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闘争

カルシュが少女に問う


「君は撃てる?バイクを囮にして、星間アーマーを」


「ええ、撃てますけど、あなた方の方のほうが精度がいいんじゃ……」


 ロジーが割って入る。


「いえ……ご主人様は……その武器は、トラウマなんです」


「拳銃が?……?」


 


 一方外では星間アーマーがしびれを切らして、地面をたたく。


「クルゥウ!!」


 そちらにに向き直る一向。カルシュに逃げられ、いら立ったのか星間アーマーが右手をのばし、折りたたんでいた鎌のような部分を露出させる。そして弓なりにしならせると、思い切り巨岩にむけて打ち付けた!。


「クルゥグルゥウアアアア!!」


《ドスッドスッ、ドガッ!!》


 その音は岩穴全体をゆらし、岩穴内部にキィンキィンと鈍くも高い響く音をひびかせた。


 


 ロジーとカルシュが段取りを急ぐ。


「時間がない!ご主人様、やりましょう」


「じゃあ合図をしてくれ」


 少女が拳銃を構える叫ぶ。


「はい、用意します!フゥー……」


 皆の注目がバイクに集まる。集中するロジー、集中する地元の少女、そして胸元に手を当てて後方でそなえるカルシュ。そしてロジーが叫んだ。


「今です!!」


 勢いよく叫び、カルシュの手の中でロジーのワンピースと髪がゆれた。その瞬間、後方で鈍い音がした。バイクにエンジンがかかる。


《グゥングゥングゥングゥン……》


「クルゥ?」


 振り返る星間アーマー。




皆が息をのみ、皆の視線がバイクに集まったその時だった。カルシュが叫んだ。


「撃っ……」


 その時、異変はおきた。


《ブブゥウフウフフフ……ブフゥッ、フッ、ブフ……》


 巨大ななさけない音がして、やがてバイクが音をとめた。




 しばしの静寂ロジーが口火をきった。


「……信号が……とまりました、いくら送っても受信しません……通信端末の不具合です……」


 ぼーっとロジーを見るカルシュ。


「ロ、ロジー!!肝心なときにポンコツだな!」


「そ、そんなにいわなくても!!」


 


 少女が二人の顔色をうかがうチグハグな状態。


「あ、あのー……どうしましょう」


 ロジーがカルシュの代わりに応えた。


「うーん、そうですねえ、ほかにもホログラムを出す端末がありますから、それをなげて注意を引くとか、私が囮になるとか、スモークで乗り切るとかいろいろありますが、でもスモークは金欠で量に少々不安が……アッ……」


 そのときだった、カルシュが立ち上がる。


「俺が囮になろう」


「!?」


 カルシュは、優しく少女にいった。


「その前に、君、名前を教えてくれないか?」


「私……サトナといいます」


 


「うおおおおおお!!!」


 カルシュはバイクの方を向いている、星間アーマーに、石ころをひろい、投げつけた。


「くるならこい!!お前ごときにやられるか!オンボロが!」


 星間アーマーは、ふと止まったかと思うと、急に声を張り上げた。


「クルゥウウオオオッ!!!!」


「はっ!初期型も多少の“感情プログラム”をもっているというのは本当らしいな、こいよ、不良品!」


「クゥィイオオルルゥ!!!」


 星間アーマーは四足歩行状態になり、かつ胸元のアーマーも使って6足、昆虫のような状態で勢いをつけてカルシュを追いかけ始めた。カルシュも負けじと全速力で走りだす。


「頼むぞ!!ロジー」




 一方サトナとロジーはカルシュが囮になっている間に準備をし、バイクのエンジンをかけた。


「ドゥルルルル」


 そしてバイクは発車する。




 バイクがしばらく走ると、地平線のように砂漠が途切れている場所があった。その先は、草木が生い茂る、砂ばかりとは違う、のどかな野原と小さな山々が広がっていた。ロジーは始終無言だった。ロジーに尋ねられると、ご主人様が負けるわけがない、と気丈に笑った。やがて彼女らは、村らしきもののはずれにたどりついた。




 その頃カルシュは、星間アーマーにおいつかれ、フェイントをしたり、ボディの上にのったり、逃げ一方で立ち回る。


「クルル!!!!!」


 星間アーマーが右腕をふりかざしてカルシュの腹部めがけて振り下ろす、カルシュは簡単によけた、とおもいきや、その避けた先にもう左手が下からふりあげられていた。


「しまっ……」


 よけられないとおもった。急所を何とか外す以外の方法はおもいつかない、その瞬間。彼の地獄耳は、どこかで誰かの笑い声を聞いた気がした。


「フン……」


“バチュン……”


 敵の鎌の軌道がずれ、カルシュは余裕で交わした。その瞬間、カルシュは自分の直ぐ下に、今撃たれた弾丸が落ちているのに気づいた。拾い上げる。ピンク色の兎の絵のついた弾丸。


(間違いない、あいつだ……)


 それに気づいたカルシュはふとえみを浮かべると、星間アーマーを思い切り蹴とばした。そして胸ポケットからある注射器を取り出した。


“アエラス・ナノマシン”


通称アエラスNM、新興企業“MIGERU”が開発した、科学魔法を使えない人間用に用意されたドラッグで、一定時間、身体能力を向上させ、身体への疲れ、ダメージを抑制する。


カルシュは叫んだ。


「来いよ!!!ゴキブリ!!」


「クルオオオオオ!!!」


 星間アーマーは、カルシュの足を切り裂いた。かにおもえたが、カルシュの両足は鋼鉄のように硬かった。というよりそれそのもの、彼は、半身がサイボーグだったのだ。



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