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俺たちのパーティに加入したいというふたりとの面接の日。
男の方は俺たちより年上の十八歳。
女の子の方は俺たちよりひとつ年上の十三歳だ。
面接は冒険者ギルドの個室を借りて行われることになった。
「はじめまして。私はエドワールと申します。こちらは妹のリリアナです。本日はこちらの要望で面接をしていただき、ありがとうございます」
「エドワールさんとリリアナさんですね。よろしく。さて早速なんですが、なぜおふたりは俺たちのパーティに?」
「私は魔術師で、リリアナは弓使いです。前衛がふたりほどいるパーティで、後衛が不足、もしくはそもそも人手が不足しているパーティを探していたところ、受付のディアナさんからサンさんたちのことを聞きまして」
「確かに俺たちはふたりとも剣を佩いていますが、俺は剣もつかえなくはないですが本業は魔術師で、こちらのナーシアが前衛です」
「そうでしたか……ですがおふたりともリリアナより年下なのに、ブレイドファングボアを狩ると聞いています。私たちでは無理な獲物です。ですが代わりに私たちはサンダーバードの討伐経験があります」
サンダーバードは雷を放つ俊敏な鳥の魔物だ。
剣の間合いでは届かないから狩るとしたら俺の魔術になるが、当てる自信は正直なところない。
それを狩ったということは、実力は十分にあるということだろう。
……魔術師と弓使いか。
とりあえず一番重要なことを聞いておくことにする。
「俺たちのパーティに加入するということは、リーダーである俺の指示に従ってもらうことになります。年下の俺の指揮下に入ることに抵抗はありませんか?」
「ありません。冒険者は実力主義でしょう? おふたりの方が実力は上だという認識です」
「リリアナさんも同じ意見ですか?」
俺は妹の方にも水を向けてみる。
リリアナはくせっ毛の黒髪で、つり目がちな瞳の持ち主だ。
将来は美人になりそうだが、キツそうな印象を受ける。
「はい。私も実力ではおふたりに劣っていると思っていますし、弓使いは前衛がいてこそだと思っています。剣士であるおふたりのパーティに加わることが出来たら、必ず役立ってみせます」
必ずパーティに加入するぞ、という力強い意思を感じた。
「なるほど……分かりました。結果は受付を通じて、とのことでしたから、この場は一旦、お開きにさせてください」
面接を終えた感想で言えば、悪くないと思った。
ふたりはサンダーバードを狩ることのできる実力があるうえに、俺をリーダーとしても問題ないと言っている。
さてあとひとつ、重要な条件があるわけだが。
「ナーシア。どうだった? あのふたりがパーティに加入するとして、一緒にやっていけると思うか?」
「うーん、よく分からなかった。でもサンがリーダーなら、私は文句ないよ?」
「そうか……じゃあふたりには加入してもらうことにしようか。人数不足は解消したいし、年下でもリーダーとして扱ってくれるなら悪くない」
「うん、分かった」
▽
「じゃあこれから一緒によろしくお願いします」
「こちらこそ。よろしくお願いします、リーダー」
俺たちはディアナさんを通じて、エドワールとリリアナをパーティに加えることにした。
「ちなみにエドワールはどんな魔術が得意なんだ?」
「私は風の魔術が得意です。サンダーバードを仕留めたのも、私の〈ウィンド・カッター〉とリリアナの弓でした」
「〈ウィンド・カッター〉以外の風の魔術は何か使えるのか?」
「〈ウィンド・カッター〉の上位にあたる〈ウィンド・セイバー〉と、行動音を消す〈サイレントムーブ〉が使えます。リリアナは斥候の技能もありますから、〈サイレントムーブ〉は重宝しますよ」
「なるほど。できれば俺にもそのふたつの魔術を教えて欲しい」
「失礼ですがリーダーの得意属性は?」
「全部だ。俺に苦手な属性はないよ」
「それは……凄いですね」
エドワールは目を丸くした。
大抵は得意属性はひとつないしふたつ程度だ。
全属性が得意、というのは珍しいを通り越してホラ吹きの領域である。
「……まあ俺の魔術の実力は実戦で見てくれ。師匠は火魔術師だったので、基本攻撃魔術しか使えないけど」
「出の早い基本攻撃魔術は重要です。……分かりました、〈ウィンド・セイバー〉と〈サイレントムーブ〉は折を見てお教えしましょう」
「助かるよ」
面接で午前中を使ったので、この日は四人で昼食を一緒にとって別れた。
「ナーシアはリリアナと話していたようだけど、どうだ? 一緒にやれそうか?」
「はい。リリアナは見た目がキツい感じもしましたけど、話をしてみるといい子ですよ」
「それなら安心だ」