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最強転生者パーティがエンドコンテンツの島に挑む!  作者: 北杜康子
序章 最強パーティ結成!目指せ「エンド島」
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序章/第1話 勇者と、チンピラ悪役令嬢と、メスガキジジイ

 大陸の最南東の港町より客船は蒸気をあげて外輪を回し、数千総トンの身体をグイグイと前へ進めていく。

 僕の”最終目的地”その玄関口となるロール島へはここから船で5日程。吹く風は暖かく波は穏やか、提供される食事はとても美味しかった。


 それは明日の朝には港に着くという日のある午後だった。甲板では様々な年齢や人種の人達が食後の日光浴を楽しんでおり、僕はといえば同じくベンチに座って昼食のデザートの甘さを頭の中で反芻しつつウトウトと微睡みを享受していた。


「このガキ!大人しくしやがれ!!」


 男の怒鳴り声。見ると船乗りと思われる大男が、まだ齢7,8と思われる少女の手首を掴んで鬼の形相で睨みつけていた。


「ごちゃごちゃ抜かすな殺されてえのか!!」


 船乗りは少女の腕を乱暴に引っ張りあげ、凄まじい声量で怒鳴り散らしている。見て見ぬふりが出来るほど僕も大人ではない。

 そこまでにしなよ、と声をかけようとしたとき……

 

「やいやいやい!大の大人がガキんちょ相手にキャンキャン吠えて、情けねえとは思わねえのか!!」

「なんだあ!?てめえは!」


 真紅のドレスに身を包んだその女性は、まるで黄金の絹糸のような髪を風になびかせ男の前に仁王立ちで立ちふさがる。ツンと尖った気の強そうな目の中の、強い意志を秘めた赤い瞳は有無を言わせぬ眼力で船乗りを睨みつけていた。


「で…でもよお!」

 水をかけられた犬の如く勢いを削がれた船乗りは少女の腕から手を放す。


「俺はよ、このガキが手すりから余りにも身を乗り出すもんだからよ。おいガキ危ねえよっつったんだよ。なんせ、この海域には甲板まで飛び上がって人の頭を齧るフライングシャークって魔物がいるからよお。そうやって説明したらよお!」


 少女が口を開く。

「うざいんじゃよハゲデブキモキモおぢさん。そのくっさい口を閉じて部屋で船乗り仲間とせんずり合戦でもしておれ。これ以上邪魔をするならまずはあんたの頭を細切れミンチにして海に撒いてフライングシャークの養殖でもしてやろうかの。そしたらフライングハゲデブキモキモシャークの完成かのお!…って言っただけじゃろ。いちいち怒ってキモいんじゃよ、お・ぢ・さ・ん!」


「えぇ…」

 女性の強い意志を秘めていた筈の瞳が、困惑で揺らぐ。


「俺、体脂肪率は低い方だし髪も剃ってるだけなんだけどな…」

「でもまあよ、客からの暴言は慣れたもんなんだよ。それでも事故が起きるといけねえから、手すりから引き剥がそうとしたんだわ。そしたら、ほら」

 船乗りは少女の持っている銀色の杖を指差す。

「その棒っ切れで殴りかかって来やがってよ。危ねえから、つい腕を掴んじまったってわけ」


 話を聞いて金髪ドレスの女性は呆れたように深呼吸をする。


「…お前が全部悪いんじゃねえか、このビチクソガキ!!!」


「はあ〜?おぬしが勝手にアホ面で正義の味方気取りして間抜け晒しただけじゃろうが。ほれ、デカチチ馬鹿おばさんは向こうの酒場で腰でも振っておるのがお似合いじゃ。ばいばい、お・ば・さ・ん」


 なに〜!と激怒して少女に掴みかかる女性。

「お〜こわ。大の大人がガキんちょ相手にキャンキャン吠えて情けないの〜う」

 怒鳴る女性に煽る少女、船乗りはまあまあと二人を取りなそうとしている。これじゃあ振り出しに戻るだ。


「そこまでにしなよ!!」


そこで、ようやく僕は彼らに声をかけた。


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