【幼女と動き始める世界】
そろそろ物語を大きく動かしていきたいと思っています。
思っているだけなので動かないかもしれませんがw
「ふぁあああ」
目が覚め体を起こし、大きく背伸びをする。
隣を見るといつものようにリーシャが横になっていた。
初日のことをリーシャが心配したのか、寝具を取り寄せることをやめ、一緒に寝ることになったのだ。
最初はドキドキとしたが今となってはもはや姉のようで、嬉しいがやましい感情は全くと言っていいほど起きなくなっていた。
リーシャとの訓練が始まってからひと月が経過した。
二日目の朝は初日から張り切りすぎたのか、筋肉痛がひどく起き上がることができなかった。
動かそうとしても痛みで脱力してしまいぴくぴくとしか動けない私をリーシャは笑いをこらえつつ看病してくれた。目に涙を浮かべながら…。
それから数日筋トレを抑えつつ、技術面を鍛える訓練を主軸にした結果、さほど筋肉痛は気にならなくなったが、朝起きると体が疲労で重たい。
前回は魔王として生まれていたので訓練などしたことはなかった。
むろん技術面や戦いのノウハウは学ばざる終えなかったがこういった筋力をつけるためのトレーニングは初めてだ。
最初は楽しかったが初日が終わると、筋肉痛に心を削られ、三日目にはその疲労感に心が折れかけた。
それでも続けていられるのはここでの生活が気に入っているからだと思う。
今日は訓練に慣れてきて、体にも余裕ができるようになったので、訓練後前々から言っていた旅費を貯めるためメイドさんのお手伝いをすることになっていた。
「ん?今日は早いのね」
目が覚めたのか、リーシャが身体を起し私の頭を撫でる。
ついでにぼさぼさになってしまっていた髪を直してくれているようだ。
「んー、今日からメイドさんのお手伝いするから緊張しちゃって」
「そういえば、今日からだっけ?大丈夫なの?」
あれからより距離は近くなって、今では訓練中以外は二人とも砕けた口調で話すようになっていた。
「うん、お姉ちゃんのおかげでよく眠れたから」
私がそういうとリーシャは嬉しそうにはにかむ。
「さて、今日も訓練頑張りましょうか!」
撫でていた私の頭から手を離すとリーシャはベットから降り着替えを始めた。
私もリーシャが用意してくれたクローゼットから服を取り出すとすぐに着替える。
「さぁ、行きましょうか」
立ち上がったリーシャは私の手を握り歩き出した。
訓練場へやってきた二人を俺は遠くから見つめていた。
「よぉ!団長さん!何見てんだ?」
突然後ろから声がかかる。こんな話しかけ方をする奴は1人しかいない。
「ショーンいい加減そのしゃべり方を」
「はいはいはいわかってるって!で、どうしたんだ?二人を見つめて?団長がスイに惚れたってのは噂ではなかったってことか?確かになーあれは将来いい女になるだろうからなぁ」
ごまかしているのか、ようやくなくなってきた噂を掘り返す。
「だから違うと言っているだろう」
あきれて頭を抱える。
「あの二人をどう思う?リーシャの過去は知っているだろう?」
「あー、まぁな…」
ショーンは二人の方向を見る。
「少し、仲良くなりすぎかなとは思うよ。まだ半年もたってないのに、あのリーシャがべったりだもんな」
普段リーシャはそこまで人と関わることはない、それがあってからひと月でここまでべったりになるのだろうか?
寝床をともにし、身の回りの世話も空いている時には優先的に行っているようだ。
「妹の影をスイに見ているんだろうな」
その様子はかつて妹にできなかったことを取り返そうとしているかのようだった。
最近ではスイが気になるあまりつまらないミスも増えた。
ここでの仕事は俺やほかの部下がフォローすればいいが、戦場は別だ。
「近々トイフェルと魔族の連合軍との戦争に出向かなければならないだろう」
「あぁ、魔族が合流したっていう噂だしな、和平の使者も送り返されたからな、その可能性は高いだろうな」
恐らく、魔族が混じれば苦戦する、そして俺たちが派遣されるだろう。
俺たちは勇者がいる騎士団だ、魔族討伐も多くこなしてきた。
それに。
「今回は旧魔族も出てくるだろう」
「旧魔族が?それはないんじゃないか?」
「俺が抜け道で出会った女がトイフェルで確認されたらしい」
「それは俺も知ってるけどよ」
最近ショーンには監視をしてもらってるため情報は言ってないはずなのに。
こいつの情報収集能力には驚かされる。
「レイン、もしそいつに出会ったら逃げろ、戦おうと思うな死ぬぞ?」
そういつもとは違う雰囲気でショーンがいう。
「どうした?お前らしくない」
そう聞き返すとショーンは慌てた様子で早口で話す。
「この前の盗賊の抜け道であったあと俺の監視を全く感じさせずに逃げられたからな。多分めちゃくちゃ強いぞ?」
後半になるにつれ顔が険しくなり、どうやら真剣に心配してくれているようだった。
確かにあの時、ショーンから来た報告は異常なし、人の気配も見当たらないといったものだった。
ショーンの感知能力も他の者を寄せ付けないほど強力だ。
隠蔽魔法もすべて見破る。隠していてもその場にある魔力を見れる目を持っているらしい。
それなのにその目すらごまかし、何事もなく脱出したのだ。
その異常さがわかる、だが。
「お前の感知を抜けたといっても、そういった能力特化なら俺にも勝てる可能性もあるさ大丈夫だよ」
「あ、あぁ」
不満そうな顔をしたが、俺は見ていないふりをして話をもどす。
「それよりも、今はリーシャだ。戦場でミスをすれば命が飛ぶ、自分のだけならまだましだがあいつは副団長だ、ミスは団全員の命にかかわりかねない」
一生懸命木剣を振っているスイの横で、楽しそうに笑っているリーシャを見ながらいう。
「そうだな」
ショーンも同じ意見なのかうなずく。
「だから、トイフェルとの戦に参加することになったらその時は一度リーシャを作戦から外す事にした」
「リーシャにはいったのか?」
「まだだ」
「だろうな、説得するの大変だぞ?」
「わかってる」
簡単に了承するとは思わないが、仕方ないだろう。
はぁ、と二人同時にため息を吐いた。
スイの素振りが目に入り、ショーンに話しかける。
「それにしても」
「なんだ団長?」
「スイの素振りきれいすぎないか?」
重さに引っ張られてはいるがその動き方はとてもきれいだ。
「あー父親にでも習ったんじゃないですか?」
慌てたようにショーンがいうので、恐らくショーンが教えたのだろうと推測する。
仲良くやっているようで何よりだ。
「では俺は仕事に戻る」
「あいよー俺も戻るわ」
こうして俺たちは持ち場へと戻った。
「そんなんじゃすぐばれちまいますよ、ヨハネ様」
後ろの方で声がした気がしたが、俺の耳には届かなかった。
スイ視点かと思いきやレイン視点へ移動するという。
キャラをまた書いてみました。
ですが次は服で躓きました。
ごみ箱にまたごみが増えましたとさ(´・ω・`)




