「僕」は
「おはようございます。」
凛とした涼しい声に思わず振り向いた。
振り向いた先には、少女が立っている。
あたりは薄暗く、月明かりに安心さえ覚える。
僕は酷く怯えていた気がするのに、少女の綺麗な声音を聞いた瞬間に恐怖なんて闇夜に溶けていった。
「おはよう。」
僕は返事をする。
どうして返事をしたのかはわからない。そもそも今は薄暗く、月明かりが出ているのだ。
でも、それが正しいように思えた。
「ここで何をされているのですか?」
最初は意味がわからなかった。
自分もどうしてここにいるかわからないからだ。
自分がわからない以上、答えはひとつしかない。
「わからない、ここはどこなんだ?」
ここ、、、?
少女は少し足元を見つめる。
少女の髪が月明かりに反射する。
闇に溶けてしまいそうな黒に月明かりの魅力を閉じ込めたようだった。
僕は思わずみとれてしまった。
その時、遠くから電車の音がした。
カンっカンっと聞き覚えのある音がする。
「また、、」
「え、?」
少女は泣きそうになるのを堪えながら僕を見る。
僕はなにかしてしまっただろうか。
こんな魅力的な少女を泣かせるなんて僕は何をしているんだ。
何を、、、?
少女は少し上を向く。
それは僕を見るでもなく、空を見つめるでもなく。
ただただ見たくないものから目をそらすように。
もう我慢ならないと言っているようだった。
僕も上を向く。
そこには、
ただただ赤い月が僕を睨むようにこちらを覗いていた。
恐怖、という言葉を理解した気になっていた。
でも、そんなもの可愛いものだとわかった。
「ねぇ」
思わず心がはねた。
それは少女の表情が花のように微笑んだからだろうか。
それとも自分を理解し始めたからだろうか。
「なんだい、」
声が震えた。
「明日もここに来るの?」
わからない。
「そうかもしれない」
「そう、」
わからない。
「なら」
わからないんだ、どうして少女は
「私も一緒に来ようかな」
僕をまっすぐ見るのか。
ねぇ、君の瞳には何が映っているの?
僕だけが映っているの?
それとも暗闇に紛れた僕の過去達が見えているの?
それが見えているのに君は僕をまっすぐ見てくれているの?
そんな、
そんな嬉しいことされたら、
「ならまた明日」
ニヤける顔を抑える。
明日がすごく楽しみになった。
「フンフフーン♪」
僕は手に持っていたものを無造作に投げ捨てる。
こんなものはもういらない。
明日にはより美しいものが手に入るのだから。
ベタベタする手を擦り合わせる。
「明日、」
月明かりの魅力を詰め込んだあの少女は僕のものになる。
嬉しくてたまらない。
赤黒く光るものを舐める。
「あぁ、最高だ。こんなにテンションが上がったのはいつぶりだろう。」
明日、人生で最高の日になるだろう。
遠くでサイレンの音がする。
明日はいい事があるのだ。
そんな急かさないでおくれよ。
僕は最高に気分がいい。
僕はナイフを振り回しながら帰った。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
この話は、完全オリジナルになっております。
作者が唐突に「なんか小説かきてぇ」と思って書いたものなので、拙い部分があると思いますが、愛嬌だと思ってスルーしてくれると嬉しいです。
このお話はキャラクターたちの話を繋いだ物語にしていこうと思っているので、更新が遅くなると思いますが、続きが気になる方はコメントで「はよせんかい!!」と送ってください。
早急に更新致します( ˊᵕˋ ;)