表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

第十話 俺と一緒に寝たいって!?


「ネーシャ!」


扉を開けるとそこには、どこか緊張しているような、気まずいような雰囲気の、ネーシャが立っていた。


髪を下げていて、活発さの象徴だったポニーテールではなくなっている、それに伴って少し静かな印象を受ける。


「どうしたんだ、ネーシャ?」


「ちょっと話したいことがあって……。」


話したいこと? 分からないが、とりあえず外で話すのはアレだな。


「分かった、立ち話もあれだし中に入ろう」


「あ、ありがと……。」


俺がベットに座ると、ネーシャも俺の隣に座る。


ネーシャは俯いたままで、なかなか話を切り出せない様子だった。なら、湖で話し出せなかった分ここは俺から話そう。


「ネーシャ、君と演奏するのは本当に楽しかった。今まで様々な人と組んで演奏してきたが、ここまでの感動は初めてだ。本当に君の演奏は素晴らしかった、事実俺は涙を流しながら演奏をしていたんだ、ありがとうネーシャ。」


「ありがとう……私も今までで一番楽しかった! それに私の演奏が素晴らしいなんて、そんな……」


ネーシャは照れながら話しつつも、顔はどこか曇ったような様子だった。


「それで、あなたに会いに来た理由なんだけど……」


顔を上げ、何かを決心した目でこちらを見て話す。


「ごめんなさい! あなたは何も悪くないのに、最初から不機嫌な態度したり、わざわざコンサートを中断してまで心配して追いかけてきてくれたのに怒って色々言っちゃたり……! 本当にごめんなさい、関わるなと言われたら関わらないし、土下座しろと言われたらするし……」


突然頭を下げてそんなことを言うものだから、俺は動揺してしまう。


「ちょ、ちょっと! そんなこと頼まないよ! これからも関わりたいし、土下座もさせないよ」


なるほど、さっきからの陰りが見える表情はこういうことだったか。


「俺はなんとも思ってないし、人なんだからミスをすることもある、何も気にしなくていい」


「ほんと……? 許してくれるの……?」


「ああ、ネーシャの本当の思いが知れて良かった。それに、俺も無頓着だった、本当に申し訳ない。」


「あ、ありがとう」


少しほっと安堵したような表情を見せるネーシャ……だが、本当に問題なのはこれからだ。


お父さんのこと、お母さんのこと、バイオリンのこと、村のこと……何一つ解決はしていない、このまま放っていてもまた、悲しみのある生活に戻るだけだろう。


今この場で話をすべきだろうか? いや、今はダメだ。ただでさえ感情が色々と入り混じっているのにこの話をしても混乱するだけだし、何よりこの空気を壊したくない。


「ネーシャ、疲れてるだろうからもう家に帰って寝……」


「今夜は……一緒に寝てくれませんか?」


まずは寝て回復するのが先だ、そう考えて優しい声色で発言したのだが……今なんて言った?


「今、なんて……? 」


「嫌だったら全然いいんですけど、今日一緒に寝てくれないかなって……」


聞き間違えじゃなかったぁ! 聞き間違えであってほしかったなぁ……だって俺もう35歳だぞ? なのにこんな高校生くらいの子と寝るなんて、いくらなんでも許される行為じゃない。


落ち着け……まずは落ち着いてまずは理由を聞こう。


「どうしてそう思ったんだ?」


俺はあくまで大人としての威厳を守るため、平静を装って質問する。


「一回言ったと思うけど、私お父さんもお母さんもいなくて……それで毎日家に一人で寝てるの。でも、あなたの演奏を見たとき、お父さんにそっくりだと思ったんだ。それからあなたにお父さんを重ねっちゃって、また昔のようにお父さんと寝たいな……って、ダメかな?」


上目遣いで優しくねだってくるネーシャだが……それでも良くないだろ、誰かに見つかっても問題になる予感しかしないしな。


「もう10年もお父さんと離れ離れで、一日だけ、今日だけでいいから……」


「……分かった、今日だけだぞ」


ネーシャの気持ちを考えるとここまで言われてダメだとは言えなかった、これも人助けだと思って受け入れることにしよう。


「ありがとう! お父さん!」


顔がパッと明るくなり、今日一の笑顔になる。


「お父さんはやめろ!」


気恥ずかしくてこんなことを言ったが、こっちを見るネーシャの眩しい笑顔に俺はお父さん呼びを許可せざるを得なかった……

【♪-皆様にお知らせ-♪】


ご来場された皆様、ここまで聴いていただき誠にありがとうございます。

少しでもこのコンサートが面白い、続きが聴きたいと思いましたら


広告下にある↓

『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』

の【☆☆☆☆☆】を押して、【★★★★★】に評価お願いします!


★1でもモチベーションになります、ブックマークも合わせてぜひよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