アーサーと二人の親友の誕生
「・・・で、この部分をこうしたら・・・ほら、腕に装着できるタイプのレーザー放射器になったでしょ?これ位は、旧人類でも簡単に使えてる武器だから対処法は知っといたほうが良いから教えるとね?このタイプは連続機動性には優れるけど、一旦止まれば再充填に約一分は掛かっちゃうの。だから、複数対複数の場合はどれだけ相手に早めに使わせるかがカギになるわ。それから、・・・」
今は、歴史はいったん止めてこの世界の戦争のやり方について勉強中だ。
これがまた面白い。
宇宙の中では歴代の機械皇帝が開発したEスーツやアーサー参型が鎧として活躍しているが、それは殆どがオーパーツと呼ばれる初代の愛したガーディアンからの貸し出しで、殆どの者が新人類も旧人類も自らの開発した劣化版を使用しているという事だ。
特に旧人類は人の何倍も大きな機械の中に入って、その機戒を通して能力を宇宙空間で使用している。
それに対して、新人類は皇帝の恩恵もあってか坊さんシステムとやらをふんだんに使って、ガーディアンたちが使用しているオリジナルスーツに負けるとも劣らないスーツを自ら開発した者が、戦線の最前列で猛威を振るっている。場合によれば大人しいタイプのガーディアンより、それらを開発した者たちの方が旧人類に恐れられているという事らしい。・・・因みに、教えてくれている女性もその一人だとか。
そんなこんなで、色々な知識(軍関係から医療関係(医療はナノマシンで改良された特殊ウイルスを生まれた時にワクチンと共に注射すれば体の中に寄生して滅多な事では病気にならない。)、教育関係(一応このような時代でも学園関係はキチンと存在しており、ワシが女性に教えられた内容が全て教えられているほか、子供同士の教え合いや宇宙空間でも実際の実技など幅広いことが教えられているらしい。実技に関してはワシも生まれてから習う予定だ。)まで)を幅広く教えられている間に月日は過ぎ、明日外に出られるという事が、今日告げられた。
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「さ~、いよいよ貴方の生まれる時よ。名前はアーサーよ?かの機械皇帝の忠実なガーディアンにしてガーディアンを束ねる王の名前をもらったわ。下には貴方の名前ゾールマン。中間には私の家族名ガルンを付けて貰う。あ、言い忘れてた。私はノーラ・ガルン。で、貴方がアーサー・ガルン・ゾールマンよ。普段はアーサーって呼ぶから、慣れて頂戴。」
「解った。こちらこそ生まれたら色々迷惑をかける事になるから、よろしく頼む。」
「任せなさい。それも楽しみのうちよ。」
「マスター、そろそろです。どうやら彼が最初の様ですから、一旦下がってください。」
「だって。それじゃ、少し離れるけど、直ぐ近くにいるから。心配しないでね?」
「そんなことで不安になるような人生は送っとらん。心配するな。それより病原菌対策の例の薬と寒さ対策の毛布を忘れんでくれ。幾ら意識があって、我慢できるといっても、寒い物は寒いだろうし、風邪位は引くかもしれんからな。後は、他の子らの事を心配してやれ。君らの話によれば、ワシのすぐ後に女の子が一人と男の子が一人生まれるのだから、そっちの心配をしてやれ。」
「まー、そうなんだけどね?私としては、他の子はおまけなのよ。確かに、遺伝子的には私の子なんだけど、私が好きになった人の遺伝子からは貴方しか子供が出来なかった。他の子はその人の兄弟の遺伝子から出来た子だから、貴方の友人や親友、盾や剣と言った、護衛のつもりなの。ま、全員に変わらない愛情は注ぐ心算だけどね。」
「ならいいがな。」
ピーーーーーーーーーーーーー
「あ、少し早いけど。誤差の範囲ね。エリス、そっちの男の子をお願い、私はこっちの女の子を毛布に包むから。アーサーは悪いけど、自分でその毛布を取って、体を温めてね?」
「了解だが、体が動くのか?動かなかったら、幾らワシでもできんぞ?」
「その場合は、少し我慢して?私がやったげるから。」
「頼む。」
{お知らせ。ただいまから、赤子が排出されますので、各人用意をお願いします。・・・3・・・2・・・・2「ちょっと、なにそれ」・・・1・・・ゴー}
ノーラが喚いている間にカウントは終わり、まずアーサーが排出された。
「ふぅー、やっと運動できるな。・・・ック、手が届かん。スマン、母よ、少し待つから早めに頼むぞ。」
「うん、ごめんね。」
ピーーーーー!
そして、女の子と男の子が同時に排出された。
「エリス、そっちは任せた。」
「了解です。マスター。」
そして、ノーラが生まれたばかりの女の子をベッドから抱きかかえ、毛布に包んだあとワクチンを注射して、翻訳機をセットすると。
「ねー、おねーさん。さっきの注射みたいなのって何?」
と、いきなり自我が芽生えていると思われる発言をした。
というより、またも前世の記憶がある様だ。
ノーラは少し考えてから、ニッコリと微笑んで。
「私は、ノーラ・ガルン。貴女のお母さんよ?」
と言ってやると、女の子はしばし沈黙し、次の瞬間
「えーーーーー!?それって、どういうことーーー?」
という、絶叫が室内に響き渡った。