7/11
<6>
ざわり、と大気がうねる。
色素の薄い髪と、それに合う色合いの狩衣に身を包んだ浮世離れしたような印象を持つ男――柊は瞳を細めた。
すでに知られてしまった。
けれど、しばらくここには近づけないだろう。
結界を破ってしまったものの、まだ完全には崩壊していない。消えるまでにはまだ時間がある。
「さて、この状況をどうしますかね。今回の姫様は」
口元が孤を描く。
彼が封印を解かれたのは実に千年ぶりだった。それまでに幾度となく封印を強化してきたが、ここらが限界だったのだろう。
長い時間だった。
長い長い、刻。
「今回ばかりはあまり選択の余地がありませんが」
気の遠くなるような時間は力を増幅させ、そして人々が恐れをなくすのにはあまりにも短い時間だった。
これから起こるであろう不穏な未来を知らせるかのように、風が音を立ててうねった。