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サキュバスのナイン・パロルート  作者: 仲居雅人
アドバンスセブンス
272/313

これまでのアドバンスセブンス/第40.5話 監視組

 アドバンスセブンス。これはおよそ1年前に発売されたVRMMOでありながら、今でも売れている大ヒットゲームソフトのタイトルである。

 ナインはある日、光太と共に電気屋を訪れた。その店のゲームが売っているフロアで異様な力を感じたナインはそれを辿ってアドバンスセブンスの体験版がプレイできるコーナーへ。ヘッドギアから湧き出る力の正体を探るため、ナインはゲームソフトとそれを遊ぶためのヘッドギアを購入して帰宅した。


 そして二人はアドバンスセブンスの世界へ。最初はただのゲームだとふざけあっていた二人だったが、彼女達を狙った初心者狩りから、ゲーム内で死んだプレイヤーは現実にある肉体も死ぬという衝撃の事実を知らされる。

 二人は命からがらゲームからログアウトするも、左腕のない光太は欠損部位のある人間が起こすという意識動転意症を発症させて気を失ってしまう。そんな彼が気を失う前に残した言葉を元に、ナインは再びアドバンスセブンスへ。

 そしてナインは、人が死ぬ原因である青い鯨を消すことを目的としたウドウ達ダッシュスラッシャーズと出会い、彼らと協力関係を結ぶことになる。そこからナインはレベル200を目指して冒険を始めた。

 ゲームのスタート地点である一つ目の島を飛び出して二つ目の島へ。そこでぷらはという親切なプレイヤーに出会い、レベル上げを手伝ってもらいながらアドバイスをもらいプレイスキルを上げる。


 ナインは一度ログアウトした。そして現実を任されていた光太はなんと、魔獣を吸収するという形で左腕を再生させていたのだ。光太の振る舞いに危うさを感じたナインは、助っ人兼お目付け役として海外にいた優希を呼び寄せる。

 再度ログインして最後にいた街に戻ると、なんと盗賊が襲撃するというイベントに遭遇する。NPCではあるが住民を放っておけなかったナインはひたすら盗賊と戦うが、そこにウドウの仲間である海が現われ、ここがゲームの世界であり、NPCは蘇る事ができても、青い鯨が出ている時にHPがゼロになったプレイヤーは死んでしまうことを再認識させられる。


 ナインはステータスポイントを振り分けて技を習得。そして覚えたエネルギーボールに手応えを感じ、これをこの世界でのみ使える自分だけのナイン・ワンドとして使うことを決めた。

 そして三つ目の島へ。火山の中へ落ちたナインは命からがら地底に広がる街へワープし、そこで空と出会いながらウドウ達と再会する。

 そこでナインはぷらはとも再会することになる。彼はるーてぃーんえーじゃーずという実況者グループの一員で、青い鯨が出ている時に平気で他プレイヤーを倒すような人間だった。怒りを覚えるナインだったが力の差は大きく、ウドウですら敵わないような相手だった。青い鯨が消えて見逃されたが、これは事実上の敗北だ。


 敗北を屈辱と捉え、ぷらはに裏切られた気でいたナインはウドウは少しばかり衝突する。それでも仲間達の仲裁もあってなんとか和解し、次の島に向かう海底新幹線に乗車する。

 四つ目の島では情報収集をしつつ、ナインは空、海にるーてぃーんえーじゃーずと戦う際の作戦を提案する。だがそこには、どうしてもぷらはを倒したいというナインの邪念が混じっていた。


 地地、海を残して各々は休息を取りに現実へ戻った。ナインがログアウトして間もなく、アドバンスセブンスを開発した会社ガジェットクラブの謎を探るため、彼女が使用しているヘッドギアの発売元であるスカイアークに乗り込んだ光太がアパートに帰って来た。

 情報については何一つ得られなかった。さらに謎の魔法使い達に襲われたという話を聞いて、ゲームだけではなく現実にも謎が増えてしまったのだ。


 一方、ウドウとして活動していた士安はチームメイトの一人、天と共に買い物に向かっていた。しかし彼らの近辺に魔獣が出現。襲われそうになった士安を救う形でナインが現れ、これを撃破する。

 ナインは気付かなかった。士安は化け物を倒した少女がナインではないかと思ったが確証はなかった。こうして火事場の中、二人は現実世界で顔を合わせたのだった。








 青い鯨の発生中、ゲーム内のバグの長い髪の女が現れるという。四つ目の島にてバグの存在が確認された。

 島の中心にある噴水型の永久機関。それを眺められるように親切なベンチが配置されており、海と地地の二人は駄弁ってるプレイヤーを装っていた。


「あ、今アニメーションの動きがおかしくなった」

「ただ見張ってるだけなのも退屈ね…」

「海にしては珍しい発言だね。ナインと一緒に冒険したのがそんなに楽しかった?」

「ば、馬鹿言わないでちょうだい!」

「自覚なかっただろうけど、ウドウにデレた時もそうだったよ」

「いやっ!監視に集中しなさい」

「退屈してたから話し相手になってあげたのに…」


 しかし今、自分達しかいない状況で青い鯨が出られても困る。全員が休憩を終えた後に青い鯨が発生し、女を倒すというのが一番望ましい展開だった。


「…ナインはジョーカーに気付いたかな?」

「流石にもう気付いてるでしょ。二度も干渉したのよ」


 ジョーカーというのが一体どういう物なのか、今はそれ以上語られることはない。


「それにしてもあの子が考えたるーてぃーんえーじゃーずを倒す作戦。結構危ないと思うよ?ウドウの双聖剣(そうせいけん)覚醒がロアクに通じるか分からないし、私達でリュウザンを倒せるとして、ナイン一人でイサミとぷらはを相手に時間稼ぎするなんて…」

「多分時間稼ぎなんて考えてないわよあの子。ぷらはと浅からず因縁があるみたいだし、倒すつもりね」

「え…レベル200になって覚醒を使ったとしても難しいと思うな。それなのに認めちゃったの?」

「私はチームダッシュスラッシャーズの一員よ。この作戦を採用するかどうかはウドウに任せるわ」

「…それもそうだね」


 自分達がるーてぃーんえーじゃーずと戦うことになるかどうか。未来のことなど誰にも分からない。

 しかし運命は厳しく、彼らが衝突する道を進ませていた。だから現時点で何も考えないよりかは、この作戦があった方がいいと言える。


「私達も腹括らないとね」

「死ぬ気なんてないわよ。誰か殺される前に私が撃ち殺す。誰も欠けさせやしない」


 青い鯨が出ている時にプレイヤーを倒れることがどういうことが分からない人間ではない。地地は自分達も例外ではないことを再認識し、だからこそ誰もやらせはしないと海は誓った。

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