文化祭は色々と回らなくっちゃいけないの!
※まずは評価に感謝!
そしてずっとお付き合いしてくださっている方々、ありがとうございます☆
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【みどり】は【文】と文化祭のブースを回る事となった。
その【みどり】達が向かったブースとは……。
展示会が行われていた技術室を退出してもまだ私にじんわり残ってる達成感。
これは、私から私への御褒美だ。
今年の四月からとは言え、私は色んな事を経験した。
不思議な事。
嬉しかった事。
悲しかった事。
びっくりした事。
楽しかった事。
悔しかった事。
数えきれないそれらの経験が私に新たな経験という勲章と、
次へ挑戦するというチケットをくれた。
この目には見えない勲章とチケット。
絶対に手放す訳にはいかない。
だから、私は心の奥底に大事にしまって歩いていた。
その勲章とチケットを手に入れられたのは勿論、私の後ろにいる、黒髪で、
日本人形のような顔をした、年齢不詳の女性の幽霊、ハイカラさんの存在が大きい。
ハイカラさんは、私が中学三年生になった四月から私の守護霊になってくれている。
一応、人では私以外には見えないし、声も聞こえない。
もし、あの時、ハイカラさんが私の守護霊になってくれていなかったら、
私は今、どうしているのだろう。
それを想像すると……いや、そんな事は止めておこう。
だって、なかったらっていう事を考えても仕方がないのだから。
そんな事を考えるより、つまらない事で後悔しないようにこれから先がんばっていこうと思う。
そう心に決めた私はこれからハイカラさんと文とで校内を巡る。
何故さっきまで一緒にいた美雪がいないのかと言うと、
美雪は午前一一時三〇分から上演される演劇部主催、'ハチャメチャ白雪姫'に主演するからだ。
どんな内容化全く聞かされていないけど、美雪がメインに脚本を考え、
主役である白雪姫を演じるらしい。
「ねえ、小松さん。宮本さん主演の'はちゃめちゃ白雪姫'、どんなのかな?」
「さあ。私も内容までは聞いていないんだ。
でも、美雪ちゃんが白雪姫を演じる事は聞いてる」
「へえ、そうなんだ。宮本さんのお姫様になったところ、早く見たいな!」
「私もマーちゃん殿の飼い主殿の晴れ姿、早く御見受けしたいです!」
ハイカラさんは普通に話してきた。
だけど、大丈夫。
ハイカラさんの声は私にしか聞こえないのだから。
そんなハイカラさんとは、心の中でも話せる。
けど、今回、私が二人に言う言葉は同じだったから、
「そうだね!」
て、二人に口で言った。
そんな私達は美雪主演の演劇が始まるまでの時間、校舎内のブースを巡る事を始めた。
三年生は電灯とやらでそれはないが、下級生や文化部のブースがいくつかあって、
どのブースを見るのか考えていたら、珍しく文がリクエストしてきた。
「天体部のブース? いいけど、文ちゃんって、天体が好きなの?」
「へへ、実はね」
「そうだったんだ! 私も星、好きだよ!」
「えぇっ、そうなんだ! 何か嬉しいな!」
それは新たな発見だった。
まさか、文と同じ事が好きだったなんて。
何だか私も嬉しくなった。
だから、星の話は弾んだ。
文は私が知らない星の話を沢山知っていた。
私も文が知らない星の話を沢山した。
そうやって私達が楽しく星の話を語り合っているのを、
いつの間にか私の隣を歩いていたハイカラさんが楽しそうに聴いていた。
そんな中で、実は、文が修学旅行で行きたかった大阪市立科学館には、
プラネタルームがある事を知った。
「へえ、そうだったんだ」
「うん、そうなんだ。私、プラネタルームに行った事がなかったから行きたかったの」
「そっかぁ。確か文ちゃんって、小学校の時の社会科見学の時、休んでたよね?」
「へへ。小松さん、よく覚えてたね」
「まあね」
私達が小学生の時、社会科見学の一環でプラネタルームを見学する事があった。
皆、色んな意味でそれを楽しみにしていたのだが、
