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出生の秘密と大賢者の過去

2020年12月28日編集しました



「じゃあ話して、今すぐ話して」


「わ、分かったよ。それじゃあまずはなにから聞きたいんだ?」


「えっと、それじゃあ……わたし達が生まれたことや殺されそうになっていることを、いつどうやって知ったのか教えてちょうだい」


「それは情報屋から聞いたんだよ。ほら、君も会った事があるだろう?情報屋のディーンだよ。あの影みたいなおっさん」


「……あのね、おっさんっておじさんのほうが年上でしょう?おっさんなんて言ったらかわいそうじゃない。確かに何考えてるんだか分からない偽名野郎だけど、それでもいつもお世話になってるんだから」


「君も十分失礼だと思うんだが……」


 大賢者がその情報屋のことをおっさんと呼んだ事に、梨華は呆れた様子だ。ただ、梨華のほうが酷いことを言っている。大賢者も同じことを思ったようで言い返したが、梨華にキッと睨みつけられては何も言えなくなる。


「……それで、その情報屋からいくらで買ったの?」


「何を?」


「情報よ、じょ・う・ほ・う。けっこうしたんでしょ」


「あ、ああ、まあな」


 大賢者はいつもお金の使い道に関して梨華に小言を言われているため、梨華から目をそらしながら曖昧に答える。


「いくらしたの?」


「な、何でそんなこと……」


「だーかーらーいくらしたのかって聞いてるの」


 梨華は大賢者の煮え切らない態度にいらいらしてきて、強い口調で問い詰めた。


「五十万……」


「五十万っ!?いくらなんでも高すぎでしょ」


「分かってるさ、でも僕はこれでも大賢者だよ。これくらいならなんてことない金額さ」


「それは分かってるけど、そういう問題じゃないでしょ。いくらお金持ちでもぼったくりに変わりないから。今度あったらぶっ飛ばしてやるんだから!」


 梨華の今にも殴り込みにでも行きそうな剣幕に、大賢者はそれまでと打って変わって真剣な顔になって静かな声で言う。


「梨華、そんなことしなくていい。それは正当な対価だと僕は思っている。王族の情報は高いのは当然の事だし、それにたったの五十万で君の命を救えたんだ。それくらい君に比べれば安いもんじゃないか」


「おじさん……」


 梨華は大賢者の昔から変わらないだろう深い愛情に感極まって瞳に涙をため、照れくさくてそれを隠そうと顔をうつむかせる。


「ま、まあそういうことだ。聞きたいことはもうないかい?」


 大賢者も恥ずかしそうにして慌てて話をすり替える。梨華もそれに乗って、他に聞きたいことがないか考える。


「えっとね、他に聞きたいことは……そうね、そもそも何で私を助けたの?おじさんには何の利益もないと思うんだけど。王族の厄介事になんて、普通は関わりあいたくないでしょう?」


「……それはだな、当然のことをしたまでなんだが、それじゃあ君は納得しないだろう?


「ええ、それじゃあ納得できません。きちんと説明してください。」


「……実はそもそも君たちのお母さんは僕の初恋の相手だったんだよ。それこそ結婚してもいいと思うくらいには愛していた」


「えっ!私のお母さんを?だから私を助けたのね。でも、それじゃあなんで……」


「結婚しなかったかって?僕はそのつもりだった。だけどあの人は違った。自分は穢れているからと言って穢れてなんかいないと、どれだけ説得しても無駄だった。結局僕は諦めたよ。彼女が望まないなら仕方がないと」


「……私のお母さんってどんな人だったの?それに穢れているってどういうこと……?」

「君のお母さんは高級娼婦をやっていたんだ。それで自分のことを穢れていると言ったんだ」

「……なるほど、だから。それで、そのお母さんはまだ生きていますか?」

「……いいや、君たちのお母さんはもうすでに亡くなられているよ」

「そっか……一度会ってみたかったな」

「そうだね、会わせてあげたかったよ……あの人ならきっと君達を立派に育て上げたろうに」

「それじゃあ、その娼館で私の母と父が出会ったということ?」


 梨華は『娼婦と客として』という、直接的な表現を避けて言葉を選びながら聞く。


「そうだ、そこで君たちが生まれたんだ」

 

「そっか、それで他にも聞きたいことが……」




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