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第7話
君詩は今日もパソコンに向かう。カタカタとタイプし、虚空を一瞥し、ディスプレイを睥睨し、またショートショートをつづっていく君詩。こうするしか彼女にとって安心できないのだろう。安寧を追求するあまり、余計なことを考慮せず集中したいのだ。牢の中は涼しい。まあ、季節的なものだろう。
「これ以上は辛いわ」
泣き言を言う君詩に叱咤激励のセリフを投擲する万頭さん。しかし、その声はストレス過多の負のスパイラルにどっぷりとつかっている君詩には届かなかった。生きのびるために一所懸命に尽力するしか選択肢がない。