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魔術師学院に入学すると、まずクラス分け試験が行われる。
現在の実力を見るというもので、好きな魔術を使ってその出来栄えをもとに点数をつけ、クラス分けの参考にするそうだ。
ナーシアにも幾つか魔術を教えてある。
光属性のみだが、出来は悪くないはず、だが……。
まずは貴族から、平民はその後だ。
エステルは火と風の複合魔術〈フレイムストーム〉を放った。
彼女は火属性と風属性のマナだけを集めることができるようになっていたため、普通に使うよりも強力な〈フレイムストーム〉になっていた。
教師陣も前のめりになって、的を焼き滅ぼしていく炎の竜巻に目を凝らしていた。
貴族の中では恐らく、エステルがトップだろう。
他に何人か見どころのある魔術を放った学生もいたが、雑多なマナが混ざったままでエステルほどの驚異ではないように思えた。
さて平民の番だ。
平民は成功した商家や冒険者の子など、金に余裕のある家からしか来ていない。
数が少ないのですぐに俺とナーシアの番が来た。
ナーシアは光属性では珍しい攻撃魔術〈レイ〉を披露した。
光のマナのみを集めた〈レイ〉は、的を貫いて背後にあった結界に危うく穴を開けかけた。
結界を担当していた教師が泡を食ったように慌てて強度を高めたから良かったものの、貫通力は眼を見張るものがあった。
さて俺はと言えば、ナーシアと同じクラスに入るために〈レイ〉を撃った。
……が、威力が高すぎたのか、的の背後の結界を貫いてしまった。
建物に傷を作ってしまったが、青くなっているのは結界を維持していた教師陣だ。
……うん、結界を張ってそれを破られたわけだから、俺は悪くないぞ。
多分な。
▽
クラス分けでは、一番魔術ができるAクラスにエステル、俺、ナーシアが配属された。
平民でAクラス入りしたのは俺とナーシアだけだった。
幸いエステルがいるので、イジメられるようなことはないだろうが……居心地は良くない。
「三人揃ってAクラスね。さすがはサン先生。ちなみに壊した壁の補修費用は結界を維持していた先生方が弁償することになったから、安心していいそうよ」
「それはどうも」
「しかし私がAクラスに入れるなんて……夢みたいだわ」
「そうか?」
「サンが家庭教師をしてくれなかったら、悪ければCクラスだったわよ」
「レベルの高い学院だよな。Aクラスのほとんどは貴族だけど、魔術の腕前は冒険者としてやっていけるレベルだった」
俺とエステルの会話を聞いていたらしい貴族のひとりが、半目で、
「冒険者? これだから平民は……」
と吐き捨てた。
エステルが何か言い返そうとしたのを制して、俺は無視することにした。
彼らとは生きている世界が違うのだ。




