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初めて乗る新幹線に乗って、いざ、京都へ出発だ!

 あっという間に修学旅行の日となり、【みどり】は新幹線に乗り込んだ。

 そこで期待と不安の間で【みどり】は緊張してしまう。

 果たして【みどり】は無事に京都に辿り着く事が出来るのであろうか……。

 秋の日は、つるべ落としというように、あっと言う間に過ぎ去り、

あんなにあると思っていた修学旅行の日となってしまい修学旅行へ出発する事となった。

 その日の集合場所は、私達が住んでいる所で一番大きな駅だった。

 そこから新幹線が走る駅まで石川達に引率され、私は生まれて初めて新幹線に乗る事となった。

「ねえねえ、みどりちゃん! 私、新幹線に乗るのって、初めてなんだ!」

「美雪ちゃん。私もそうだよ!」

「私もです!

 私と美雪との会話に入ってきた、この黒髪で、

日本人形のような顔をした、年齢不詳の女性の幽霊は、私の守護霊のハイカラさんである。

 一応、人では私にしか見えないし、声も聞こえない

 そんなハイカラさんは今回も私の為に修学旅行にこっそりと参加してくれている。

「あーん! でも、雨ってのがねぇ……。何で降るかなぁ……」

「でも美雪ちゃん。京都の方は晴れるみたいだよ!」

「だといいけど……。最近、さっぱり天気予報当たらないし、急な雨とか来たら嫌だなぁ」

 私達はまず新幹線で京都に向かう。

 それから電車で奈良に向かい、バスに乗っていくつかの寺院や公園を巡るのだ。

 そんな修学旅行一日目に色々な思いを馳せていると、音楽とアナウンスの後、

新幹線が静かにホームに入って来た。

 そして、空気が抜けるような音がして、その新幹線のドアは静かに開いた。

「ほら! 私語なんかしとらんで、さっさと乗り込め!」

 それから石川の濁声による注意喚起のアナウンスが流れる中、

私達は初めての新幹線に乗り混む事となった。

 緊張して足が震えていたけど新幹線とホームの間がほぼ皆無だったので、

私はスムーズに新幹線に乗る事が出来た。

 そして、各々が荷物を荷物棚に載せようとした時、新幹線は音も無く進み出した。

「うわぁ! みどりちゃん、動き出したよ!」

「本当だね!」

 窓側に座った美雪は窓の外の景色を見て、はしゃぎ出した。

 窓の外は灰色の空と壁しか見えない寂しい景色だったけど、

そんな美雪を見ていたら何となく私も楽しくなってきた。

 それから風を切るようにスピードを上げ走り出した新幹線の窓の外の雨粒達は、

新幹線に並行するように流れて見えるようになった。

「みどりちゃん。新幹線って、凄い速さなんだね!」

「そうだね、美雪ちゃん」

「このような乗り物がこんな速度で走るとは⁉ 何と、技術革新の進歩の恐ろしさ!」

「恐ろしくはないけど、本当に凄いね、ハイカラさん!」

 今、私は美雪と話し、心の中でハイカラさんと話している。

 もう、こういう風に話す事には慣れてしまった。

 だから、どんな話題が来ても対応できるのである。

 そして、こんなに話が弾むのなら、雨天でも良かったと思えてきた。

 そうやって、私は二人と新幹線の移動中の約二時間を過ごした。

 美雪もハイカラさんも色々と話し掛けてくれたから、

移動時間私はとても楽しく過ごす事が出来た。

 すると、窓の外は私の気分のように雲は減っていき、青空を覗かせた。

「うわっ! 天気、すんごく良くなった!」

「美雪ちゃん、天気予報が当たって良かったね!」

「まあ、私の日頃の行いが善いからかな?」

 得意気にそう言った美雪を見て、私は、くすくす笑ってしまった。

 そんな私を見たハイカラさんも、ほほっと笑っていた。

 そうやって楽しい時間は過ぎていき、場内アナウンスで次の停車駅が京都である事が知らされた。

「みどりちゃん。いよいよだね!」

