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「新しい仲間のザザだ。俺がスカウトした」
「ザザです。よろしくお願いします」
俺はザザを冒険者ギルドに連れていき、冒険者登録した。
デッキを止めたままでいれば、ザザは破壊……もとい死ぬまでこの世界で戦うことができる。
いきなり召喚するより、予め呼び出しておいて、人間として扱う方がいいと判断したのだ。
ナーシアは昨日のうちに顔を合わせているが、エドワールとリリアナは初対面だ。
いきなりパーティメンバーが増えて困惑しているようである。
「リーダーがスカウトしたなら文句もないのですが。格闘家ですか?」
「武器を使わないで、危なくないの?」
エドワールとリリアナが、ザザの腕前に疑問を持っている。
まあ当然だな。
この世界では格闘は対人専用、普通は魔物を相手にする場合は武器を持つものだ。
「ご心配なく。この拳は特別製なので」
グッと力こぶを作るザザ。
さて実力の程は如何に。
ブレイドファングボアを相手に、ザザの実力を図ることにした。
これを単独で倒せるなら、文句なしだ。
「ザザ、あれを相手にひとりでどこまで戦えるのか見せてくれ」
「分かりました、オーナー」
ザザは無造作に近づいていく。
ブレイドファングボアはザザに向けて突進した。
ザザはゆるりとそれを回避し、イノシシの横っ腹を思い切り殴った。
ドゴォ!
ブレイドファングボアはくの字に折れ曲がり、木に叩きつけられた。
……すげえ、2/2ってこんなに強かったのか。
「如何でしょう、オーナー」
「うん、ナイスパンチだったぞ」
ナーシア、エドワール、リリアナは呆然としてザザを見ている。
初のブースターパック開封の成果は、結果的に満足いくものになった。
▽
森を散策しながら魔物を狩る。
ザザという前衛が増えたことで、パーティは安定感を増したような気がする。
ナーシアは強いけど、やっぱり女の子のワントップ前衛は心配になってしまうのだ。
そこに頼れる男、ザザが加わった。
素手でイノシシを狩る男。
頼りになる男の背中だ。
その日の稼ぎはザザが獲物を持ち帰る人数としても増えたため、過去最高の金額を記録した。
何が嬉しいって、五等分した報酬のうちふたり分は俺が自由にできるのだ。
ザザに小遣いをやる理由はないからな。
宿に戻った俺は、デッキを組み直すことにした。
風、闇、地の三属性デッキを作る。
ザザ、丸呑み、大食いワーム、網投げ、脚長の蜘蛛、肉食鳥を入れて、デッキを回す。
手札に全てのカードが揃い、呪文を唱えられるだけのマナカードを用意して、ザザを召喚する。
「ザザ。今日の記憶はあるのか?」
「はい、オーナー。私は同一のカードですから」
「同一の……。じゃあ二枚目のザザを引いたら?」
「それは私ではないでしょう」
「なるほど。そりゃそうだ」
つまりザザを仲間として使うなら、デッキに二枚目のザザを用意してはならないということか。
まあそもそもザザは自分の場に一枚しか存在できない固有名詞カードだ。
対戦相手のいないソリティア状態でデッキを回せるのだから、基本的に固有名詞カードは一枚刺しでいい。
いよいよマジックナイトの能力を駆使していけるようになって、俺は胸が高鳴るのを感じていた。




