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三周目の幼女  作者: 夜月周
第1章
38/42

【対魔王】

お久しぶりです。

ツイッターを始めましたのでフォローしてくれたら嬉しいです。

あまり呟かないですが…


@yaduki_syu

「あなただけね」

剣を向けた先ダバルはこちらに視線を向けながらニヤリと笑うと拍手を始めた。

パチパチとしばらく嘲るような拍手の音が響くとダバルは口を開いた。

「さすがは勇者のお供、強いねぇ」

言葉の上では褒めていてもその声色は私を嘲笑っていた。

私は小さく舌打ちをする。

恐怖心はない、少しずつ大きくなるダバルの魔力の気配にも、奴への怒りと、スイを守らなければという思いが体の震えを止めてくれていた。

かといって焦りもない。

スイのお陰で冷静にダバルと向き合う事ができている。

ほんと、スイには助けられている。

いつかは旅立つ彼女のためにも憂いは消さなければならない。

「さあ、構えなさい。前回は取り逃がしたけど、今日こそは滅してあげる」

そうダバルに向けて叫ぶとダバルは心底おかしそうに声を上げてわらった。

「お前が!?俺を?!勇者がいなければ雑魚の分際で?くははははははは」

隠す気もない嘲笑の色をさらに深めた声色でダバルは嗤う。

「妹も守れなかった雑魚がいっちょまえにほえるじゃねぇか」

その言葉に目を見開く。

覚えていたのかあの日のことを、私のことを。

その上で勇者の腰巾着と笑ったのか。

「何驚いた顔をしてやがる?忘れるわけないだろ?あんな面白いことを?必死になるお前は傑作だったよ」

なおも高笑いを続けダバルに挑発だとわかっていつつも、剣を握る手に力が入る。

落ち着いて、心を穏やかに保つんだ。

「本当にお前たちはいいおもちゃだったよ」

その一言が発せられると同時に私は飛び出した。

「ダバルゥウウウウ!!」

勢いのまま剣を振るうが、剣はダバルにかすりもしない。

ひらりひらりとかわすダバルに連続で私は剣を振り続けた。

「お姉ちゃん!!」

スイの声が聞こえる。

勢いのまま剣を振るう私を心配してくれているのだろう。

大丈夫、こいつは私が倒すから。

その瞬間ダバルの動きが一瞬鈍る。

ここだ!!

「死ねぇえええええ」

私は叫びながら剣を突き出した。

だが、その剣先はダバルを貫くことなくダバルに止められた。

剣でも盾でもなく素手で。

皮膚を硬質化でもしているのだろうか私の剣を握るダバルの手からは一滴の血も滴ってはいない。

「馬鹿がそれくらいで俺が死ぬとでも思ったのか?ほら捕まえた」

いやらしく笑いながら剣を強く握るダバル。

その姿を見て私はー


私は笑みを浮かべた

直後私は密かに体内で練り上げていた聖属性の魔力を剣先から放つ。

膨大な魔力を爆発させぶつけるだけの攻撃だが、純粋な魔族であるダバルにとっては相容れない属性の魔力の暴力は猛毒となる。

術式も詠唱もないためコスパは最悪。

力がどっと体から抜ける感覚とともに私は魔力を爆発させた。

「なに?!」

ダバルの目が見開かれたと同時に爆発が起こり私は吹き飛び、爆風が砂煙を巻き上げる。

受け身を取る準備をしていた私はすぐに態勢を整えダバルを見る。

ダバルが油断し、私を嗤うために剣を屈辱的な形で止めることは予測がついていた。

だからこその怒りに任せたかのような剣撃。

スイにいらぬ心配をかけてしまったが、うまく決まった。

団長には遠く及ばないけど、上位魔法並みの魔力を叩きつけたんだ、やつも無事ではすまないだろう。

姿が見えて弱っているところを次こそ剣でとどめを指す。

私は剣に聖属性の魔力を纏わせる。

さぁ、姿を見せろ!!

「くっくっく」

あたりにダバルの笑い声が響く

「今のは少しひやっとしたぞ」

姿をみせたダバルをみて私は言葉を失った。

「よくも謀ったなこのくそあまぁあああああ」

怒りの形相でこちらを睨むダバルの体には傷らしい傷はなかったのだ。

いや、正確には傷はあった、先程の爆発でついたとは思えない小さな傷。

だが、そんなわずかな傷も瞬く間に再生し、消えていった。

「そん…な」

ようやくダバルが逃げ延びた理由がわかった。

レインにとどめを刺される瞬間、こいつは自分の一部を隠したんだ。

そして自分が死んだかのように見せかけその底知れぬ回復力で復活を果たした。

こんなスピードで回復されたんじゃ私の攻撃程度では倒せない。

絶望に飲まれ膝をつく。

「お姉ちゃん!」

スイが走り寄ってきて私を結界の中へと入れる。

「ちっ忌々しい結界がぁああ!!」

いつのまにかダバルが魔法を放っていたのか。

私とスイを包んだ結界に衝撃が襲う。

怒り狂ったダバルの攻撃は地を揺らしている。

「お姉ちゃん!大丈夫!?」

これほどの威力だというのにスイは私のことを心配して、顔を覗き込んできている。

「うん、大丈夫。だからもう少し見ていて。」

スイの姿に励まされてもう一度私は立ち上がった。

結界越しに見えるダバルを睨みつけた。

「はぁ?びくびく震えてたくせにまだやるのかよ?」

私の様子を見たダバルが嘲るように言う。

「いいぜえ!ぐちゃぐちゃに捻り潰してやる」

深呼吸1回。私は剣を握り直し隙を伺う。

「出てくんなら、早く出てこいよ準備ができるまでまってやるよ」

イライラした雰囲気でダバルが言う。

待つつもりなんてないくせによく言う。その構えからはさっきが放たれ今にも襲い掛かりそうだというのに。

おそらく私が結界へ逃げ込めない位置にきた瞬間にダバルは攻撃を仕掛けてくるだろう。

今までの勇者と魔王の戦いと違い、絡め手を使ってきた魔王だ、怒り狂っていてもそれくらい考えるずる賢さを持っているだろう。

集中し、ダバルを観察するが攻撃を仕掛けられる隙はない。

多少の隙は、私とダバルのスピード差の前では意味をなさない。

私が踏み出した瞬間カウンターを喰らわせられる。

ならば、私のスピードを上げればいい。

より身体強化を強くかけ、身体能力を限界まで引き上げる。

負担はかなり増え、それでもダバルの早さに追いつかないだろうが、発動中の生存率は跳ね上がるはず。

そこが見え始めた魔力を必死に体内で練り上げて強化レベルをあげる。

体が軋み負担がかかっていることがわかる。

これは、戦いが終わったらしばらく起き上がれないだろうなぁ。

剣に魔力を纏わせるのも忘れずに…。

さて準備ができた。

スイ、私の戦いしっかり見ていてね。

スイに笑いかけ、そして私はダバルへと切りかかった。

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