表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の守護霊は、ハイカラさん  作者: 紅p
 一学期
18/75

私と、ハイカラさんとの、二人だけの秘密のリクリエーション

 自然の家キャンプのリクリエーションが始まった。

 だがそこで、【八木】のあれも始まってしまい、【みどり】は孤立する。

 そんな【みどり】に、【ハイカラさん】が寄り添い、二人だけの秘密のリクリエーションが始まる。 

 六月の蒸し暑い晴天の日。

 私の中学三年生の自然の家キャンプはスタートした。

 まずは、リクリエーションからだ。

 最初のリクリエーションはキャンプ場付近を班ごとで一時間程散策する。

 と言っても、キャンプ場付近は自然しかない。

 なので、散策する事で自然の中だからマイナスイオンとやらで癒されるはずだった。

 けど、そうは問屋が卸さなかった。

 何故なら、八木が男子二人に囲まれ、あきらかに私を無視し続けていたからである。

 八木はあの一件以来、今日までは何事もなく大人しかった。

 班で話し合った時だって、普通に接してくれていた。

 なのに、これだ。

 私は薄々こうなる事を恐れていた。

 何故か分からないけど、八木の機嫌を私は損ねたらしい。

 これ以上私は八木のあれの被害を受けたくない。

 なので、この状況を見て見ぬふりしていた。

 すると、ハイカラさんが話し掛けてきた。

「あのメェメェとやら、ワザとですね……」

「多分、そうだよ。ハイカラさん」

 今、私が心で話している、黒髪で、日本人形のような顔をした、年齢不詳の女性の幽霊は、

私の守護霊の、ハイカラさんである。

 言うまでもなく、私にしか見えないし、声も私にしか聞こえない。

「以前、みどりさんが仰っていた通りですね……」

「うん。八木さんんは、昔からこうなんだ」

「よろしいのですか? このような待遇を受けても?」

「別に。大隈君も平井君もあまり話した事ないし。

 八木さんと話したい訳でもないから、いいんだ」

「ですが……」

 ハイカラさんは、機嫌が悪そうだ。

 きっと、この状況を良く思ってはいないからだろう。

 そんなハイカラさんに私はこう言って宥めてみた。

「私には、ハイカラさんがいる! あの中に入れなくっても楽しいよ?

