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三周目の幼女  作者: 夜月周
序章
2/42

【してほしいこと】

「我の世界に来てほしい」

ディーネはそういうと俺の目をじっと見つめる。

「・・・」

「・・・」

無言の時間がすぎる。

「おい、何とか言ったらどうなんじゃ?」

「え?それだけ?!」

話は終わったとばかりに聞いてくるディーネに、驚きのあまり大きな声で驚いてしまう。

何をしてほしいのかとか、そのために必要な力を授けようとかそういうのは無いのか?

あまりにも説明不足だろう。じゃなければ了承することも拒否することもできないじゃないか。

そういえば、なんとなくとか無意味に飛ばされた主人公もいたっけか、そういうパターンか?

「いや、理由はあるぞ?」

あるのかよ!?言えよ!無言で見つめ合ってる場合じゃねぇだろ!

「いや、お主の了承するかどうかの確認も必要じゃろう?まぁ、拒否権はないんじゃがな!かっかっか」

拒否権ないのかよ!なんだその笑い方むかつくな!

「お主面白いのぅ」

ディーネは腹を抱えて笑っている。

「それは、どうも」

なんか疲れる、いや肉体がないから疲れることはないかもしれんが精神的に疲れた。

「すまんすまん、拒否権がないということはないんじゃがな。うむ、それを話すには現状を理解してもらうかの」

「現状?」

「うむ、とりあえず死んで魂の状態でここまで来たのことは先ほどの話から分かっておるな?」

「まぁ…」

「ここはな、我が我の世界に作った特殊な空間なのじゃよ、詳しく話してもよいが…聞くか?」

「いや、いいです」

ただでさえ元いた世界の常識の範囲外なのにきいても理解はできないだろうしな。

「つまり来てほしいとは言ったがすでにお主は来てしまっているのじゃよ、世界をお主ら人が渡るにはある程度の魂の強さが必要でな、

じゃが地球の神も我もどの程度の強度がないと消滅してしまうのかわからなくての適当に数千万の魂をぶち込んでみたんじゃよ。

そこで唯一到達できた魂がお主じゃったということじゃ」

「到達できなかった魂はどうなったんだ?」

「今も言うたが、強度が足りなかった魂は消滅してしまう。もはや存在してはおらぬよ」

こいつは、自分の目的のために、ちゃんと調べもせず数千万の魂を犠牲にしたのか?ふざけんな。

正義だの言うつもりはないがそれはあまりにもひどすぎるんじゃないか?

「そう怒るな、そもそもお主らの人格や、意思というものはな?肉体に依存しておるのだ。

魂はそれを作るためのベース、核のようなものだ。記憶もなければ性格もない。

そもそも人になるのかすらもわからぬ存在じゃぞ?まぁ割り切れるものでもないじゃろうが割り切ってくれ」

ただの核、それでももやっとしてしまうな…

記憶も性格もない?じゃあ、俺はなんなんだ?俺は記憶もあるし、意思もある。

「あぁ、それはな、我の依頼をよりしっかりとこなしてもらう為にな、こちらへ魂を運んだあと記憶と性格を定着させたんじゃよ。

また話がそれてしまったなとにかく一度お主の魂は世界の境界を渡った、それも奇跡に近いのじゃ。お主は平気かもしれんが、その核である魂は、もう一度あちらへ行き輪廻に戻れるような状態ではないのだ。つまり、我の頼みを聞くも聞かぬも自由じゃが、元の世界の輪廻には戻れず、この世界の輪廻に戻ることになるじゃろうな。もちろん、周りと同じようにまっさらな状態でな」

「だから拒否権はないと?」

「拒否権はあるが、元の世界には戻れない。そもそも死んでいるのだ。いまのお主の状態のほうが異常なんじゃよ」

仮に戻れたとしても記憶なんてないのだから、さほど変わらないということか。

「そういうことじゃな、どうじゃ?理解できたか?続きを話すぞ。あと先ほどから口に出したり出さなかったりめんどくさいのう、どちらかにしてくれんか?」

「すいません」

慣れてないんだから仕方ないだろ…

「はぁ、まぁよい」

ディーネは大きなため息をつきこちらを向き直る。

「では、続きを話すぞ」

「はい」

「まぁ、我の世界の知識は転生後の肉体とともに突っ込んでおくから省くぞ。」

こいつ、整理整頓とか言って押し入れにもの無理矢理突っ込むタイプのめんどくさがり屋だな。

ここまでの会話でもうなんか、敬う気持ちはなくなっていた。いや、最初からあまりなかったが。

とにかくこの状況に慣れてきたんだろうな。

「お主にやってもらいたいことはな我の世界のバランスを元に戻すために魔王になってほしいんじゃよ」

はい、来ました。魔王転生!魔王となって愚かな人間どもを駆逐し、数を減らせ!そんなとこか?

