お養父さん※
「じゃあ、おじさん!
私、行くね・・・!」
梨華は大賢者に向かって笑顔で言う
本当なら手でも振りたいところだが
両手は、琉斗を抱えていてふさがっているので、
言葉と笑顔だけでお別れを言う
「おう!・・・また、元気でな。」
大賢者は、そんな姿を見て
少し寂しそうな気配を滲ませながら片手を上げる
「なによ〜!今生の別れでもあるまいし〜!
それに困ったら遠慮なくバンバン呼ぶわよ!
覚悟しておきなさい!」
そう言って、大賢者を少しでも安心させようと
普段はあまり言わないようなことを言う
「そうか・・・それもそうだな!
そん時は遠慮なく言えよ!
どこにいてもすぐ駆けつけるからな。」
大賢者は、それを聞くと、
これ以上梨華に気を使わせまいと
気を取りなおしたようにする
「うん!頼りにしてるよ!
・・・・・・じゃあね!」
梨華も、少し俯くと、
見えないように寂しそうな顔をして
それを一瞬で元の表情に戻して言う
「・・・ああ、じゃあな!」
だが、そんなことはお見通しの大賢者は、
これ以上引き伸ばしにして
離れ難くなってしまう前にと別れを告げる
「うん!・・・テレポート!」
梨華は、呪文を告げ青白い光に包まれると
転移する一瞬前に、こう叫ぶ
「・・・お養父さん!
今まで育ててくれてありがどう!」
そう言うと大賢者が驚いて声を上げる間もなく
見計らったかのように消え転移する
「・・・っ!
お養父さんなんて呼ばれたの始めてだなぁ・・・
大賢者は、感慨深そうに呟き
てっきり、私が父では嫌なのかと思っていたが・・・
そうか・・・
梨華も・・・私を父だと思ってくれていたのか・・・」
その、梨華と同じ、黒色の瞳から、大粒の涙を零す
「そうか・・・そうだったのか・・・」
そして、その涙を隠そうともせず
押し殺そうともせずにただ、
流れるままに任せ空を見上げる
その、大賢者の横には梨の華が堂々と咲き乱れていた