 ハイカラさんは、私との散策は楽しくないの?」

 そして、私は私の後ろにいる、ハイカラさんを見た。

「勿論、私も、みどりさんとの散策、楽しませてもらっております!」

「じゃあ、それでいいよ。出来たら私の横に来てほしいけど……」

 実は、私は少し嫌な気持ちだった。

 だから、ハイカラさんに甘えてしまった。

 その気持ちを勿論、ハイカラさんは汲み取ってくれて、私の左横に来てくれた。

「では、残りの散策の時間、私はここで楽しませてもらいましょう」

「お願いします」

 そうして私は、ハイカラさんと自然を楽しんだ。

 すると、何も楽しめなかった自然の景色は、別の景色へと一変した。

 今朝まで降っていた雨のおかげで木々の緑は青々とし、

少し残った雫がその緑をさらに引き立ててくれている。

 そして、じめじめしていた空気は、何所からやって来た爽やかな風が吹き飛ばしてくれた。

 さらに、木々の美しさと空の青さが重なると、私の嫌な気持ちはその景色の中に消えていった。

 決して、景色が変わった訳ではない。

 唯、ハイカラさんと散策していると、いつの間にか私は顔を上げていて、

この景色の素晴らしさに気付けたから、私は笑う事が出来たんだろう。

 そして、その気分のままハイカラさんと自然を楽しんだ。

 ハイカラさん曰く、ハイカラさんもこういう散策を楽しんでいたらしい。

 でも、やっぱりハイカラさんの時代は、もっと色んな所にこういう自然が残っていて、

ハイカラさんが、当たり前の景色に見えるとか言い出した。

「もう、ハイカラさん‼ 風情が台無しなんですけど?」

「これは、失礼いたしました!」

 そうやって、私達は二人の秘密のリクリエーションを楽しんだ。

 この素晴らしい自然の中だとハイカラさんと話す事は何でも楽しい。

 だから、約一時間のリクリエーションなんてすぐに終わってしまった。

「もう、終わっちゃったね……」

「そうですね……」

「楽しかったよ、ハイカラさん! また、一緒にこういう散策をしようね!」

「承知しました。こちらこそ、お願いいたします」

 だけど、私とハイカラさんが約束をしていると、八木が話し掛けてきた。

「小松さん、リクリエーション、楽しめた? ごめんね。あんまり話せなくって」

「気にしないで。とっても楽しめたから!」

「えっ、そう……」

 そして、八木はまた二人の男子の下へ歩いて行った。

 その後ろ姿は何かを語っていたように見えた。

「また、何かを仕掛けてきそうですね……」

「うん。でも、覚悟は出来てる」

「みどりさん、私がいますからね!」

「頼りにしてるよ、ハイカラさん!」

 私はまた新たな約束をハイカラさんと交わし、リクリエーションを終えた。

 そして、昼食のドレッシング掛けパスタ作りへと自然の家キャンプは突入した。

 だが、名前通り普通のパスタを茹で、

家庭にあったドレッシングを掛けるだけの調理だったはずのこの昼食づくりにトラブルが発生した。

 そのトラブルとは、何と、八木が沸騰していない鍋の中にパスタを入れてしまった事である。

「ちょ、ちょっと、八木さん⁉ まだ、パスタを入れるのは早い‼」

「えっ? そうなの?」

「そうだよ‼ 普通沸騰したお湯に入れるんだよ!」

「えぇーーっ⁉ どうするの、小松さん?」

「とりあえず、パスタを出すね!」

 幸いな事にパスタを入れてすぐに取り出したので、

その後、調理してもパスタは無事に茹でる事が出来、昼食は完成した。

 そして、パスタの味も普通だった。

 そのパスタには平井が持参したドレッシングが掛けられ、私の家にはない物だったけど、

美味しかった。

「平井君、このドレッシング、美味しいね」

「そうか? 家では普通だから分からん。小松さん家ではどんなドレッシングあんの?」

「家はマヨネーズ派なんだ。だから、ドレッシングはないの」

「はっ⁉ 嘘だろ? こんな美味い物がないなんて……。信じられん……」

「はは……。お父さんがマヨネーズが好きだから、ドレッシングは買わないの」

「もったいない‼ 絶対、美味いのに‼」

「そうだね。こんなに美味しいんなら、買ってみようかな?」

「それを薦めるぜ。

 ついでに言っておくと、このメーカーのドレッシングはな、この味は上手いが、

駄目な味もあるんだぜ!」

「そ、そうなの⁉ 何でも美味しいのかと思った……」

「おうよ。気をつけな!」

「分かった。気をつけるね」

 そんな不思議な話を今まで一度も話した事のない平井と楽しみ、私は昼食を食べ終えた。

 すると、何だかこの会話でドレッシング掛けパスタの味がぐんと上がった気がしてきた。

 そして、片付けを始める事となった。

 洗い物は洗剤が使えない為、水以外に泥を使って洗っていた。

 でも、それをやっているのは、私だけだった。

 大隈は私達の班の班長で班長の集まりがあり、平井は使用した後の牧の片付けを行っていた。

 が、もう一人は姿が見えなかった。

「メェメェの姿を、御見受け致しませんね」

「きっと、何所かでサボってる」

「よろしいのですか?」

「良くはないけど、あんな事を平気でする人に洗い物はさせられない。

 きっと、適当に洗っちゃうから!」

「ですが……」

「気にしない、気にしない! 折角の気分が悪くなっちゃう!」

 今の私は機嫌が良い。

 それは勿論、ハイカラさんが傍にいてくれるからだ。

 でも、それだけじゃない。

 さっき、平井と話した事もその一つだろう。

 話した事が無いからと言って尻込みしていたけれど、平井と話すと平井は、普通に話してくれ、

意外と料理も出来るみたいで、その話で盛り上がり楽しかった。

 なのでその余韻があり、私は多少の事ではめげなかった。

 八木が面倒臭い事を私に押し付けている事を分かっていても。

 そして、私は自然の家キャンプで泊まるバンガローに行った。

 そこは女子が六人止まるバンガローで、そこには美雪が待っていてくれ、

私達は朝以来の再開となった。

 それから私は美雪と昼休みの間、色々と話す事にした。


 私は、小松 みどり。

 ハイカラさん、凄く楽しかったよ!

 あんなに自然って、綺麗だったんだ。

 今度はもっと長い時間、二人で散策しようね。

 えっ⁉

 美雪ちゃん、どうしてそんなに怒ってるの……。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