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第67話 「…ふざけてるんですか?」

 カナちゃんの元にベロちゃんが帰って来た。

 なんとナイスさんが八塚組の事務所へ入り込み、助け出したみたいだ。

 しかしそれと入れ替わるように黒金君は暴力団に捕まってしまい、現在行方不明の状態にあった。


「誘拐と殺人容疑。警察に頼んで既に八塚組を捕らえる準備は出来ているけど、行方が知れないんだ…」


 そんな中、私とナインちゃんはビッグ探偵事務所に来ていた。

 ナイスさんには黒金君を捜す依頼をしたけど、まだ見つかってない。


「心配ネー早ク見ツケナイトネー」

「そもそも…あなたが黒金君を巻き込んだから──」

「やめなよユッキー!二人が頑張ったからベロちゃんは取り戻せたんでしょ?」


 巻き込まれたくなくて逃げてしまったけど、本当はあの時に止めておけば良かったんだ。


「その通りやな。灯沢ちゃんの言う通りや。功を焦ってもうた。ホンマすまん」

「…ふざけてるんですか?」


 ナイスさんが喋り方を急にエセ関西弁に切り替えた。本当に反省しているのだろうか。


「これがマジのアタシや。名前は凧矢(たこや)京子(きょうこ)。ナイス・ボディなんてふざけた名前は偽名や」

「もう結構です。後は警察に任せます。行こうナインちゃん」

「待ってくれ!絶対に黒金君は見つけてみせっから!」

「…信じて良いんですか?」

「ホンマや。父ちゃんの名に懸けて…黒金君を助けてみせる」

「……………もしかしてあなたって(たけし)の娘?」

「そうや。アタシの親父は3兆円事件の謎を解いた凧矢健や」


 3兆円事件とは私が小学生の頃、世界を騒がせた大事件だ。確か凧矢健っていう探偵の名推理によって犯人逮捕から犯罪組織の壊滅まで起きたって聞いてたけど…


「関西に事務所あってんねんけどな、どういうわけか親父はエセ関西弁で仕事をやってたねん。それを聴いて育ったアタシは当然エセ関西弁しか喋れんわけ。だからイジメられて最悪やった。アタシはな、そいつら見返すために探偵になって大事件解決したいねん」

「長々と語っておいて3兆円事件関係ないじゃん!お父さんに憧れて探偵なったとかじゃないの!?」

「あるかボケ。あいつがまともな関西弁喋ってればこうなっとらんわ」


 ピピピ、ピピピ、ピピピ


 テーブルに置いてあったスマホから音がなり、どこかの地図が表示された。


「黒金君に仕込んでおいたマーカーが作動したみたいやな」

「マーカー!?そんな物を!?」

「様々なケースを想定して行動するのが探偵や。ほな、助けに行くで」


 私達は黒金君がいるという廃工場へ向かった。




 工場の中では宙釣りになった黒金君が尋問を受けていた。


「見ツケタデース!」

「仕事中はそのキャラなんですね…それより早く助けないと。ナインちゃん、魔法お願い」

「分かった…えいっ!」


 ナインちゃんが杖を振ると、中にいた男たちが次々と倒れていき、黒金君を助けるチャンスが出来た。


「光太!大丈夫!?」

「まだだ…まだ一人いる…」


「俺達をコソコソ嗅ぎ回っていたのはお前らだったのか!」

「しまった!喰らえ!」

「おっと何もするな!俺がこのリモコンのスイッチを押せば、この工場から半径1kmはドカン!吹き飛ぶぞ…」


 工場の中を見渡すと、爆弾のような物がたくさん置いてあった。


「俺は八塚組の組長八塚太郎(たろう)だ。俺は今、愛犬のドロシーが奪われて無性に機嫌が悪い!」

「ベロちゃんはカナちゃんのペットだ!奪ったのはあなた達でしょ!」

「やっっっっぱりお前らだったのか!許さない!俺のドロシーを返せ!」


 なんて自分勝手なやつだ…けどあのリモコンをどうにかしないと、ナインちゃんも魔法を撃てない!


「そこの金髪…」

「私デスカー?」

「良い身体してるな…脱げよ…脱げよおおおおおお!?」


 男は叫び狂った。いつ爆弾のスイッチを押してもおかしくない。こうなったら一か八か、ナインちゃんが攻撃するしか…


「ワカッタ、スグ脱グネ…エロアルヨ」

「そんな…ナイスさん!」


 ナイスさんは服を脱ぎ始めた。


 ポロッ


 シャツを脱いだ途端、ブラジャーから何かが落ちた。


 あれは…偽乳!シリコンバスト!


「真実は毎度一つや!」


 地面に触れる直前、ナイスさんはシリコンバストを蹴り飛ばした!飛んでいった偽乳は男の手に命中し、握っていたリモコンを破壊した。


「それはシリコンバスト型犯人鎮圧決戦兵器や」

「いっけえええええ!」


 そしてナインちゃんが杖を振ると、他の男たちと同じように組長もバタリと倒れた。


「これは杖型麻酔銃魔法の杖だよ」

「組長がやられた!逃げろおおお!」


 まだ仲間がいる!このままだと逃げられてしまう!


「そしてこっちはシリコンバスト型犯人追撃手裏剣や」

「いっけえええええ!」


 もう片方の偽乳をもらったナインちゃんが、走り去ろうとする車に向かって投げた。

 するとシリコンバストから手裏剣へと変形、さらに分身し、タイヤを全てパンクさせてしまった。


「2つで1組のおっぱいや」

「凄いなー!あれ僕も欲しい!」


 その後、駆け付けた警察隊に八塚組の人間は逮捕された。


「ありがとうございました、ナイスさん」

「マタ困ッタラ相談シニオイーデ!グッバイビー!」


 こうして事件は幕を閉じた…


 あれ…迷子の犬探ししてたんだよね私?なんでこんな事になったんだけっけ?


 まあいいや。それにしても今日は土曜日だ。早く帰ってアニメのリアタイしないと…

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