一足早く二人のSP確認
さて、アコロンという名前に成る予定の男の子が寝ているので、先に二人だけで能力確認をすることになったのだが。
「母よ、本当にこんな箱に手を入れるだけで解るのか?原理がサッパリ分からんのだが?」
「それについては、私も詳しくは知らないわ。これは、最近の皇帝が開発した能力判明器で、しかも試作段階だから。でも、かなり便利なのは間違いないわよ。今までは、実際に試してみないと自分の能力が分からなかったんだから。説明書が・・・・っと、あった。これね?」
そう言われて母から説明書を受け取るが。
「母よ。翻訳機は文字に対しては効果が無いのか?文字が読めんぞ?」
「あれ?私読めるよ。お兄ちゃん、読んだげるね。・・・えーと、まず箱の中にあるボタンを押します。「押した。」それから向かって右側にレバーがせりあがってくるので、それを右に倒「倒した。」さず、左に倒します。「・・・」右に倒すと5秒後にグローブがでて・・」
ドカッ! 「ウガッ!」
「・・・大丈夫?アーサー。ちゃんと説明は最後まで聞かないとだめよ?」
「そだよーお兄ちゃん。さっきの話でも初代がかなり洒落好きなんだから、その子孫が洒落好きを受け継いでるのは十分あり得る事なんだから。説明はちゃんと聞くようにね?」
「解った。続きを頼む。確か左に倒すんだったな。いいか?」
「・・・うん。大丈夫。そのまま倒すと、今度は前の穴から水の泡が出てくるから、そこに手を突っ込んで自分の好きな物体を思い浮かべるらしいよ?その反応に応じて、能力が分かるらしいよ。」
「・・・お、出てきたな。これに突っ込んで。」
チャプ・・・
「なにを思い浮かべてもいいのか?」
「うん、けど最初はなるべく小さい方が好ましいって書いてる。何でも、材料はその近くにある物全てだから、大事なものまで材料にしないようにだって。」
(ほう・・・随分と考えられた試作機だな。洒落が多いのは感心せんが。・・・さて、小さくて、この部屋にある物といったら、医療器具と母に習った人間の構成物質の水やらいろいろだな。結構あるから、懐かしの若き日の妻でもを作ってみるか)
ワシがそう思い、頭に思い描くと材料が集まってきて、徐々に人の形を取りだした。
(・・・かなり精密に再現されたもんじゃな。それに、妻の一番可愛かった頃の姿で、しかも裸じゃし。やっぱり、少し未練があるんかのー?)
「・・・お兄ちゃん、これは誰かな?私の未来の姿を想像ってわけじゃないよね?かなり具体的な裸だし・・・。」
「ホントねー。あ、もしかして、前世の恋人か、もしくは娘とか?」
「母の正解じゃ。これは、ワシの「私はマスターの記憶の中の奥様をモデルに作られました。シェーラと申します。短い間ですが、お見知りおきを。」・・・と言う訳じゃが。これは、何の能力の結果かいの?」
「えーっと、・・・あ、あった。物が喋ったりするのは、送命者だーね。説明書には、能力者が一から意識して機械やら紙やら、作った物ならその作る過程のイメージが鮮明であればあるほど、その通りの能力に成るらしいよ。・・・凄いじゃん!他に何か能力ないのかな。・・・あ、お兄ちゃん。この人を作るときに重力操作やら他の変な能力をイメージして無いよね?」
「ああ、ただ妻をイメージしただけじゃ。確か妻の能力は剣に火の力を宿して敵を斬る能力じゃったはずじゃ。それ以外は無い筈じゃが。」
「じゃー、お兄ちゃん。シェーラさんに何か別の能力が使えるか実験させてみんしゃい。何でもいいですけん。」
「・・・では、そこの箱を動かしてみろ。手を触れずにな。」
「・・・出来ません。」
「空気より軽くして浮かせられるか?」
「・・・無理です。」
その後も色々やったが何の効果も無し。
「…ダメみたいだね。じゃー、次はお兄ちゃんが自分でさっき試させた事を一通り試してみ?」
そう言われたワシは言う通りに試すと、色々やっていく途中で、シェーナが突然元の素材に戻ってしまった。
「・・・どうやら、お兄ちゃんのSPは送命者と復元者の二つの様だね。これってすごいんでないの?自分で作った物を自分で何時でも治せるんだから。勿論、訓練はしないといけないらしいけどね?」
「ふーん?流石はアーサーってとこかしら。んじゃ、次にモルゴースの番ね。お兄ちゃんが、あれだから期待しちゃうわねー。」
「そんなプレッシャーの掛かることを言うのはナッシングですよ奥さん。気楽にいかせておくなまし。」
「・・・その喋り方、どうにかならない?」
「うーん、普通に出るからどうにもなかんべ?」
「・・・まーいいわ。とりあえず、やってみて。」
「あいあいさー」
そして、モルゴースがワシがやった様に箱の中でごちゃごちゃした後、ワシの時によく似た、でもちょっと違う人型の人形が出てきた。
・・・何気に辺りの布を利用して服まで着けている辺り、やはり女の子と言うべきか。
「ジャッジャーン。私の未来の姿です。この位の美女に成る予定!お兄ちゃん、綺麗だからって襲わない様に。」
「・・・素材が素材だけに襲う気も無くなるわい。・・・それより、早う実験を始めんか?ワシも色々と試したいのじゃが?」
「むぅ・・・。わかったよー。それでは、先ずは・・・ほい!」
モルゴースがそう気合の入った掛け声を上げると、人型の人形がイキナリ動き出した。・・・という事は。
「モルゴースの能力の一つは念動力の様じゃな。他はどうじゃ?」
「んー?待ってよー。色々やるから。・・・」
それから数分後・・・
「・・・お・・・?ひょっとして、これですかな。」
そうモルゴースが呟くと、なにやら人形が小刻みに震え出した。
「・・・どうやら、もう一つ振動があるようね。二人とも二つずつあるなんて、優秀ね!流石は私の子。では、アーサーはエリスに坊さんシステムとEスーツ、アーサー参型の詳細を習って完全に自分の物にしなさい。そうすれば、生きた鎧となってあなた自身を守ってくれる筈よ。モルゴースは、今から貴女の養育係を紹介するから、その子に聞いて、先ずは歴史のお勉強からね。ついてきて。あ、エリスとアーサーは、悪いけどアコロンを見といてね。それとエリスはアーサーに文字を教えといて。」
「わかったべ~」
「解った。では、エリス宜しく頼む。」
「こちらこそ、教え甲斐がありそうです。」
そうして、一先ず別れて行動する事になった。
主人公にはやはりチートでしょ!(知力の方で)