当時同じクラスだった文だけが欠席する事を知らされ、私は記憶していた。
「私ね、張り切りすぎて熱を出しちゃってさ。
プラネタルームに行けなかったら行けなかったで、また熱が出て……。
結構、大変だったな!」
また、新たな発見だ。
文の事を少し知る事が出来た。
大した事じゃないかもしれないけど、それを知れた事は嬉しかった。
そんな喜びを感じている私は、文たちと天体部のブースに到着した。
このブースはさすが天体部というだけあり、色んな天体に付いての資料や模型が展示されていた。
それらの中には私達が知っている物から専門的な物まで数多くの展示物があり、
私達は時間をかけてゆっくり見学した。
時々ハイカラさんに享受しながら私はこのブースを満喫する事が出来た。
どうやらそれは文もハイカラさんもそうみたいで、その二人の顔は満足しており、
この天体部のブースを見学出来て本当に良かったと思えた。
そんな私達が気付いた時には、時計の針が一一時を示していた。
「あっ、文ちゃん! もう、こんな時間だよ!」
「本当だ! 急がなきゃ、いい席がなくなっちゃう!」
私達のクラスの演劇を含め、今回上演される全ての演劇には、
親御さんも見学出来るようになっている。
しかも、美雪が所属する演劇部が上演する'はちゃめちゃ白雪姫'は、
全国大会で上位の成績を収めていた。
なので、その演劇を観る生徒、親御さん、それに加え地元のてれび局関係までもが集まるので、
早めに行かなくては良い所で観れないという訳だ。
ちなみにその演劇は体育館で行われ、午前一一時から入れる。
だから、私達は急いで体育館に向かった。
そして、私達が体育館に到着した時には、もう体育館には入れるようになっていた。
予想通り、多くの人が既に集まっており、私達は出遅れたかと思ったけど、
生徒は優先的に前の方で観れたので助かった。
「文ちゃん、良かったね!」
「本当、良かった! 私、背が低いから前の方が良かったんだよね!」
「そう言えば文ちゃんは始業式の日、西園寺君と席を代わってもらってたよね」
「そうそう。何か、西園寺君に申し訳なかったなぁ……」
「きっと大丈夫だよ! 西園寺君、寧ろ喜んでたし!」
「えぇっ⁉ そうだったの?」
今でもはっきりと覚えている中学三年生の始業式の日。
あの日、文と西園寺は席を代わった。
その後、西園寺は立川とも代わったのだが。
実は、色々あったあの日以来美雪が望んでいた席替えは一度も行われていない。
一学期の途中までは美雪はそれについて文句を言い続けていたが、
最近ではあきらめて何も言わなくなった。
けれど、美雪は毎日、私の席に来てくれる。
勿論、最近では文も来てくれる。
そんな事を思いながら文と話していると上演五分前のアナウンスが流れた。
「もうすぐ始まるね、文ちゃん」
「そうだね……。何か、緊張してきちゃった!」
「私もドキドキしてきた……」
私と文は何故か緊張してしまった。
どうしてだろう?
その理由をハイカラさんが教えてくれた。
「みどりさん。
それは、みどりさん達がマーちゃん殿の飼い主殿の演劇を楽しみにしておられるからですよ」
「ハイカラさん⁉ そうなの?」
「ほほほ。そうですとも!
それが証拠に、私奴も、みどりさん達と同じ気持ちですもの」
「ハイカラさんったら!」
ハイカラさんのおかげでこの気持ちの理由が分かった。
それが分かったら、このドキドキが心地よく感じてきた。
すると、開演を知らせるブザーの音が体育館に響いた。
そして、体育館の照明は落とされ、体育館は真っ暗になった。
それからすぐに静けさが訪れた。
だから、文には申し訳ないけど、このドキドキの理由を教えてあげる暇がなかった。
でも、きっと、このドキドキの理由は美雪の演技を観たら分かる。
そんな気がしている私は、この体育館に集まっている人達同様、
静かに'はちゃめちゃ白雪姫'の幕開けを待った。
私は、小松 みどり。
私、文ちゃんの事、沢山知れて嬉しかった。
もっともっとお喋りして、文ちゃんの事を知りたいな!
ってその前に、み、美雪ちゃんが⁉




