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三周目の幼女  作者: 夜月周
序章
3/42

【魔王降臨】

うとうとしながら書いていたら保存をせずに消してしまい泣きそうになりました。

デジタルの怖いところですね…

サブタイトルのカッコが間違っていたので訂正しました。

「いやな、天気だな」

カイン商会の商館から出た俺は、雲で覆われ暗くなり始めた空を見上げ、憂鬱な気分になる。

「ボーンさんはこれからギントへ向かうのでしたな。」

俺の後に続いて商館の扉から、脂汗を吹きながら恰幅のいい男が出てくる。

「ええ、ギントの塩は味もよく内陸部では高値で売れるのでね。もちろんカインさんのところにも卸させていただきますよ」

「おお、それはありがたい。ですが、急いだほうがいいかもしれませんね。もうすぐ雨季に入りますから」

「そうですね、商品の納期まではまだありますが、何が起こるかわかりませんからね」

護衛として雇う冒険者の腕を疑うわけではないが、足である馬車が泥濘にでもはまった時に盗賊や魔物に襲われたりでもしたら商品をすべて捨てて逃げるしかない。

もしもの時は考えなければならない。

「ギントへはさほど離れてませんからね、今出れば雨季の前には行って戻ることができるでしょう。」

「そうですか、それではお気をつけて」

「ええ、ありがとうございます。」

握手を交わしあらかじめ荷物をまとめておいた馬車へ向かう。

馬車の前には5人の冒険者が集まっていた。

「あぁ、ボーンさん!お疲れ様っす!」

馬車の前に立っていた冒険者の一人がこちらを向く。

「待たせてしまって申し訳ない。すぐに出発しましょう」

「もうすぐここいらは雨季ですもんね」

先ほど声をかけてきた男の隣に座っていた女性が立ち上がる。

「では、我ら【銀狼】がギントへの道をお守りいたします。」

髭を生やした男がそう言うとほかの5人と一緒に頭を下げた。

【銀狼】はこの髭を生やした男をリーダーにした優秀な冒険者のパーティだ。

護衛の経験も多く、名も知れていて有名なため信用できる。

「あぁ、よろしく頼む」

そういうと、俺は馬車に乗り込みギントに向けて出発した。


街を出て馬車を進ませる、ギントは海岸にできた街だ。昔は魔力があふれた土地であったらしいが、長年の魔物狩りによって魔力濃度下がったらしく今では、

塩の名産地として発展している。

魔物は魔力濃度の濃い土地に多く発生すると言われていたがが、冒険者ギルドの設立や魔法、魔道具の研究によって魔物を倒すことも容易になった。

これにより魔物狩りが行われた結果、魔物狩りが行われ、魔力濃度が減ったことを見ると、魔物が多く存在する土地の魔力濃度が高くなるのかもしれない。

だがいまだこれについては研究中でありはっきりとわかってはいない。魔物があまり見られなくなったこともあり、研究が難しくなったことも明らかにされていない原因の一つなのだろう。

