表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/18

長老

 カルシュが、ミユナをと村人たちを無事に連れ帰ると、長老は一向を長老の家にまねき、いやにニコニコした顔をして出迎えてくれた。


「君は、本当におひとよしだな……」


「いや、もともとは、俺を助けてくれたし、村の人たちを巻き込んでしまってすまない」


「いや、いいのじゃよ、ホラ、星間アーマーや盗賊をやっつけてくれたじゃろ」


「……ああ、でも一時のことかもしれない、またいつ襲われるかわからない、一時しのぎかも」


「いいのじゃよ」


 長老はにこにこと笑みを浮かべる、不自然なほどに。


「ところで……これは頼みではなく、お前さんだからこそ、ある提案があるのじゃが」


 ミユナが、カルシュの横にいてカルシュの服の裾をにぎる。


「ねえ、やめた方がいいと思うの、これから何をいわれても、すぐにこの星を離れるべきよ」


「え?なんで?」


「勘」


「……勘って、そんなものどうやって信用すれば」


 ひそひそ話を続けているうちも、長老は話をつづけた。


「“この星の宝”お前さんなら、見つけられるかもしれん、カルシュ」


 瞬間長老は、そのしわくちゃな目をかっとみひらいて、すんと、真顔になったのだった。




 その夜、カルシュは部屋でねむっていたが、妙な気配を感じ、目を覚ます。すると目の前に、ミユナの顔があった。


「ミユナ!!どうしてこの部屋で、別の部屋をあてがわれているだろ!」


「いいじゃない、けちくさいこといわないで」


「……」


「何?黙っちゃって」


「何のようだ?」


 にやにやとするミユナ、しかし、一瞬まがおになった。


「本当に帰らないつもりなの?この先、何があるかわからないわ」


「いや、俺の勝手だろう?」


「いいえ、あなたは私のものよ」


 カルシュの上にまたがるミユナ、そして続けた。


「あなたと私は同じ星で、同じ孤児院で生活していた、私は元シスター、そしてあなたは、孤児、隠れて冒険者をしていたけれど、でもあの頃からあなたの頃はねらっていた」


「世話になったと思ってるよ」


「あたしは長命種だから色々しっているわ」


 そういってミユナは耳をかきわける、そのみみは上が若干とがっていた。ミユナが突然そのおでこを、カルシュのおでこにあてた。


「お願い、危険な事をしないで、私に、お姉さんにまかせれば、安全に冒険させてあげるから」


 カルシュは真顔で沈黙した。そしていった。


「この村の人たちを放っておけない、それに、彼女……サトナは、“あいつ”ににている」


 そういった瞬間、ミユナは唇をかんで、起き上がって、肌着の上のベッドの上にぬいでいたシャツをきて、そそくさと部屋を出る準備をし始めた。


「警告はしたわよ」


「わかっている、自分で責任をとるよ」


「どうだか」


 その言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、その部屋のドアが閉じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