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転移者の遺産

輝真は十字架の首飾り(ローウェル)の光が指す方向を歩いていく。いつの間にか帝国からかなりの距離を移動して、森の中に入り、奥へ奥へと進んでいく。そして光が止まっている場所に着く。輝真は辺りを見渡してみるが、何もない。


「ここに何があるっていうんだ…?」


「ここにはかつてこの世界にに召喚された人が使っていた家があるんです。今は空き家ですけどね。帝国に見つからないよう隠してあるんですよ。その辺に鍵が隠されているはずです。確かそこの木の洞の中だったかと…」


輝真はローウェルが言う木の洞の中を覗き込んでみると、確かにそこには鍵が隠されていた。輝真は洞の中に手を突っ込み、鍵を取る。


「確かにあったよ。これをどの辺に?」


『そしたら少し離れたあの木に小さな洞があるのでそこに鍵を差し込んでください』


ローウェルはその木に向って光を飛ばす。輝真はその木に近寄り、木の洞に鍵を差し込んだ。すると地面が左右に割れて地下への階段が現れた。


「おぉ……ここに入るのか」


『はい、そのまま道なりに進んでください』


「わかった」


輝真はローウェルの案内に従って地下へと降りていく。そして階段を降りきるとそこには扉があった。


「これは…」


『これがかつての転移者が使っていた家です。ここに住んでいた人はあなたと同様、召喚されて役に立たないジョブだからという理由で捨てられた人でした。この家も今後、召喚された人の為に残しておいたみたいです。なのであなたに教えました』


「なるほどな」


輝真は扉を開けようとしたが、押しても引いても開かない。


「…ん?開かない…」


『あぁ、さっきの鍵を使ってください』


「いやどう見ても使えないだろこれ」


扉には鍵穴らしき穴があるが明らかに大きすぎて持っている鍵では開きそうになかった。


『鍵の反対側を使うんですよ』


「え?これ飾りじゃないの?」


まさかの鍵の反対側の飾りのような部分を使うという常識を逸脱した解答に驚く輝真。言われた通りに反対側を差し込んでみると、確かにぴったりはまり、開いた。


「本当に開いた…」


『凄いでしょ?いやはや人の発想力には時々驚かされますね~』


扉を開き、中に入るとそこには家具が出揃っており今からでも生活ができそうだった。


「思ってたより広いな…」


『一人で使うには広すぎますねぇ』


一通り家の中を見て回ったがこの家、かなり広い。部屋も複数あって家というよりホテルっぽい雰囲気を醸し出していた。


(これを作った人って宿泊の経営者の仕事になりたかったんかな…)


「…ん?」


軽く内部を見て回った輝真は取り敢えず落ち着こうとリビングに入る。するとテーブルの上に本が一冊置いてあったのだ。


(なんだ?このあからさまに読んで下さいっていう感じに置いてあるな…)


輝真は本を手に取り、開いてみる。


"これを読んでいる人へ

この隠れ家を見つけたということはあの天使ローウェルに認められたということだろう。私はかつて日本という国からこの世界に転移させられ、ガレット帝国の皇帝に戦争に参加させられそうになった。だが私は作製士だったため役立たずとして帝国兵に殺されそうになった。だがローウェルの導く声のおかげで命からがら逃げ延びた。だが私は病気持ちでもう長くはない。だが最後にあなたにこの手記と私の全ての知識を託そうと思う。どうか私の知識があなたの役に立つことを願う。

P.S この隠れ家は好きに使っていいよ。"


「手記……?」


『かつての転移者が遺したものです。最初は彼に帝国壊滅を頼もうとしてたんですが、病気で長くなかったんですよね…。しかし彼は作製士の本領を独自で研究し、それをこの手記にまとめました。そして同じ作成師であるあなたなら彼の遺した技術を使いこなせるのではと思い、ここに導きました』


「…その人はどのくらい前にここに召喚されたんだ?」


『正確にはわかりませんけど50年ほど前なのは確かです』


(…あの帝国、俺達が違う世界の人だからってやたらと召喚してたとは聞いたが、そんなに前なのか…)


