33.結婚
魔術師学院に戻った俺は、今まで通り勉学に励んでいた。
ザザたちはしばらく表に出すことはやめておくことにし、王都の冒険者ギルドに派遣することもやめた。
稼ぎが減るが、戦争のときに活躍した分の貯金があるので金には当分、困らないだろう。
▽
学院の三年生。
つまり卒業の年、俺とナーシアは十六歳になっていた。
俺は座学・実技ともに主席の成績で卒業。
エステルは次席だ。
ナーシアは座学と実技で少々物足りない成績で卒業することになったが、剣士としては学院最強として名高かった。
あと、なぜかナーシアは後輩の女子にモテた。
「じゃあエステル。俺とナーシアは一度故郷に戻ってから、冒険者稼業に戻るから」
「主席で卒業しておいてもったいないわね。王城に勤めればいいのに」
「自由の身でいたいんだ」
「まあいいけど……」
エステルは在学中に婚約が決まっていた。
どこぞの貴族の子弟らしいが、割とまともな相手らしい。
エステルの「まあ妥当な相手ね」というセリフからして、その通りなのだろう。
さて俺とナーシアはのんびりと故郷への道のりを歩く。
久々にふたりきりになれた気がした。
「サン。故郷に帰ったらどうするの?」
「どうもしないよ。両親に近況報告するだけさ」
「そう……」
……結婚したいのかな?
なんとなくそう思ったが、結婚するとなるとどこかひとところに留まる必要がある。
魔物を討伐する目標を達成するには、いささか不便なことになるのが難点だ。
「なあナーシア。俺たち、許嫁だよな?」
「う、うん!」
「結婚するとしたら、いつがいい?」
「……今からでもいいの?」
「悪くはないけど、俺は冒険者を続けたい。ナーシアは?」
「私、サンが行くところへならどこへでもついていくよ?」
「そっか。じゃあ村に戻ったら結婚するか」
「……うんっ」
ナーシアがついてくるというのなら、不便はない。
俺は覚悟を決めた。
▽
故郷に戻ると、父デカルと母ニーウの間にふたりの子ができていた。
俺が村にいる間にひとり弟がいたから、三男と長女だ。
初めて見る冒険者の兄に驚いている。
「よく戻ったわね、サン。冒険者になってから音沙汰がないから心配していたわ」
「すまない母さん。冒険者をやってそれなりに成功して、ここ三年は魔術師学院に通っていたんだ」
「魔術師学院!? いいわねえ……私、学院の卒業生にはコンプレックスがあるのよ……」
「ナーシアも魔術師学院を卒業したんだ。それでその……そろそろナーシアと結婚しようかと思って」
「え? まだ結婚してなかったのあなたたち」
「ああ……まあ」
「それじゃあ親族を集めて結婚式をやりましょう!」
「そんな派手にしなくても……」
「こういうのは派手にするものなの!」
母ニーウが張り切りだした。
父デカルは苦笑しながら「母さんに任せておけ」と言った。
▽
俺とナーシアは結婚した。
互いの親族どころか村中の人間を集めて大騒ぎをした。




