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第135話 「俺達も頑張りますか!」

 俺は父さんとの戦いに勝利した。それから少し時間が経って、4体の魔獣を撃破しに出向いていた仲間が戻って来た。


「おぉし!僕の右腕が治ったぞ~!」

「無事で良かった…狼太郎、ナインを助けてくれてありがとう!」


 折れ曲がったナインの右腕は、サヤカの魔法によって完璧に回復した。こればかりはハンターズの技術力でも敵わなかった。


 魔法の杖の力で分離したフェンは、ソファの上で目を閉じている。その周りには突然現れた可愛い獣に興味津々な女子達が集まって来ていた。


「可愛い~!」

「これが狼太郎君の中にいた魔獣なの?」


 魅了魔獣っていうだけあって女子達がメロメロ…

 ん?待てよ。俺がこれまで女子に囲まれてきたのってあいつが中にいたからなんじゃ…


「あのさ──」

「ごめん狼太郎君、もうちょっとだけ待って!…フェンちゃん可愛いね~!煮干し食べる?」


 うわ~やっぱり!俺がモテてたのこいつのおかげだ!最ッ悪の真実!俺自身に女子を惹き付ける魅力なんて何一つなかったんだ!


「どうしたんだ狼太郎?そろそろ戻ってやろうかい?あぁでも待ってくれ。この煮干し、とっても美味しいんだよ」

「一生甘やかされてろ、この駄犬」

「だ、け、ん!?言ってくれるじゃないか。一体ここまで誰のおかげで戦えて来たんだろうなぁえぇ?いやそれ以前から、お前は私のおかげでモテていたんだぞ!」

「二度と戻って来なくて良いよ~だ!生徒会長は永遠に俺の味方だから!」

「当然だ」


 生徒会長は駄犬に魅了されることなく、俺の腕に抱き付いている。戦いに勝利した褒美かのように、柔らかい胸が押した当てられいた。

 それにしても会長、さっきからずっとフェンの方を見て喋ってるな。


「お~主要メンバーは全員揃ってるな。これからのことについて話がある」


 雑談が繰り広げられる保険室にノートが入ってきた。


「まずは狼太郎。魔獣人撃破お疲れ様。大変だったろ?」

「…うん」

「というわけで残る敵は5人。時間を凍らすサヤカの姉、正体不明のダメージをぶつけてくるサヤカ達の同級生、いまいちパッとしないけどとにかく強い進化野郎、憎しみを力に変えるバリュフの友達、そしてアン・ドロシエル」


 残っているやつも例外なく強そうだ。

 だけど今の俺とフェン・ラルクなら…


「ナインが戻って来た今、あたし達は…それでも勝てない!」

「いや勝てないの!?」


 そんな!?俺だって強くなったんだぞ!実際に父さんを倒したじゃないか!


「そこでだ。敵が来るまでの間はダラダラしないで特訓するって提案しに来たんだけど…どうよ、やる気ある?」

「訓練だったらいつもやってるじゃないか」

「ただ戦ったり筋トレするだけじゃダメって話よ。メニューを考えてきたんだ」


 ノートは主力の戦士達を中心に俺達が強くなる特訓方法を考えてくれた。

 まず、転生者であるバリュフはナインの協力を受けてユニークスキルという能力を発現させるそうだ。

 そんなナインの元同級生4人はサヤカの姉対策に必殺技の開発。時間を停める相手に対してどんな必殺技が出来上がるのだろう。


「狼太郎は滝嶺飛鳥生徒会長と優希と星河の3人を相手してやってくれ」

「3人を相手なんてそりゃ無理だよ!」

「やる前から無理って言うな!これはお前にとっては新しいウォルフナイトやフェン・ラルクとのコンビネーションの特訓でもあるんだ」


 ひえ~!厳しいなぁ…まあ、頑張るしかないか。


「それで………以上!生徒会の女子達はあたしが鍛えてやる!」

「えぇ~!狼太郎君と一緒がいい~!」

「あの、私達オペレーターも参加しないといけないんですか…?」

「魔法使えるようになったんだからそれの特訓したい!みんなもそうだよね!」

「「「「「「「そーだそーだ!」」」」」」」


 すっげえ嫌がるじゃん!それにノートはキレそうな顔してるし!


「おい生徒会長ォ!こいつらちゃんと躾してんのか!?」

「あぁ、ちゃんと甘やかしているよ」

「そうか~だったらワガママなのも無理ないよな~!」


 そのまま説明が終了して、各々特訓の準備を始めようとした時である。ナインは俺も気になっていたことをノートに尋ねた。


「あのさ、光太どこにいるの?」


 黒金の姿がここにはなかった。既にサヤカによる治療は完了しているはずだ。まだ眠っているのだろうか。


「あ~ほっとけ」

「え?なんで?」

「前の戦いで何があったか知らないけど、プライド折れたらしくてさ」


 前の戦いって父さんとのことか?確か黒金は…


「パンチ1発でダウンさせられてた…」


 思わず口にしてしまうと、女子達の罵倒が始まった。


「狼太郎それ本当か?…やっぱ冴えない男って喧嘩弱いんだな」

「ダッサ~!あいつ口だけじゃん!」

「あいつさぁ、よくここまで生きてきたよね。次の戦いで死ぬんじゃない?」

「そういう不吉なことは言うな!まあとにかく、時間がない今立ち直るのを待ってる暇もないし、光太は放置ってわけだ」

「そっか…うん、ありがとう。行こうバリュフ」


 意外だ。ナインは落ち着いている。黒金に関係することだからてっきり、「放置なんて可哀想じゃないか!」とか言うと思ってた。


「黒金を放っておいていいのか。あいつはお前のサポーターであり超人モードへの変身に必要不可欠なミラクル・ワンドの持ち主なんだぞ」


 バリュフ…この流れで普通それ聞くか?


「光太は大丈夫だよ。僕関連じゃないから勝手に立ち直るだろうし…それより転生したからってユニークスキルを絶対に持ってるわけじゃないんだ。成果が得られなくても文句言わないでよ~?」

「ならばスキルなしで健也を止めるだけだ」


 そうして2人は通路の奥へと歩いて行った。


「それじゃあ私達も行こうか」

「サヤカ、必殺技って…何?」

「技っていうよりは作戦かな。イメージは出来てるんだけど、まだお姉ちゃんに勝つには足りないんだ」


 どんな作戦なんだろう…確かサヤカの姉、ショウコはタイムフリーズという魔法で時間を凍らせて、時間停止を行うんだ。それに対抗できるのは今のところナインの超人モードだけらしい。


「…んじゃ、俺達も頑張りますか!」

「頼むぞ狼太郎」

「よろしくね!」

「手加減はしないから」


 そうやって軽く挨拶して訓練場へ向かおうとした時だった。


「おいっ私を忘れるな」


 そうだ、フェンの事を忘れていた。

 彼女はソファから降りてこちらへ近付いてくると、初めて出会った時の光に変身して俺の中に戻ってきた。


「ああして外に出て愛撫されるのも悪くないが、やはりお前と一緒にの方が好きだ…これからも頼むぞ。言ってくれれば力を貸してやる」


 あぁ…これからもよろしくな!フェン・ラルク!

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