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 冒険者ギルドで依頼を達成したら、ガラの悪い男に「俺たちのパーティに入れ」と命令された。

 命令される言われはないのだが。


「悪いけど、当分はふたりでやるつもりなんだ」


「意見を聞いた覚えはねえよ」


「命令を聞く言われもないけどね」


「なんだとッ」


 気色ばんだ男を、男の仲間たちが制する。


「すまんな、自分勝手な奴で。しかしその歳でブレイドファングボアを狩れるのは有望だ。ふたりでなく、ちゃんとパーティを組んだ方がいい、というのはこの男と同意見だぞ」


「そうですね。いずれはパーティメンバーも増やしていこうと思いますけど、俺たちがどこかのパーティに入る気は今の所ありません」


「ふうむ。もったいない。まあ気が変わったらいつでも声をかけてくれ。実力があるなら子供でも構わない」


 男たちは立ち去った。

 受付嬢に目で問う。


「決して悪い人たちじゃありませんよ。ただリーダーの方は、あの通りの性格なので度々、トラブルを起こしていますけど」


「そうですか」


 度々トラブルを起こすようなリーダーのいるパーティには入りたくはない。

 やっぱり信用できそうな仲間を地道に探すほうがいいだろう。


 ブレイドファングボアは血抜きもしてあり、解体もされていたので銀貨五枚になった。

 ナーシアと半分ずつにしようとしたが、「サンが持っていた方が安全だと思う」と言われたので、マジックナイトの『ショップメニュー』に課金しておいた。


 ▽


 ブレイドファングボアの討伐依頼を何日かこなして、他に森で遭遇した魔物も狩ることで、それなりの稼ぎを上げることが出来ている。

 ブースターパックの購入額である銀貨五十枚にも届いたが、半分はナーシアの資金であるため、購入には至らない。


 日々の生活費は銅貨二十枚程度なので、冒険者は真面目にやると結構、稼げることが分かった。


 しかしやはりネックは人数だ。


 ブレイドファングボアを持ち帰るので手一杯で、森で遭遇した魔物まで持ち帰ろうとすると、かなり大変なことになる。

 せっかくの稼ぎを捨てていくのは勿体ないので、金になる部位だけに絞って持ち帰っているのだが、せめてもうひとりふたり手が欲しくなる。


 かと言って十二歳の俺の指示に従うような冒険者は皆無だろうし、同年代で俺やナーシアほど戦える者も皆無なのであった。


 ……八方塞がりなんだよなあ。


 そんなことを考えていた日、受付嬢から提案があった。


「サンさんのパーティに加入したいという方がいるのですが、面接してみませんか?」


「俺たちのパーティに加入、ですか? それはどういった人なんでしょう」


「詳しくは面接で、と言いたいところですが、それじゃあ不安ですよね。ええと、面接を希望しているのは十八歳の男性と、十三歳の女性です。ふたりは兄妹でして、冒険者として安定して稼いでいるおふたりに感銘を受けて是非、学ばせて欲しいとのことです」


「つまりノウハウを寄越せってことですか?」


「いやいや、そんな穿った見方をしないでください。ただ純粋におふたりのパーティに加入して、妹さんを鍛えたいそうですよ。人柄も問題ないですし、もし引っかかるなら面接だけしてパーティ加入はお断りしても大丈夫ですから」


「冒険者ギルドではこういう面接とかはよくあるんですか?」


「ありますよ。求人を出すパーティもあれば、求人に応募する冒険者もいますし、今回のように募集していないパーティに加入したいという冒険者との繋ぎ役をすることもありますね」


「なるほど……じゃあとりあえず面接はしてみます。人柄に問題ないというディアナさんの言葉を信じてみましょう」


 ちなみに馴染みの受付嬢はディアナさんという名前である。


「ナーシアも面接、一緒に面接官、やってもらうぞ」


「え、私が?!」


「当たり前だろ。一緒にパーティを組むかもしれない相手だぞ」


「でも……面接ってよく分からないよ。何を言えばいいの?」


「うーん。無理に何か言わなくてもいいよ。聞きたいことがあればもちろん聞いてもいいけど。とにかく一緒にパーティを組むことを想像して、それで無理そうなら俺に言ってくれれば断るから、相手を見てくれ」


「うん、分かった」


 そんなこんなで面接をすることになった。


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