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第6話
万頭さんの言葉が君詩には勢いよく、弾けるように伝播した。セーフティーだった。気づくと君詩は泣いていた。これは喜びの涙なのか、それとも、それ以外なのかも君詩には判然としなかった。
「君詩よ、群読様からの褒美だ」
君詩は立ち上がってよろよろと格子に歩み寄り、へなへなと腰を落とした君詩は両手を差し出した。食事用の窓からスライスされたフランスパンとコーンスープ、野菜のサラダの皿が乗った盆が差し出された。
それを室内の床に置き、注視する君詩。食欲はないが食べないわけにもいかないと判断し、手を伸ばし、君詩はフランスパンを掴んで口に運んだ。