46.ブースターパック購入
レナル王国は、マルカメーナ辺境伯に税金を支払って黒字になるまでに発展していた。
機械技師のクラリスしか作成できない魔法の品、特に疫病の筒などの販売額が非常に大きいからの黒字ではあったが、その金銭的な余裕をインフラ整備にあてた。
王都リッツァレナルとマルカメーナ辺境伯領を街道で結び、王国同士の貿易を強化したのである。
動力源を用いた車両の開発により、整備された道路が必要になったからだ。
この道路を通って、疫病の筒などの貿易品をレナル王国からマルカメーナ辺境伯領に運び込むのである。
大量輸送が叶ったことで、貿易黒字に拍車がかかった。
レナル王国は空前の発展を見せ、国民は新しい王の手腕に満足しているようだった。
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ナーシアとの間に第二子である女の子が生まれ、王妃セヴリーヌとの間には待望の男児が誕生していた。
次期国王として育てられるセヴリーヌの子である。
王家の血筋を絶やすことがなくなった安心感からか、城内の文官たちも協力的になってきた。
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俺は記憶を頼りに、政治に役立つ人間の固有名詞モンスターを狙って他のエキスパンションからカードを引きまくっていた。
(SR)外務官コランタン 風風地 2/3
(SR)敏腕スパイのエンゾ ⑤闇闇 2/4
(SR)熱血記者フロラン 火風 2/2
(SR)矛盾した叙述家ギャエル 水風光 3/4
(SR)医術の祖ジェラール ②光 1/1
(SR)自動人形アンリ ③ 2/2
結果、六名をデッキに採用。
更に、以下のアーティファクトも使っている。
(R)調和の戦旗 ②
(C)マナ探知機 ①
(C)マナ貯蔵機 ③
(R)工作員のマスク ①
(SR)アイレムハイトの書庫 ⑥
(R)残穢の処刑台 ④
デッキは新しいカードを含めてパンパンになった。
城内に味方を増やしたことで、政治は完全にスムーズに運ぶようになっていた。
もはや国民も城内の文官たちも、俺が侵略者だったことなど忘れているかのようだった。
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「サン・レナル一世国王陛下バンザイ!」
俺の生誕五十年を祝う式典では、街道を埋め尽くさんばかりの国民が小さな国旗を振っていた。
傍らには王妃セヴリーヌ。
ナーシアは城でお留守番だ。
こういう行事の際にナーシアが爪弾きにされるのは心苦しいが、むしろ平民の彼女は「政治の場に出されることの方が嫌だ」と言っていたから、俺の気にしすぎなのかもしれないが。
サン一世は偉大な王としてレナル王家の歴史に残る。
魔物の駆逐に尽力し、老いもしない側近たちに囲まれて何不自由なく暮らしたそうである。
これにてサンの冒険は完結です。
ここまで読んでくれた読者には感謝を。
また5chの【小説家になろう】タイトル・あらすじだけ晒すスレではあらすじの添削や「カードゲームものは流行らない」などのアドバイスを頂けました。
確かに書いていて難しさを感じましたね。完全にサモナーものになってますし。
とはいえMtGっぽいカードゲームの雰囲気は出せたかと思うので良しとします。
後半はたくさんのブースターパックを剥いて必要なカードだけを紹介する形になりましたが。
最後に出てきたカードたちには解説をつけませんでした。
名前からして怪しげなカードたちですが、どんな効果なのか想像してみてください。
それではまた新作か『スカジャンのシガン』でお会いしましょう。
『スカジャンのシガン』はもうすぐ100話ですが、まだまだ続きます。
ではでは。