そんなことを考えながらギントへの道をすすんでいると、ポツリと頬にしずくが落ちてきた。

「降ってきたか」

ギントまではあと少しだ。少し飛ばすか。

「もうすぐギントの門へ着く、少し飛ばそう」

そう【銀狼】のメンバーに告げ、速度を上げた。


なんとか本降りになる前にギントの宿屋までつくことができた。

チェックインをすませ部屋に向かう。【銀狼】とは街へ入るとすぐに2日後再び集まる約束をし別れた。

「ふう」

ベットへ腰かけ滞在中の予定を考える。日もまもなく落ちる、これから外へ出るのはちょっとな。

「今日は疲れた、商館へは明日向かうか。」

そう切り替えると。一回にある食堂へ向かい夕食をとる。海の近くということもあり魚料理がおいしくここの食堂は何度か来ているうちに、

お気に入りの店になっていた。

食事を終え、一息ついているとほかの客の声が聞こえてきた。

「おい、聞いたか近頃ここらの魔力濃度が上がっているらしいぞ」

「あぁ、門の外の魔物も強い個体が見られるようになってるらしい」

そういえば、ここへ来る間今まであまり見なかった強個体と呼ばれる魔物をよく見たなと思い出す。

情報は商人の命、俺はその客の近くへ向かう。

「すいません、その話詳しく聞かせていただけませんか?もちろんただとは言いません、店員さん」

店員を呼ぶと酒を2つもってくるように頼む。

「おぉ、いいぞ。と言っても先ほどの話以上のネタはないんだがな」

「それでも構いませんよ、魔力濃度が上がっているのは確かなのですか?」

「あぁ、それは確かだ。魔物の強さは魔力濃度によって左右される、先日キマイラが門外で確認されたそうだ」

「キマイラですか…」

キマイラは魔物の中でもかなり上位に属し討伐に軍を使わなければならないほどだ。

「ありがとうございます。お酒の代金は払っておきましたので、ゆっくりとくつろいでください」

「おう、情報が少なくてすまねぇな」

「いえいえ」

二人と別れ、階段をのぼりながら考える。

魔物の活性化、魔力濃度の上昇、何か不吉なことの前触れでもなければいいのだが。

不安な気持ちを抑えつつ俺は部屋で、眠りについた。


2日後商談を終え、俺はギントを発つ準備をしていた。

雨は今は降っておらず、予定通り、通ってきた道を戻ることにした。

思ったよりも早く荷物をまとめ終わったので俺は、食堂で一息ついていた。

「大変だ!」

バンと大きな音をたてて扉が開いたかと思うと肩から血を流した男が入ってきた。

「北門の外に上位種が多数確認こちらに向かってきている!」

1匹でも軍が必要な上位種が多数だと!?

あまりにも非現実的な報告に信じられないのか客は笑っている。

「ほんとなんだ!早く逃げねぇとやばいぞ!」

必死にけがをした男は叫んでいるが、長年の平和で麻痺したのか店内のものは動かない。

俺は嫌な予感が当たったことを確信し、お金を払い宿を後にした。

門の前へ急いで向かう、幸いなことに【銀狼】の面子も騒ぎを聞いたのか集まっていた。

事実であった場合かなりの大事であるにも関わらず門にはいつも通りの様相であった。

「なんだこれは、平和ボケしすぎなのではないか?」

その様子に唖然とする。

「急ぎましょう、情報が確かならばやばい」

【銀狼】のリーダーはそういうと門兵の元へと向かう。

「よし、通ってよいぞ」

門を通り道へ出たその時。後方北門のあたりで爆発が起こった。

「なっなんだ!?」

地を揺るがすほどの轟音に振り返ってみれば北門から煙が上がっていた。

出てきた南門からは悲鳴が聞こえてる。

「北門が突破された!みんな逃げろ!!」

【銀狼】の一人がスキルで見たのだろう木の上から降りてくると叫ぶ。

「北は地獄のようだ。上位種によって人がごみのように殺されてやがる。」

その報告に思わず、ギントをみてしまった。煙が次々といたるところで上がっている。

その時、空が割れた。割れたのだ、空間にひびが入り割れる。

非現実的なその光景に目を奪われる。割れた空間を見つめていると、その中に人影が見えた。

見られている。

そう感じた、かなりの距離があるにも関わらず目の前にいるのかと思われるような存在感。

禍々しくも、どこか美しいとすら思ってしまうその姿により目が離せなくなる。

「やばい、あれはやばい化け物だ」

冒険者の一人がぶるぶると震え始めそうつぶやく。

魔王は、ゆっくりと降下している。どんどんとその存在感が大きくなる。

化け物、その通りなのだろう、あれは人の形をした魔物だ、それも他の魔物など足元にも及ばぬほどの絶対的な強者。

まるで、おとぎ話にでてくるような…

「魔王…」

誰も反論はしなかった、できるはずもなかった。

あれほどの存在が、魔王ではなくなんだというのか?

魔王は降下をやめ空中に静止するとその口を開いた。

「やぁ、諸君。大きくもない力に胡坐をかき、平和ボケした愚かな人族諸君よ。初めまして、私の名はヨハネ、ヨハネ・リートだ。さぁ、地獄を始めようか」

そうにやりと魔王が笑うとギントの空を特大の魔法陣が覆った。

「あれは爆裂魔法陣?…ありえない、大きすぎる」

魔法に長けた冒険者がそうつぶやき自分を抱くように手をまわし膝をつき震えている。

俺は我慢できなくなり馬を馬車から外すとすぐさままたがり南へ走り始めた。すべてを置き去りにして。

その瞬間大陸全土に強烈な爆発音が響いた。

その音に鼓膜を破られ、揺れにより馬からころげ落ちるも気力で乗り直しおびえる馬をさらに走らせる。

走って逃げなかった馬に感謝しつつも、涙と鼻水と血でぐしゃぐしゃになった顔を拭きながら必死に逃げた。

このことを伝えなければ!


この日1000年続く魔王と勇者の物語が幕を開いた。

ボーンにより届けられた情報により魔王ヨハネの名は世界に広まった。

この後、突如出現したのちに魔族と呼ばれる者たちの猛攻によって1年と持たず大陸の半分を失った。

もうだめかと思われたとき神のお告げを受けたものによって作られた高位の防御結界により拮抗状態に持ち込むことができた。

ギントが地図から消えた日、世界は悪夢に包まれた。

この悪夢は勇者が魔王を討つまで覚めることはないのだろう。

ようやく魔王様が降臨しました。

次回か次々回あたりに序章が終わる予定(終わるとはいってない)

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