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一章 エピローグ

 カルシュが、最後にトリガーに手をかけた時に見えたあるもの。それは、巨大な触手の踏みつけられている哀れな男―アンドロイドのリーダー“エス”―だった。その男の哀れな姿をみて、助けなければと思った瞬間、頭は光速回転をはじめた。そうだ。カルシュは長い事自分を、闇の中に放り込んできた。星間ギルドの組合から脱退したのもそう、くだらない任務ばかり受けているのもそう。自分を苦しい立場に追い込んでまで人を助けるのもそう。




そうだ。―まだ、キネクを救う方法があったんじゃないか、その心を救う方法が―


それを考えるたびに、彼は、生きようと思って、危機を乗り越えてきたのだった。




 そんな事をぼんやりと連想しているうちに、首ににぶい痛みを感じた。するとまぶたから光が差し込み声がきこえる。


「人体蘇生ですよ、オーバーライドさえすれば、人体蘇生ができます」


聞き覚えのない声


「嘘でしょ!!?」


驚くミユナの声。


「古代兵器のほとんどは、人間の葛藤と、それをオーバーライドした時の働きで稼働します、古代兵器の鍵は“人間の心”なんです、それが、強力な兵器や強力な科学技術を制御する唯一の方法だったから……」


「う……」


 カルシュは、体を起こす。見覚えのある景色、ここはあのラウル村だ。


「み、皆……」


 無理に体をおこそうとすると、ミユナがとめた。


「無理に動かないで、あなたもう一週間ねてたんだから、幸い大した怪我じゃなくてよかった、あの星間アーマー死に際にあんたのほうにかけていくもんだから、急いで打ち抜いたけど、ごめん、守り切れなかったね」


「そん……な事は……」


 カルシュはミユナに注意を任せ隙を作るために犠牲にしようとしてしまったことに胸を痛めた。


「そ、それより、人体蘇生って……」


 机の上に、件の古代兵器、拳銃があった。


「できますよ」


 銃口をこちらに向けて、こたえた。


「夢じゃなかったのか……」


「ええ、オーバーライドすればね、なにより、いったじゃないですか“カルシュ、あなたの願いをかなえる”と」


 カルシュは脱力した、ふと、涙がこぼれる。


「それじゃあ、謝れるかもしれない……彼女に、生きる意味が、できた……」




 それからしばらくして、ミユナとカルシュ、古代兵器ドルス、ロジーはその場を一時離れることに、ギミラは置き去りに、いったんギルドへたちよる。なんだかんだカルシュの首の怪我が治るまで、一か月ほどそこにいた。




 カルシュは、小さな墓の前で、手を合わせていた。


「守れなくて、ごめん……」


 そして一言を添えた。


「人の夢を守れるくらい、強くなるから」


 やがて、ミユナから声がかかると、一向はミユナの銀色の宇宙船船にのりこみ、その星を脱出するのだった。

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