるかもしれない。


歩き始めて10分後


「あ!」


人だ、人が見える! たくさんの荷物を載せた馬車に乗っている、商人のような風貌の男性が川を越えた更に奥にいる。


「おーい!おーい!」


俺はバイオリンと弓を持っていない右手で精いっぱい腕を振って呼んだが、声が届いていなく、向こうはこちらに気づいていないようだ。


あいにく川を渡ろうにも、成人男性一人が浸かるぐらい深いので、バイオリンを持っている俺が泳いで渡るのはリスクが高い、どうしたものか……あっ


「俺にはこれがあるじゃないか!」


左手にある相棒を見て俺は笑みを浮かべる。



両足を肩幅に広げ、襟を正し気持ちを整える


次に左肩にバイオリンをのせ、あごと左手でしっかりと支える


ネック部分を持ちながら脇を軽く開き、弓を構える


最後に目を瞑り、ふぅーっ、と深呼吸をして準備完了だ


何万回も繰り返してきた操作だ、異世界でもスムーズにできる


「遠くでも耳に届くように、音の抜ける高めの響くような音で、ただ単に伸ばす音だと環境音だと判断されて気づかない可能性もあるからメロディーも……」


俺は弓を自分の指先のように扱い、旋律を紡いでいく


木々の間を通り抜ける風のように、空を駆ける鳥のように、俺のメロディーは空を切り裂く


川のせせらぎ、風の音、鳥の鳴き声、そのすべてが一体となり、まるで一つの音楽団とも思えるようだった


太陽の眩しい光が葉の間から差し込むので、まるでスポットライトが自分にあたっているような気持ちで演奏することができた


届け、と俺は心の中で想う


そう心の中で想うことでバイオリンの音は人の心に届くんだ


この距離ならなおさら、届けたい人を意識しながら弾かなくてはならない


そして、転生して始めての演奏だから、俺の中には様々な感情が入り混じっていた


恐怖、期待、不安、興奮、嘆き、喜び……


様々な感情が入り混じるこの演奏は、ただの美しい音色ではなく、高く積み上げた積み木のような不安定な面を持っている


だが、こんな演奏は当たり前だ


人に聴かせるのに、一点集中で弾く方が難しいだろう


だから、せめて心づもりだけは、一点に絞って


「届け」


これだけ考える


演奏を始めて少し経ち、川の向こうにいる男性がこちらに気が付いたようで、馬車を下りてこちらに向かってきた


一人、二人、三人……ぞろぞろ奥から人がやってくる


……あれ?やけに人数が多くないか?


ざっと数えて15人はいそうだ……!?俺は驚いたが、とりあえず気づいてくれたので演奏を終了した



「なんだ今の演奏!?」


「誰がこんな素晴らしい演奏を!?」


「続きを聞かせてくれ!!」


どうやら俺の演奏が割と遠くまで聴こえていたらしく、感銘を受けた人たちがたくさん集まってきたようだった。


パチパチパチパチ!!


大きな拍手が俺に浴びせられる、転生前のことを思い出し、少し苦しくもあるが嬉しくもあった。


「おい! お前名前はなんて言うんだ? そんで、こんな森の中でそんな恰好してどうしたんだ?……こんなにすげぇ演奏もするしよぉ……」


最初に見た商人らしき男が話しかけてきた。


すっかり目的を忘れコンサート終わりのような気持ちに浸っていたが、ハッと目を覚まし答える。


「俺は水野徹みずの とおるです! プロの演奏家を行っています!」


「ミズノトオル……? ずいぶん珍しい名前してるんだな、俺の名前はアルデン! この先にある村で商人をやってるんだ。そんでもって演奏家……? そりゃすげぇな! 川を挟んで話すのもあれだし近くで詳しく話がしてぇ! あっちに橋があるから俺についてこい!」


水野徹が珍しい名前……? それにアルデンという名前、もしかして異世界では現代の日本人のような名前じゃないのか……名前について自己紹介をする度に何か言われては面倒だし、これからは「トオル」と名乗るか。


アルデンさんの言葉に肯定を返した俺は、異世界に来てから初めての人間との会話に期待するのであった……

【♪-皆様にお知らせ-♪】


ご来場された皆様、ここまで聴いていただき誠にありがとうございます。

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