当てっこ
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「ただいま〜!連れて来たよ」
「おかえり。どれ顔を見せてくれ。」
今はすやすや眠る琉斗を大賢者にそっと渡し、二人で寝顔を覗き込む。
「よく寝てるから起こさないでね」
「ああ。しかし可愛いな。ほっぺが柔らかそうでつつきたくなる。というか、君の小さい頃にそっくりじゃないか」
「あはは、そうでしょ!すっごい似てるのよ」
「ああ、目なんか特に君と同じ黒で、目つきもそっくりだな」
大きくてはっきりとした黒い目に。ふわふわとした金色の髪。鼻と口はまだとても小さい。
「うん、そうだね。金髪は陛下に似たのかな?」
「ああ、そうみたいだな。ここまで見事な色もなかなか珍しいぞ。父親が冒険者の設定で大丈夫か?」
「うーん。とはいえ貴族や商人の隠し子とか庶子とかになると色々相手を勘繰られて面倒だし。それ以外に私と関係がある人っていないもん」
「まあそうだな。平民にも金髪がいない事もないし、騎士階級の三男坊あたりが冒険者になる事もあるから説明はつくか」
「うん。そういう感じの説明で濁しとくよ……ていうか、座ろうよ。ずっと立ったままで琉斗も落ち着かないよね〜」
「いや、赤ん坊っていうのは立ったまま抱っこしないと気に入らなくて泣く事が多いんだよ。君の時はそうだったから多分……」
「ふえーんっ!ふえーんっ!ふぇーんっ!」
大賢者が試しにそーっと座ると突然琉斗が泣きだした。梨華は驚いて慌てて大賢者から琉斗を受け取り、立ち上がってみる。すると途端に泣きやんだ琉斗をまじまじと見る。
「わわっ!えっ?ほんとに!?」
「なんでだか知らんがこんな感じだから、寝かしつけが大変だぞ〜。ちょっと良いか」
梨華から再び琉斗を受け取った大賢者は、腕に抱いた琉斗を優しく揺らし始めた。さらに目線を合わせて落ち着く声で話しかけてあやす。すると話しかけるにつれだんだんと、とろんとした表情になっていって琉斗は眠ってしまう。大賢者はそのままベビーベッドに慎重に寝かせて薄い布団をかけた。
「すごい……なんでそんなに簡単にできるの?」
「まあ要するに慣れだ、慣れ。今は無理でもそのうちできるようになるさ。慣れてもうまくいかないこともあるけどな。そういう時は落とさないようにしばらく魔法で浮かしておけ。その間にご飯食べたりできるからな。案外宙に浮く感覚が面白いらしくて効いたぞ」
「ふふっ!まあ、気楽にやるよ」
「ああ!気楽にな。疲れたり辛かったらすぐ連絡しろ。しばらく手伝いに行くから」
「うん!その時はよろしく」
梨華がそう言って大きく頷いた時、琉斗が大きな声でまた泣き始めた。
「うぇーん!うぇーんっ!うぇーん!」
「おっとっと!もう抱っこして欲しくなったかな?」
「ん?ああ、これは……」
「ちょっと待った!」
琉斗を抱っこした大賢者が説明しようとすると、梨華がそれを止めて原因を考える。大賢者はニヤニヤと笑ってからかう。
「お?分かるのか?」
「うーんとね、これは多分……お腹すいたんでしょ!」
「ブッブー!違いまーす。これは、オムツでーす」
「えー!そんなー。絶対ミルクだと思ったのになー!」
「残念でしたー。ほらほら、冗談言ってないでオムツ替えるぞ」
「はーい。どうやってするの?」
「これはな……」
そうやって笑いあいながら琉斗の世話を教わって、その日は終わったのだった。




