古古古マイ
「……久しぶり」
「えっ? も、もしかしてマイ、なのか?」
「……そうだよ。三年ぶりかな」
「どこに……どこに行ってたんだよ! 探してたんだぞ! あれからずっと!!」
「……ごめんね。大きな袋に詰められた後、暗くて寒いところで動けなくなっちゃって」
「そんな状態で三年も……? 拉致、監禁じゃないか! 酷すぎる……!」
「……もういいの。こうして出てこられたんだし。あっ……!」
「フラフラじゃないか。ほら肩に捕まって……うっ!」
「……ごめんね。臭いよね。ずっとお風呂にも入れなかったから」
「あんなに甘くて良い匂いだったマイが……酸っぱい臭いに……!」
「……肌もボロボロでフケもいっぱい出ちゃってる。もう私に魅力なんて感じないよね」
「と、とにかくお風呂に入ろう! お湯につかってさっぱりすれば気分も変わるだろうし」
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「……ごめん、力が出なくて。体、洗ってもらえないかな」
「あぁ、脱がせるぞ。…………っ! これはっ……ガサガサじゃないか」
「……乾燥肌ってこんな風になるんだね。少しひび割れちゃってるかも」
「シャワー、かけるぞ」
「……熱っ」
「すまんっ! ぬるめにしたつもりだったんだけど」
「……だいぶ肌が傷んでるみたい。水でいいよ」
「わかった。洗剤が染みるかもしれないし水だけにするぞ」
「……うん。あ~、気持ちいい」
(凄い量のフケと皮脂だ。これが三年間分の……)
「……痛っ」
「ああっ、ごめん。強かったか?」
「……うん。ふふっ、あの頃はあんなに激しく洗っても大丈夫だったのにね」
「今日はゆっくりめに洗うよ」
(だいぶ、皮脂の汚れが落ちてきたな)
「……そろそろお湯……ううん。まずはお水に漬かりたいな」
「水でいいのか? ……わかった。出る時は手を貸すから声をかけてくれ」
「……うん、また後でね」
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(長いな……もう二時間になるぞ。こんなに漬かっていて大丈夫なんだろうか)
「ねぇ、やっぱりお湯に入ってもいい?」
「あ、あぁっ、いいぞ。熱めにするか?」
「うん、もう大丈夫そう。とびきり熱いのでお願い」
「ようし、わかった。温泉より熱くしてやるからな」
(よかった。さっきよりもだいぶ元気が出てきたみたいだ)
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(そろそろお湯に漬かって一時間になるか。計三時間の長風呂だ。……気絶とかしていないよな)
「ふぅ~。気持ちよかったぁ」
「マ、マイ、その姿は……!」
「どう? 前と同じ……とは言えないかもだけど、だいぶ良くなったでしょ?」
「あぁ……! 肌も艶やかで、甘い臭いもして、以前のマイとほぼ同じだ……!」
「ちょっ、やだ……そんなに見つめられたら照れちゃうよ……」
「マイ……マイ……! 逢いたかった!」
「きゃっ♡ ……もしかしてアタシ、今から食べられちゃう感じ?」
「ダメか?」
「ううん、いいよ。一番ほかほかで美味しい時に食べて欲しい♡」
(あぁ、このマイだ。この元気で魅力的なマイに俺は惹かれたんだ)
「これからは、毎日俺と一緒にいてくれるか?」
「喜んで。……ちょっとお風呂が長いかもしれないけど」
「それぐらい……マイといられるのなら屁でもないさ」
「嬉しい……♡」
「マイ……いただきます」
「はい、召し上がれ♡」
「「♡♡♡」」
おしまい。
どうなるんですかね、古古古米。
病気やカビなど人体に与える問題がなければ、炊き方次第な気もするんですけど。
酒や油を加えて炊く方法もあるみたいです。
美味しく食べられればいいですね。




