サイボーグ対ハーフボーグ
初恋をした。
澄んだ瞳に魅かれて、あの気品さに目を奪われた中2の僕はそんな彼女に帰り道、公園で告白をした。
オーケーと言われた時は泣いちゃって、反射的に空に顔を向けて涙を堪えた。
そんな時自然は祝福をしてくれるかのよう
に満天の青空に桜の花びらを散らしてくれた。
それから10年僕は彼女と結婚した。
しかしその時自然は祝福をあげてはくれなかった、青空は灰色に淀み、桜は全て煤になった。
ただ、そんな中でも結婚式を挙げることができた奇跡にただ涙を流した。
ーーー
この世界が変わってしまったのは5年前、ある科学者が残したサイボーグにまつわる研究資料が見つかった時。
その科学者は生前こう言い残した。
「私の作った発明品を人間に使うなら私は人類を憎み嫉みこの世界を変えるだろう」
この言葉は、全世界にニュースを通じ届いた。
ある別の科学者やジャーナリストは、この言葉を中傷しこう言った。
「この科学者はなにも功績を残してはいない、その上そんな大きい発明は一切していない」
「負け惜しみか?」
世界はこの科学者を軽蔑した。
しかしその評価が変わったのがその一冊の資料である。
どの科学者も辿り着けなかった人間の脳波の解読と、コンピュータとの接続方法や人の作り方などが記されており世界は驚愕した。
そして世界の人間たちと科学者たちはその言葉を一度は信じた。
しかし、科学者たちはその発明を人間に使った
その科学者たちのリーダーは最後にこう言い残してリーダーの座を降りた。
「甘く見ていた」と
それから現在まで、サイボーグの研究は続けられると同時に世界は大きく発展していった。
そして今この世界のトップは初代の研究チームの副リーダーを務めていた男だ。
そいつは18歳以上の人間には脳にチップを埋めるという法律を作ったのだ。
その功績は大きく、能率を常に100%にすることで効率的に生産を行える人間を作るというものだった。
ただ、最初からハイレベルなIQを持っているものを除いて。
その科学者曰く、ハイレベルな奴はそれだけで新しいアイデアを生み出してくれるというのが理由だそうだ。
ただ副作用もありそれは感情の死滅だ、人間が人間でなくなるということである。
そんなことも知らずに18になるとIQ検査をさせられ不合格だと埋められるそんなの信じられない。
僕は反対だ。
そこからかな僕が研究所に勤めることを決意したのは。
なぜこんなことを知っているのかは、僕の父親が初代リーダーだからです。
だから、僕の彼女と僕自身にはチップは埋めないようにとお願いをしIQテストに細工をしてもらった。
だからこそ結婚ができたのだ。
ーーー
結婚してから3年あれから子供が生まれた。
僕は研究所に勤めながらチップの副作用をなくす研究を行っていた。
まだこんなことを続けている上への憎悪を感じながらも子供と妻と感情があるこの生活がとても大好きで幸せだった。
ただそんな日々も長くは続かず………
ある日チップを埋めにきた18歳の子が暴れ出し研究所内で複数人が負傷する事故が起きた。
その子はすでに体のいくつかの筋肉をサイボーグ製のものに変えており力が人間の3倍あったらしい、そしてその被害を僕も受けてしまった
病室で目を覚ますと、目の前には妻がいた。
目にクマができ、頬もやつれていた、私の知っている妻ではないようなそんな気がするくらい何かが大きく変わっていた。
体を起こそうとした瞬間違和感に気づいた。
体に感覚がない???
その瞬間扉から、僕の知っている顔が入ってきた。
そう、同僚の研究者であった。
そいつから話を聞いた。
どうやら僕はサイボーグになったらしいんだ。
下半身と顔の半分、脳の半分、腕の半分が。
そして5年間眠っていたそうだ。
そう言われたがあまりピンと来なかった。
そうしていると妻が泣きながら僕に抱きついた
けど抱きしめる気持ちが湧いてこない。
再会を喜べないのか?
扉がまた開いた。
入ってきたのは僕の子供だった。
大きくなっていた。けど、なにも感じない。
成長を見れなくて悲しくないのか?
「なにも感じない」
言葉が出てしまった。
その時大粒の涙が片目からこぼれ落ちた。
ーーー
目覚めて数日が経った。
どうやら僕の脳にはチップが埋め込まれたらしい、体を動かすためだ。
ただ、従来品ではなく、僕たちが研究していた感情を感じるチップだという。
しかしそのチップも試作品のためあまり作用しなかった。
ただ涙が出たってことは少しは効果があるよな
そう思うことにする。
そして、世界の総人口の半分がサイボーグにされたらしい
そして、サイボーグ軍も発足して
そのサイボーグたちの親玉が、元福リーダーの奴らしく、そいつがここに会いに来るのだという。
それが今日だ。
今日は妻と子供も来る。
頭以外の部分は奴らが修復したと聞いて流石にお礼の一つも言わないのはいくらカスだからと言ってそれはないと思い家族で会う事にした。
家族が合流し、今度美味しいものでも食べに行こうとそんな話をしていた時、扉が開く。
副リーダーだ。
ん?複数人、いや複数のサイボーグを連れてきているがなんだろう。
そう思った瞬間銃を向けられた。
「お前は今日からこの軍隊の副リーダーであり
即戦力である!!!!!」
「はぁ?」
「命令に従わなければチップを操作する」
「待て話が読み込めない」
やばいなんだこれ、どうにかして守らなきゃ
「お前の体には戦車並みのいや軍艦以上の兵器を搭載しただからこの戦争で役立ってもらうぞ」
「はぁ?戦争なんてしたくないんですけどぉ」
「ならばチップ操作で・・・あ?」
チップが操作できないため混乱しているらしい
今だ!
妻と子供を連れて病室から窓を破り逃げた。
これから人間の存続をかけた争いが始まる。
ーーー
はぁ……
しつこいんだよサイボーグ……
周りにはサイボーグの残骸の山何人殺したか
オイルで僕の手がぐちゃぐちゃだ。
人間の方の皮膚がもう限界を迎えている
オイルをサイボーグの体の方に入れまた戦う
絶対に家族を守る。
それから500体ほどのサイボーグをヤった
中にはこの手でチップを埋めた被験者の18歳もいて最悪だ。
今日はこれでおしまいか?
「帰るか・・・」
家に帰ると妻と子供が寝ていた。
あぁ嬉しいと思いたかったな