「その中で元の世界に帰れた人はいるの?」


『残念ながら帰れた人は1人もいません。あの歴代のクソ皇帝にいいように利用されるだけ利用されて多くの命が散りました。私が介入できたら真っ先にあのクソ皇帝を地獄に突き落としてやりたいくらいですがね。それに例え帝国の手から免れたとしても作製士の方ばかりでほとんど戦えずに死んでいきました。そこの手記を書いた彼が現れるまではね』


「俺達のような異界の人間は使い捨ての駒かよ……!」


輝真は拳を握り締め、より一層滅ぼしたいという気持ちが高まる。ローウェルが滅ぼしてくれても構わないと言ったのも納得がいく。というよりも、あの皇帝にも同じ目に遭わせてやりたいとまで思っていた。


『この世界で生きるためにもこの手記を見て学びましょう。ジョブを極めればこんなこともできるんですよ』


ローウェルはそう言うと光を放ち、投影する。そこには無数の剣を自在に操る女騎士、ドでかい槍を振り回す男、様々な高威力の属性魔法を撃ちまくる魔法使い、相手をしつこく追跡する矢を放ちまくる弓師等々、色々な映像が映し出された。


「…なにこれ?」


「過去にジョブを極めた者達の記録を私が保存したものです。どう?凄いでしょ?あなたも工夫すればこんなようなことができるようになるんですよ?もしできたら記念すべき初のもっとも極めた作製士として保存しておきますよ」


「どこの世界記録だよ!というかそれやるの!?」


と言いつつ輝真もあの映像みたいなことをやってみたいと思ってしまうのであった。


『それと元の世界に帰る方法も話しましょう』


「帰れるのか!?」


ローウェルのその言葉に輝真は声を荒げる。ローウェルは落ち着くよう促し、話を続ける。


『もちろん帰る方法はありますよ?と言っても簡単ではありませんがね』


「その方法は?」


輝真は食い気味にローウェルに尋ねる。


『この世界には強力な力を持つ7つのリングがあります。その名もインフィニットリング。かつてこの世界には魔王と呼ばれた一人の人間がいました。その魔王は絶対的な力で人々を支配していました。その魔王の力の源が先程のインフィニットリングです。それは7つすべて集めると持つ者の思うがままになると言われています』


(なんか、願いを叶えてくれるあれとか黄金になってパワーアップするやつみたいだな…)


『魔王の討伐に赴いた7人ジョブを極めた者達が一致団結し、7つのインフィニットリングを奪い取ることに成功したのです。そしてインフィニットリングを逆に利用して見事、魔王を討つことに成功しました。その後、ジョブを極めた者達は英雄と呼ばれるようになり、それぞれ1人が1つずつ持ち、有効活用しつつ、管理することになったのです。そして英雄達はインフィニットリングを悪用されないようにするために世界のどこかに隠したとのことです』


「それと元の世界に帰ることになんの関係があるんだよ?」


『さっき言ったように、インフィニットリングは7つすべて集まれば持つ者の思うがまま、つまり、元の世界に帰ることも可能ということですよ!』


「そういうことか!……ん?」


輝真はあることに気が付く。帝国も召喚の術を使っていたことに。


「そういえば、帝国も俺達をここに召喚する術を使っていた!あれを逆利用できないか!?」


『…残念ながら召喚はできても元の世界に帰すことはできないんです。というかあの術は複数の人間を生贄にして行う禁術です。今回も前に召喚した人間を使っていました。あのクソ皇帝のやることは毎回虫唾が走る…』


「……そうか」


ローウェルの怒り具合に輝真も黙る。だがすぐに切り替えて話を進める。


「インフィニットリングはどこにあるんだ?」


『それに関しては少し準備が必要になります。まずはあなたのジョブの腕を磨きましょう!説明は追々と』


輝真はかつての転移者が遺したこの拠点で色々と準備を始めることにした。

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