「う、うん……」

 美雪にそう言われ、私の鼓動が高鳴っていくのが分かった。

 初めて下り立つ場所。

 そこは、一体どんな所なんだろう。

 楽しみと不安の二つの気持が私の体を揺らし続け、心臓がドキドキしてたけど、

ほんの少しだけ不安な気持ちの方が勝っていた。

 それに気づくと、何故か、不安な気持ちの方だけが大きくなっていった。

 どうしよう……。

 何だか気分が悪くなってきた。

 でも、楽しそうにしている美雪には気付かれたくない。

 だけど、少し冷や汗迄出て来た気がする。

 色々なものと一人で闘っていた私に、また、あの優しい声が聞えた。

「みどりさん、大丈夫ですよ。私が傍におります。

 それに、マーちゃん殿の飼い主殿もいますから」

「ハイカラさん?」

 私が顔を上げ通路側を見ると、そこに穏やかな顔をしたハイカラさんがいた。

 そして、そのハイカラさんは私の右肩にそっと手を置いた。

 触れられないはずなのにそこからとても暖かく、とても優しいものが伝わって来て、

私の不安は消えていった。

「ハイカラさん、いつも、ありがとう……」

「いえ。私は、みどりさんの守護霊ですから!」

「ふふ! そうだったね!」

 私はまた笑う事が出来た。

 そんな私に気付いた美雪は笑い掛けてくれた。

 すると、私はまた自然と笑ってしまった。

 そんな不思議な気持ちで過ごしていると遂に新幹線は京都へ到着した。

 京都へ到着する前にまた石川の濁声のアナウンスによる指示があり、

荷物棚から各々が荷物を取り出し忘れ物がないかをチェックした後、通路に並んだ。

 本来なら通路側に座っていた私が前に行くべきだったけど、美雪に代わってもらった。

 その理由は言わなくても美雪は分かってくれていたみたいで、

「みどりちゃん。私に付いて来てね!」

の一言だけで私の前を行ってくれた。

 そして、何も言わなくても私の後ろにはハイカラさんがいる事を感じ取れた。

 だから、私は団体行動を乱す事なく新幹線から降りる事が出来た。

 石川に嫌味を言われなくて済んだ。

 すると、嬉しくなった私の足取りは軽くなり、引率に遅れず付いて行き、

これから向かう場所は奈良だった。

 京都駅から私鉄に乗り換え奈良へと向かうみたいで、

地元では見る事が出来ない電車に多くの生徒達は修学旅行のテンションもあったけど、

とてもはしゃいでいた。

 勿論、ハイカラさんはその光景に例の言葉を並べ呆れていたけど、

そのいつものハイカラさんを見ると私は普段通りでいる事が出来た。

 そうやって奈良に到着した私達が初めに向かった場所は、昼食を取る為の大食堂だった。

 でも、何故かそこで出された食事は、皿うどんだった。

 そんな感想を持ったのは私だけでなく美雪も持ったみたいで、

私と同じ事を言い出したから私は少し笑ってしまった。

「ねえ、みどりちゃん……。何故に、皿うどん?」

「分からないけど……、食べよう、美雪ちゃん」

 取り合えず時間もあまり無い為、私達は食事を始める事にした。

 そして、私が食事を始めるとハイカラさんの視線が気になった。

 一応、箸の使い方について合格点をいただいてるとは言え、少しは気になるものだ。

 私がそっとハイカラさんを見ると、ハイカラさんは少し困った顔はしてたけど、

「まあ、よろしいでしょう!」と言った顔をしていた。

 恐らく、七五点と言ったところだろう。

 次こそは、八〇点は超えたいものだ。

 少し残念な気持ちのまま昼食を終えた私はまたバスへ乗り込んだ。

 そして、ここから本格的に修学旅行が始まった。


 私は、小松 みどり。

 ハイカラさん、ありがとう!

 もう平気だよ!

 昼食も食べれたし、次は奈良公園に行くんだけど……。

 あぁっ⁉ ど、どうしよう⁉

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