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三周目の幼女  作者: 夜月周
第1章
39/42

【前へ】

お待たせしてしまい申し訳ございません。

リアルが忙しく更新がかなり遅れてしまいました。

感想ありがとうございます。久々になろうにログインした際に気付き、とてもうれしかったです。

稚拙な文章と遅筆な自分ですがこれからもよろしくお願いします。


「ぐっ!」

数度刀を合わせたのちリーシャは膝をついた。

失った魔力と体力は彼女の動きを鈍くしその剣先はダバルには届かない。

「ほらほらどうした?さっきまでの威勢はどこにいったんだ?」

ダバルは肩で息をしているリーシャの姿を見て、徹底的に痛めつけるように攻撃を繰り返している。

簡単には殺さないぞとそういっているかのように。

何度も致命的な一撃をくらわせられる状況にありながら剣を引くその姿がそう物語っている。

ニタニタと気色の悪い笑顔を貼り付けながら剣を振るう姿はただの外道だった。

「遅いんだよ!」

剣を振りリーシャの体ごと吹き飛ばす、だがまた追撃はない。

ぜえぜえと肩を上下に動かしているリーシャはもう限界が近いようで剣を杖に立ち上がろうとするも身体を持ち上げるだけの力がないのかもたれかかるように座り込んでしまう。

「なんだなんだなんだああ?もう終わりか?」

ダバルの言葉にリーシャが悔しそうに顔を歪める。


限界まで引き上げて攻撃したはずだった攻撃もすべてふさがれた。それほどまでの力の差がダバルと私の間にはあった。

知っていた、私は勇者ではない。レインのような並外れた魔力もなければ、剣聖に届くほどの剣の才覚があるわけでもない。

私は人よりも魔力が多く、剣が人よりも扱える程度。

天才に並ぶにはあまりにも力不足。

知っていたさ。

だからと言ってここであきらめるわけにはいかない。

もう足に力は入らないけど、使える魔力は雀の涙ほどだけれど。

気力だけで私は立ち上がる。息を整えダバルに向けて再度剣を構える。

「死にぞこないが…いい加減ぶっ倒れなッ」

不思議と先ほどまでよりも意識が研ぎ澄まされている。

まるで何かが私の中に芽生えたような初めての感覚。

夢を見ているような感覚の中私の意識はなおもダバルに向いていた。

ダバルの剣の軌道が見える。

振り下ろされる剣、返すだけの力はない受け流す、その身をずらしダバルの剣を横へ流す。

ダバルは空振りし隙が生まれた。私はダバルの両腕を切り飛ばした。

天啓のように降りてきた魔法を剣に込めて。

「ちくしょうがあああああああ」

ダバルの叫びに私は現実に引き戻された。

何だったんだ今のは?

そんな疑問を解消する間もなく腹部へ衝撃を受け吹き飛ばされる。

「お姉ちゃん!」

吹き飛ばされ倒れてしまった私にスイが駆け寄ってくる。

「もう限界みたい、かっこ悪いお姉ちゃんでごめんね。大好きだよスイ…」

それだけ辛うじて言い残すと私の意識は閉じてしまった。


「お姉ちゃん!?」

目を閉じたリーシャに驚き口元に手を当てる。

「よかった、息してる」

だが、怪我をしているうえに体力と魔力の消耗は深刻だ。

俺はリーシャへと手を伸ばすと治癒魔法を施し魔力を少しだけリーシャへと移す。

その最中ダバルへと視線を移すとダバルは両腕を再生しようともがいている。

だが一向に再生される気配はなく傷口は白い炎に包まれている。

「あれは…」

見覚えがあるというレベルではない。

あれはかつて俺を殺した炎だ。

そうだねディーネその心さえ持っていれば勇者となる資格はあるよね。

お姉ちゃん(リーシャ)はかっこ悪くなんてないよ。よく頑張ったね、どうやら神様(ディーネ)がご褒美をくれたみたいだよ」

さてリーシェがここまで頑張ったんだ。

俺たちも頑張らないと

「君もそう思うでしょ?ねぇ、スイ?」

そうだね。

あの村が燃えた日以来私は一人が怖かった。だから旅に出る日を少しでも遅らせるために力を押さえつけた。

私の身体でもあるんだもの、できないことはないでしょ?

混ざりあった魂は溶け切らないまま。

お姉ちゃんの優しさに、傷跡に甘えてしまっていた。

でもお姉ちゃんが前に進もうとしてるなら私も進まなくちゃね。

そう決意した瞬間、私の魂は彗の魂と完全に同化した。

「「ありがとうお姉ちゃん」」

その瞬間抑えられていた魔力が放出した膨大な魔力は人族の身体の壁も気にせず外へとあふれ出し世界へ放たれた。

ダバルはなくした両腕のことなど忘れたように放心し動かない、遠く離れた地でもこれほどの魔力ならば感知されてしまうだろう。

ちょっと失敗しちゃったかな?

苦笑いを浮かべて自分の身体を見ると、身体が成長していることに気が付いた。

どういうトリックなのか服装までも変わっていた。

先ほどまでそこにいた。少女の姿はすでになくそこにあるのは漆黒の衣服をまとった女性だった。

「ディーネの仕業か…」

まるでフィクションの世界の登場人物のようなその変化にそういうものを好みそうな廃人ゲーマーを思い出した。

まあ、今のところ不便ではないからいいか。

ただ胸が絶壁であるのはディーネなりの抵抗なのだろうか…。

いやあまり考えない方がいいな。

「さて、ディーネからはその力をもらったのなら私からはこれをあげるね」

手にしていた勇者のお守りに少しの魔法付与を加えリーシャの首にかける。

リーシャの頬を撫でると私は立ち上がった。

私は先代魔王として少しお説教をするとしましょうか

「さて、お待たせしてしまって悪いね。坊や」

目を見開き、身動き一つできずにいる小物(ダバル)に私は微笑みかけた。

さて、ようやく幼女のターン。

容姿は変わってしまいましたが…

これからも不定期更新ではありますが、とりあえず完結までは持っていきたいと思っていますので引き続きお付き合いくださると幸いです。


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