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生まれてから解ったこと

ベッドに投げ出されてしばし、ノーラ嬢(母)が女の子と色々と話しているのだが。


ブルル・・ 寒い!


そう思い、隣で話す二人に


「おーい、話もいいが、いい加減寒いから毛布だけでも取ってくれ。これでは、風邪を引いてしまう。」


というと母が


「そうだった。アーサーが裸のままだった。ちょっと一緒に来てもらうわね?」

と女の子にいってから


 「今行くから~。」

と叫びながらやってきた。


そして、素早くワシに毛布を巻き、ワクチンを打ってから改めて自己紹介をする。


 「私はノーラ・ガルン。貴方達の遺伝子上のお母さんよ。で、貴方達の関係が異父兄妹になるわ。お兄ちゃんの方は中身がお爺ちゃんってのは聞いてるけど、妹になる君はどうなのかな?さっきの反応からして、君も外と中身が違ってる様だけど・・・。お兄ちゃんになる、アーサーは凄い吸収力だったから、君にも期待していいかな?」


ノーラ(母)がそう質問すると、女の子は、小さい頭をちょこんと傾げて。


「うーん、私は自信ないですなー。なんせ腐女子ですから、妄想は誰にも負けませんが。・・・あと、何やら周りがハイテクそうな機器に囲まれている所を見るからに、ここは随分科学が発達した場所なのですかいな?」


「どうかなー?貴女の前世の世界がどんな所だったかによるわね~。一応言っとくと、この星系は新人類と旧人類に分かれた戦争の最中よ。で、ここは宇宙船と言って、宇宙空間でも「宇宙船ですと?!」・・ええ、そして私たちは今、その宇宙船の中の謂わば研究施設で試験的に貴方たち7人の子供を育てようとしてるの。あ、勘違いしないでね?一応貴方たち全員私の遺伝子上の子供であることに違いは無いから、ちゃんと一人一人に養育用メイドロボを付け「ロボ!?」・・うるさい!説明の邪魔!「はい・・・。」・・何処まで言ったかしら?」


そういって、ワシの方を向いてくるので


「メイドロボを付けるまでじゃ。」

と説明した。


 「そうそう、・・で、アーサーの養育係はそこにいる、生まれたばかりの男の子に見惚れてる可愛い女の子。「・・・は!あまりの可愛さに失神しておりました。何という可愛さ!」・・ていう事だけど、アーサーは知ってるけど、一応彼女は、貴女が言うところのハイテクを詰め込んだロボットよ?・・はい!まだ説明の途中だからね?「・・・はい・・・」・・・で貴方たちまだ生まれて無い子も合わせて7人の子共をこの研究施設で15歳まで育てます。その後、コロニーという所にある私たちと同じ新人類が25歳位まで通う事になる軍人養成学校に入って貰う。ま、その時までにはその学校で習う殆どの事は私たちが教えている筈だけどね?実際の実技訓練なんかは、やっぱり上の子や下の子の実力も見た上でやった方が成長も早いと思うから。後、友達も同年代で作って欲しいしね?ここまでで質問は?」


ノーラ(母)のその一言で


ビシ!


と効果音が付きそうなくらいに勢いよく右手を女の子が上げた。


その、勢いに苦笑しながらもノーラは「はい、モルゴースさん。」といったが、当然反応なし。


そして、困惑気味に女の子が


「え~と・・・、もしかして、そのモルゴースという名前が私の今世の名前ですか?激しく嫌な名前なんですが?」


といった。・・ん?何故嫌なのだ?

その疑問をノーラも持ったようで

「なんで嫌なの?この名前は、かの初代機械皇帝が自分の護衛の王にアーサーと名付けた後、その対となる女性の護衛の女王に与えた由緒正しい名前よ?」


 「その皇帝、絶対元私の前世の世界の出身者で、絶対遊びで名前付けてます。私の前世の世界ではアーサー王伝説として色んな説があるのですけど、その中にアーサー王が実の姉と知らずにモルゴースと床を共にして子供を設けるという話があるのですよ。因みにアーサー王の妃はギネヴィアって名前らしいです。」


「「・・・」」


 (なんか、一気に初代のセンスが疑わしくなったな。・・・そういえば、システムも殆どの物にオオハラが使われた形跡があるし。・・・ボルティックアーマーも電子制御という事からのボルトから来た鎧の可能性が強いし、もしかしてエレファントスーツも象で無くelectricity(電気で動く)-fantasy(不思議な)スーツって意味じゃないのか?)


「・・まあ、その辺は置いといて。最初に戻ってモルゴース、何が聞きたいの?」


ノーラの質問に二人が導いた答えが

((逃げたな?))

だった。


「えーと。まず、宇宙船と言えば私の中ではこういった感じの形で中に操舵室やら機関室やらが配置された核燃料が詰まった物で、その中に先ほど言っていたロボット・・私の中では高さが最低でも5メートルはある金属の塊で後ろに核エネルギーの箱を背負って敵と戦う物ですが。それが沢山入っている乗り物ですな。」


女の子、モルゴースがそういいながら、身振り手振りで自分の中にある宇宙船の形をワシらに教えてくる。

 (ウーン・・・こういってはなんだが、説明しているというより踊っている様にしか見えん。

そう思い、ワシが近くにあった教育用のレーザーペン(スイッチを押すことで色つきの光が出て光の遮断された場所に色を付け、約一時間色が付くペン)で、自分の思い描く宇宙船を描いて女の子に確認させる。)

「おー!これです。こういった乗り物です。この中にさっき言ったような物が詰まっているのが私の前世で流行った物語の中に出てくる宇宙船です。」


そういって、女の子が大げさにはしゃいだ。

(こうやってはしゃいでいるのを見る限り、前世の年齢は行っても20歳位かの?もしくは14.5歳が良いとこか?)


