悪役令嬢と聖女です。こんにちは。では、破滅してください。
ノリで書きました……。
変なところがあるかもしれませんがそこはご了承ください。
アルシア・フォン・シルスダーク。
シルスダーク公爵家のご令嬢で、ビューク王太子の婚約者。
このジシーラ王国随一の魔法術師の腕を持ちながら、全く魔法術師としての仕事をこなさないことや、王太子の婚約者だというのに、全く公務を手伝わない令嬢。
そんな彼女は、稀代の悪女といわれている。
シンジュ・カザカミ。
黒髪黒目の乙女で、聖魔法を得意とし、生涯を国に捧げることを誓うことが義務付けられている、“聖女”である。
アルシア公爵令嬢が召喚した正真正銘の“聖女”だとされている。
そんな彼女は、“救済の聖女”として民衆に崇め称えられ、王太子や第二王子、はてには、騎士団長の息子、魔法術師一団の団長の息子、神官長の息子からも熱烈なアプローチを受けている。
この二人の顔合わせの日のことである。
「……ご、ごきげんよう、シンジュ…様。」
「え、ええ……アルシア、様。」
凄く動揺しながらも二人は挨拶を交わす。
二人は、アイコンタクトを取ったか、と思うと、お互いの侍女たちになにかを耳打ちしてから、下がらせた。
そして、侍女を下がらせた二人の第一声がこれである。
「なんでここにいるのよバカ真珠!」
「それはこっちのセリフだよ! なんであたしここにいるのよ、シア!」
なぜ、彼女らの第一声がこうなったのか。それは、アルシアが親に内緒で魔法書を読み込み、初めて魔法を使えるようになった日まで遡る―――
❅
シルスダーク公爵家、書庫にて。
「ふんふん、え〜っと…
『輝きし小さな炎よ、我が意のままにに顕現せよ。 ファイア』!」
ぽうっと、アルシアの前に小さな、マッチほどの火が現れる。
それを見て、現在五歳のアルシアが目を輝かせる。
本来、魔法は十二歳以下が使用しても、魔力量が足りず、発動しないようになっているし、まず、魔法学の書物自体が、魔法の仕掛けによって封じられている。
だが、少女は天才だった。
その生来のセンスで封じを解き、今、実際に魔法を使っている。
もちろん、彼女は魔法の危険性などを承知の上で、だ。
彼女は、魔法以外も天才であった。
まだ成長途中なため少々舌っ足らずなところはあるが、齢五歳にして、高等部の勉学まではきっちり頭に入っているほどであり、また、淑女のマナーなどに関しても、公爵夫人である母や、母の友人だという王妃との関わりで、すべてを取得していた。
そして、幼い頃から書庫に出入りしていた弊害か、襲撃者への対処、尋問の仕方なども取得してしまうほどであり、しかも、己が異質なことも理解し、五歳の幼子のふりまでする始末である。
正直言って、これ、本当に五歳? と思えるほどのやばすぎる怪物である。
そして、のちの聖女である、シンジュ・カザカミ基、風守 真珠。
また、彼女も天才であった。
裕福な家庭に生まれたがゆえに、高校までの勉強はすでに頭に入っており、はてには親の目を盗み、実験まで行う始末であった。
しかも、アルシアと同じ五歳でありながら、周りの感情を、天性的なセンスのみでコントロールするほどの術もあり、もちろん、五歳のふりもしている。
正直、これ、人間ですか? というほどの頭の良さである。
そんな二人のいる世界が、たまたま、近くにあって、たまたま、ふたりとも違う世界に行ってみたいと思って実験していたとしたら――?
結果は言わずもがな。
ふたりとも、何故か中身の入れ替えを行うことができたのである。
単純に言うと、魂を入れ替わらせたのだ。
―――しかも、齢五歳で。
やばすぎる。
❅
と、そんな経緯で二人は面識があったわけだが―――
「あー、向こうに帰る?」
「いや、好きなときに帰れるから問題ない。
それより、公務やら誓いやら煩いから、逃げちゃおっか。」
「あ、それ良いねwww
なんか私たちいなくなったら破滅しそうな勢いだしwwwww」
「それなwwwwww
アプローチとか言いつつ、私たちに全部放り投げてるだけじゃん? ムカつくしwwww」
「いっそ滅んじゃえwwwww 特に私を嵌めた令嬢たちとかwwwwww」
「ははwwwww そいつら終わったなwwwww」
そんなノリで、二人共は逃亡し。
「ぎゃああああああああああああ、なんで、なんで魔物が溢れてるんだよおおおぉぉ!」(by恋愛にかまけ、全く鍛錬を行っておらず、逃げ遅れた騎士団長の息子)
「はっ!? 仕事が回らない!? そんなバカな!」(by悪役令嬢&救済の聖女にすべてを任せ、なんにもしてなかった魔法術師の一団の息子)
「公務……公務公務公務公務って………愛しの聖女はどこに……。」(by公務が回らなくなった王太子)
「えっ、断罪? お父様が?? というか、私も???」(by悪役令嬢を嵌めてた低位貴族令嬢たちの筆頭)
その後、王国はこんなふうに破滅していくのだった。
おしまい。
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