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三周目の幼女  作者: 夜月周
第1章
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【三度目は!】

幼女が…来る!

異世界転生や、勇者召喚、それらに近しい体験をした方はいらっしゃるだろうか?

いるならばどうか、どうかこの俺にアドバイスをしていただけないだろうか?


最も気付いたら牢屋にいたなんて状況で、どのようにアドバイスを活用すればいいか俺にはわからないのだが。


「はぁ」

今日何度目かのため息を吐く、意識がはっきりしたのは、今朝だった。

今は昼頃だろうか?

外を覗こうにも10歳にもならぬ幼女の身体にはその窓は高かった。

「本当に女になってるんだ」

身体に影響されてるのか自分の口調にも違和感を感じる。

「褒美のはずだよね、なんでこんなことになってんだろ」

足枷を引きずり、端に座ると膝を抱える。ワンピースのような1枚のぼろ服という姿では日が十分に入ってこないここは少し寒い。

地下にでもあるのだろうか?

「はぁ」

何故こんなことになっているかは、勇者に倒された後―といっても2000年ほどたってしまっていたらしいが―までさかのぼる。



「久しぶりじゃの!」

目をゆっくりと開けるとそこにはあのころから全く変わらぬコスプもとい創造神のディーネがいた。

「じゃから誰がコスプレイヤーじゃ!」

ツッコミのキレも鈍っては無いようだ。

「次はお笑い芸人にでもさせる気か!?」

「いや、ちょっとおもしろくてつい」

「まぁお主にはずいぶん助けてもらったからの、これくらいは良いわ。我もいい暇つぶしになるしの」

と言いながらパチンと指をなr…指をなr…指を鳴らせなかったディーネは手を二回たたいた。

顔が赤くなっているのは見て見ぬふりをしておいてやろう。

「いちいち思わなくてもよいわ!」

そういえば考えていることは筒抜けだったんだ、忘れてたなー。

「お主、1000年の間に遠慮がよりなくなっていないか」

「まぁ、1000年もいきなり異世界に吹っ飛ばされれば多少、敬う気持ちも消し飛びますよ」

「消し飛んでるのは多少ではないじゃろうが…まぁ、よい。ここへ呼んだのは報酬のはなしじゃ」

「報酬ですか?」

「そうじゃな、基本的に転生させて願いをかなえるという流れになるがの。して、何が良い?やっぱりハーレムか?」

どんだけハーレム好きなんだよ。そういうゲームのやりすぎなんじゃないのか?

「そんなには、やっておらんわ!」

てことはやってはいるんだな。

ピコンッ―――尊敬度が1下がった――――

「とにかくじゃ!報酬は何が良いか?」

「あ、それよりもまず俺が倒された後の話聞かせてもらってもいいか?」

「さすがに気になるか」

1000年も頑張ってバランスをとっていた世界だ、気になるに決まっている。

「そうじゃな、まずお主が倒されたあとじゃが――」

そういうとディーネは話し始めた。

要約すると、世界樹を作ってその管理をエルフに任せた。その後戦線が下がり人魔間での争いがほぼなくなったことにより

人族同士が大戦争を起こし、文明が1度衰退した。魔王と勇者が一定期間で生まれるシステムを作った。

その結果安定したということだ。

「最初からそうしてりゃ、俺いらなかったんじゃ…」

「いや、あの状況は正直かなり追い込まれていたからの魔族を生み出すことと、人を減らすということは早急に必要だったのじゃ。先ほど言ったことを実現させるための土壌を作る意味でもいらなかったということはない」

「そうですか」

良かった、骨折り損にならなくて。

「ところで、なんで2000年もたってるんですか?」

そう、再び魂となった後記憶を定着しなおされた自分にはその実感はないが、世界では2000年たっていると先ほどの話の中で聞いた。

正直それが一番驚いた。そんなに安定するのに時間がかかったのか?

「そ、それはじゃな、あのころと同じ文明に育つのにそれだけかかってしまってな。ほれお主も安定して、文明もある程度育っていたほうが良いじゃろう?」

そう目をきょろきょろさせながら言う。

またゲームしてて、忘れていたな…

「すまぬの、少しのつもりだったんじゃが面白いソフトが集中して出てしまってな!一つ一つ極めておったらすっかり忘れておったわ」

後半になるにつれ開き治り始めたので思わず、

「もはや、反省のかけらもねぇのかよ!」

思いっきり頭を叩きながらツッコんでしまった。

「本当、容赦なくなったの!くっくっく」

なぜか少し嬉しそうなディーネに若干ひきつつも、話を続けそうなので次の言葉を待つ。

「我も申し訳ないと思ってな、報酬はできる限り叶える事を約束しよう。さぁ言うてみるが良い」

そういわれ、考える。要は次に転生する先の希望か。

「とくにはないですね」

どのようにしてもそういう結果が待っているとわかっては飽きてしまう気がしたのでそういった。

「本当に良いのか?なんでもよいのじゃぞ?」

もう一度考えてみる。

「それじゃあ、異世界を旅してみたいですね。ヨハネの時は魔族領の中か、戦場ばかりだったので」

「いいじゃろう、それなら安定したとはいえ命の危険があるからの力も残しておこう。他にはあるか?」

サービスがいいな、ほかにか…

「先ほども言った通り申し訳なくも思っておるからの」

「あ、それじゃあ次の転生先は女にしてもらっていいですか?」

二度男として生まれたのだからそれもいいかなと思いそう告げる。

「それくらいなら構わぬよ、ほかに」

「それで大丈夫です。」

際限なく聞いてきそうだったので、言葉の途中で返事をする。

「そうか」

少し残念そうにしながらこちらを向きあの時のように手をこちらに向け詠唱を始める。

「<万物創造>」

俺の魂が光に包まれていく。

「それでは行ってくるが良い、今回は本当に助かった、感謝する。それでは三度目の人生、楽しんでくると良い」

そういうといきなり飛ばされる感覚が体を包んだ。

「え?!いきなり過ぎるだろぉおおおおお」

視界の端にゲームを取り出し始めたディーネを捉え意識が遠のいて。

「ゲーム、したくて…急いだのかよ…。」

この廃人ゲーマーが!!!!



「いったか」

ゲーム画面から目を離し、転送魔法陣があった場所に目を向ける。

忘れておいてなんじゃが、彗との話は楽しくてついつい長くなってしまうからの。

また、1人かと思う。ルフも忙しくここ数百年会えておらぬから対戦もできておらぬ。

彗は、ここには本来いない存在。長くここにいさせるべきではないしの。

「はぁ、我も補助官の神を雇うか使いの天使でもそろそろ生み出すかのぉ」

そうすれば我の負担も減るし話し相手と対戦相手も同時に手に入る。一石3鳥というやつじゃな!

「うむ、やはり我は天才じゃ!」

はっはっはという笑い声が誰もいなくなり消え始めた世界に響いていた。

次からは本格的に幼女彗ちゃんのターンです!


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