そんなことを思いながらワシは微笑ながらモルゴースを眺めていた。


すると、モルゴースの質問に答えるようにノーラが


「悪いけど、ご期待の物とは違うわね。今私たちが住んでいる、この宇宙船は球体で外からの攻撃に備えて、限りなく摩擦面を少なくした設計をしてるわ。勿論、あらゆる角度からのレーダーにも対応できるように、常に回転しながら移動し続けているの。中にいる限り分からないけどね?」


「なるほど、宇宙空間だから相対性理論も運動量保存の法則も無視と言う訳ですか。なら・・。お母さん?や、少し放しておくんなまし?」


そういって、モルゴースは、ノーラに手を放す様に要求するが・・・。

(もしかして、この子は今の状況を理解していないのか?変に知識があるから、頭が固くなっているのか?あのまま行けば結果は解るはずだが・・・。)


 「ん?放せばいいの?・・・はい・・。」

そして、ノーラが手を放した直後


ベチャ!


「オーノー!宇宙空間で無重力なら私は浮いてる筈ではないのですか?」


(やっぱりか・・・。これは説明がいるようだな。)

そう思ってノーラを見れば、ワシの考えが分かったかのように頷かれた。


(はー、仕方ないか・・。)


「のー、モルゴース。最初にワシらが培養槽から出された時なんで二人が勢いよくお主とあっちの男の子を抱き上げて、注射をしたか解るかの?」


ワシがそういうと、モルゴースは手を顎に当て


 「うーん、そういえば。」


と、唸りながら


「なんで、こんなにハイテクな機器が置いてあるのに、空調管理が出来て無いのですかいの?これではまるで自然な環境で出産する条件そのまんまなのですが?」


と、なんと今度は意外なことに確信を突く意見を言って来た。


(フーム、この子は天然ではあるが、頭が悪い訳ではなさそうだのー?これはこれで、ノーラ達も育て甲斐があるだろう。)

そして、確信を深めるためにノーラを見るとまたしても頷かれた。

そして、説明してやる。


「お主が思った疑問は正解じゃ。この部屋はなるべく人が自然な形で生まれてくるように少し気温が低くなっておるし、重力も人が暮らすのに適切な1Gに保たれておる。これは、仮にどこかの惑星に降りた時を想定し、殆どの惑星が1Gなのを考慮しているからと、人の体はいきなり自分の体の倍の重さを支える事が困難だからじゃ。なので、最初は自分の体を1Gに慣らした後、徐々に体の成長に合わせ、鍛えていくことが推奨されておるんじゃ。これは、ワシが元居た世界でも同じじゃったから、理解はできておる。・・・人に体の仕組みはここで学んだがのー?」


そういって、ノーラを見ると


 「ホントに不思議だったわー?何で人の体が重力に負けない様に立っているかは分かるのに、骨格の事や筋繊維の事を知らないって言うんだから。初めは冗談かと思ったわよ。」


 「仕方ないじゃろ?ワシらは魔道という魔力を用いた道具を使う事で傷や病気を治しておったんじゃから、この世界の医療を知ってビックリの連続じゃったわい。」


 「ねー、医療は私の知識と似たり寄ったりみたいだけど、機械と電子機器もあるってことは、メディカルチェッカーとかもあるの?あと、コールドスリープとかは?」


 「へー?何か、知識が色々とバラバラねー。まー、結論から言えば、そういう物に酷似した物はあるわね?例えば、坊さんシステムを「ぶっ!・・・なにそれ(笑)、坊さんシステムって。ひょっとしてあのお坊さん?」・・まー、言いたいことは何となくわかるけどちょっと待ってね?その坊さんシステムを使用した半自動稼働医療装置ナイチンゲーロ「・・・」我慢してね?・・が、貴女の知識で言うメディカルチェッカーだと思うし、永久保存用睡眠カプセルヨイ―コーがコールドスリープの事だと思うわ。・・・どうぞ?」

ノーラの許可を得たモルゴースが盛大に急き込みながらに噴き出した。


(まー、さっきから口を思いっきり塞いでいたから予想は出来たがの?)


「バーハ・・・ゲホッ・・・ゴホッ・・・なんで・・・ゲホッ・・・ハァ・・・初代は・・・ハァ・・・そんなに洒落が好きなの?・・・笑い死にさせる気か!」


盛大に噴出した後、モルゴースがそう叫ぶので、ワシは理由を聞いてみた。


「のう?モルゴース。何故そんなにおかしいんじゃ。ワシにはあまりわからんが?」


ノーラも「うんうん」と頷いておるから、モルゴースの前世が関係しとるというのは解るが。


「・・・あのですね?先ほど言った事が前提に成りますが。多分、初代は医療用の機械に関しては過去に戦争時に数十人の看護婦、ここではどのように言うのか知りませんが、その数で怪我人を治療して行った、一種の英雄がナイティンゲールという人なのです。そして、睡眠カプセルに関しては、ボーヤー、ヨイコダネンネシナーという歌がありまして、その歌から取ったのだと思います。」


「「・・・」」


モルゴースの説明を聞いたワシらはそのまましばし固まってしまった。


「はー、この分では他の名称も冗談が多そうですなー?・・・そういえば、さっきから大人しくなったその子はなんという名前ですかいな?」


 「・・ああ、寝ちゃったみたいね。後で説明するつもりだったけど、名前はアコロンよ?これも初代の皇帝がガーディアンに付けた物を付けているんだけど、・・・その顔を見る限り、また関係がありそうね?」


ノーラの言葉にまたもや首を縦に振るモルゴースであった。


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