13.ブースターパック購入
グレイウルフの素材は毛皮だが、その多くは〈ウィンドセイバー〉で両断してしまって半数近くを捨てていくことになった。
残りはリリアナが弓で仕留めたものが最も傷がなく、次いでザザの竜巻攻撃で倒したもの、ナーシアが剣で首を刈ったものが毛皮となった。
剥ぎ取りに時間がかかったが、その日は珍しいグレイウルフの毛皮が冒険者ギルドのカウンターに乗ったとあって、かなり儲かった。
夕食を酒場で取ることにして、俺は森の主を倒した魔法について話すことになった。
「リーダー、あの巨大な口はなんだったんですか?」
エドワールは興味津々といった感じで聞いてくる。
いや興味ということならナーシアもリリアナも同じだ。
ザザは呪文カードを使ったことを知っているから黙っている。
「俺は魔術だけでなく魔法も使える。あれは……魔物一体を消滅させる魔法だ。一日に一回しか使えない」
「魔法……?」
エドワールは納得がいかないような顔で呟いた。
「リーダー、他にはどんな魔法が使えるのですか?」
「手の内は仲間にも晒さない主義だ。まだ幾つかの魔法がある、とだけ言っておこう」
「ふう……底の見えない人ですね」
エドワールはとりあえず俺の切り札についてそういうものがある、ということでひとまず理解はしたようだ。
ナーシアは「私にも秘密なの?」と寂しそうな顔をする。
「ああ……まあいずれは話す時がくるかもしれないが、今は秘密だ」
「婚約者なのに」
その言葉にエドワールとリリアナがギョッとしたような顔で俺たちを見比べた。
「え、なに。あなたたちそういう関係だったの?!」
食いつきがいいのはリリアナだ。
「気がついたら親同士が結託して外堀が埋まっていた」
「へえ? まあその歳でふたりきりで冒険者だもんね。いいじゃない、あなたたちお似合いよ」
「からかうなよ……」
ナーシアも照れている。
その日はことあるごとにカップル扱いを受けて辟易とした。
▽
さて、グレイウルフの毛皮はいい値段で買い取ってもらえた。
それで新たにブースターパックを購入することができるようになったのだ。
というわけで早速、購入して開封だ!
(SR)煉獄の猛火 火火火闇
(R)水晶の精霊 ③地 4/4
(R)火炎の竜巻 ①火火
(C)火葬 ①火
(C)雷光の一撃 光光
(C)吸血コウモリ 闇 1/1
(C)疫神の侍祭 ①闇 1/1
(C)収納鞄 ②
順番に見ていこう。
まずSRの煉獄の猛火。
これは強力な全体除去呪文だ。
SRだけあって効果は絶大、だがしかし実際に使えばまた丸呑みのように魔物の換金部位を台無しにしてしまうことだろう。
次にRの水晶の精霊。
コイツ自体は何の能力ももっていないただの4/4だが、2/2のザザの強さを考えると、単純に二倍の強さを誇る。
イラストの見た目も水晶にマナの手足が生えたような形状で、召喚して魔法だと言い張るのも簡単そうなのがいい。
次のRは火炎の竜巻だ。
これも煉獄の猛火ほどではないが、全体除去呪文である。
火の攻撃魔術は森では使えないので、出番はなさそうだ。
Cの一枚目は火葬だ。
これは単体除去呪文なので派手さはないが、やはり火の呪文はイマイチ使いづらい。
なおアンデッドに特攻がある。
Cの二枚目は雷光の一撃だ。
戦闘状態にあるモンスター一体にダメージを与える除去呪文である。
雷の魔術はこの世界にはないので、使うと大変、目立つだろう。
丸呑みほどではないだろうが……。
Cの三枚目は吸血コウモリだ。
飛行能力を持ち、与えたダメージだけオーナーを回復させるという能力を持っている。
コストの軽さの割に能力豊富で強い。
Cの四枚目は疫神の侍祭である。
コイツは場にいるモンスター全体に闇のマナをつぎ込んだ分だけのダメージを与えるという能力を持っている。
敵味方を巻き込み、自身も死ぬという自爆モンスターだ。
おそらく使う機会は訪れない。
Cの五枚目は収納鞄だ。
属性のマナを含まないカードは特別にアーティファクトと呼ばれるアイテムで、場に留まり何らかの効果を発揮する。
収納鞄の場合は、手札を捨てさせる能力からオーナーを守る能力がある。
気になるのは収納鞄の効果だ。
これ、いわゆるマジックバッグとして働くのではなかろうか。
光と闇の複合魔術により作成されるとされるマジックバッグは、見た目の鞄より容量があるという高級品だ。
ザザはカードのテキスト以上に、人間として存在している。
食事も摂れるし、会話もできる。
ならば収納鞄も、カードの効果以上に物を収納する能力があるとしても不思議ではない。
……まあそんなのは確認してみればいいことだ。
俺は火属性のカード以外を全て入れたデッキを作成して、『イクイップメント』する。
ソリティア状態でカードを引いてはマナカードを場にだし、手札を整えていく。
ザザを召喚し、そして収納鞄を場に出した。
結果的に、収納鞄はマジックバッグとして機能することが分かった。
これで狩りの獲物を持ち帰るのが楽になる。