勇者っていう柄ではないし別にいいんだがな。

「話が早いな、まぁそういうことじゃ、愚かとは言わんがな。元は魔物と呼ばれるものがその役を担っていたんじゃがな。

人も賢く対抗する術を見つけてしまい今では、魔物の数も随分と減ってしまった。人が生まれる前より住み着いてるより強大な龍と呼ばれる種族は我関せずで、このままではバランスが崩れ、せっかく作り上げた世界が変容してしまう。そこでじゃお主には魔王として誕生してもらい、我の権限の一部を与えるのでそれを使い魔族という新たな種族を生み出し、率いてもらいたい、そしてバランスをとる基盤を作ってほしいのじゃ。」

小説の世界の主人公のようで楽しそうではあるが…まさか永遠にとかではないだろうな。

「それは大丈夫じゃ、そうじゃな1000年、お主の誕生から1000年後に勇者を生み出す、お主はそれに討たれハッピーエンドじゃ。ゲームみたいでよいじゃろ?」

「いやそれ、俺がバッドエンドじゃないですか?」

頑張って魔族せっせとこさえてバランスとってたのに1000年後死んでくださいとか、冗談じゃないぞ。

「もちろん、その時はもう一度ここに呼び出し、お主の願いを我ができる限りかなえようではないか。我はこの世界の創造神じゃ大抵の願いは叶うぞ。はーれむとかはどうじゃ?男というものはそういうのが好きじゃろう?」

そうにやにやしながらこちらを見てくる神様により一層敬う気持ちが薄くなる。

ゲームやらハーレムやら俗っぽい神様だな。

思っていることが伝わったのだろう不機嫌そうな目をこちらに向けている。

「神も暇なのじゃ楽しみくらいあってもよかろう」

あの様子じゃ、そういうゲームとかをしたんだろうな、俺の世界の神に借りて。ゲームしてたからバランス狂ったんじゃねぇのか?

「ギクっ、とっとにかく願いはその時に改めて聞く!それで?やるのか?やらぬのか?」

このまま拒否しても結局記憶をなくして再スタート。せっかくこんな小説の主人公のような立場に立てたのだ。逃す手はないだろう。

「やるよ」

「こちらからいっておいてなんじゃが、お主は恐らく人を殺さねばならぬじゃろう。そしてそれは数人ではすまぬ、先ほど数千万の魂を思って怒ったお前にそれができるのか?」

そういわれ、少し躊躇う。

「やってみせる」

自分に言い聞かせる。記憶も消え自分が消えるのが怖い、そのために人を殺すと言ってると同じだ。

道徳の授業では怒られるんだろうな…

「せめてもの情けじゃ、お主の良心を少し薄めてやろう。それで少しは楽になるじゃろう」

自分の葛藤を見たのかディーネはいう。

「ありがとう」

「この世界のためでもあるからの。ではこれからそなたの新しい肉体を作る」

そういうとディーネはこちらに手を向けた。するとディーネの体が光を放ち始めた。

こうしていると神っぽいのにな。

「余計なことを考えるな」

光を放ちながらこちらをあきれた顔で見る。

「<万物創造>」

そう唱えた瞬間あたたかな光が俺を包む。

「これが、そなたが初めてみる魔法、神の御業じゃ」

視界が真っ白に染まる、どれほどそうしていただろうか光が収まると目を開ける

「それが新たな肉体、名前は、魔王ヨハネ・リートじゃ!」

名を口にした瞬間再度を体が光を放つ。

「<名付>とともに力と権限、その使い方、この世界の知識を渡した、準備は完了じゃ、自分の姿を見てみるとよい。やり方はわかるな?」

どうやら力を使うと自分の姿も客観的に見ることができるようだ。

自分を見てみる。

白い髪に赤い目顔は中世的で20代前半のイケメンだ、前世とは似ても似つかない。

自分なのになんか悔しい。衣服は黒いズボンだけで上半身は何も身に着けてはおらず。

背中からは黒い悪魔の羽が生えている。

中二病というにふさわしい恰好に苦笑いが出てくるが、わくわくしてしまうあたり、まだ自分のその病は治っていなかったらしい。

「ヨハネそれでは、頼んだぞ」

「任せておけ」

魂が定着したせいか言動が少し変わってしまった。

「では、1000年後また会おう」

そうディーネがいうと魔法陣のようなものが足元に現れ、俺は異世界へと顕現した。

閲覧ありがとうございます。

長くなってしまった。

とりあえず魔王様誕生でございます。

次回からようやくディーネの世界へと移ります。

まぁすぐ戻りますが。

名前って考えるの難しいですね。それらしい造語を作れる人尊敬します(´・ω・`)


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