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ラビリーの地下

輝真はマナンストライカーを走らせ、隠れ家に戻る。マナンストライカーにセットしたスマホを見て周囲に人がいないか確認する。そして誰もいないことを確認すると、隠れ家に入っていった。


「おかえり、テマ」


輝真を出迎えるのは一希。彼女は今、杖なしでも歩ける。何故なら輝真が彼女に義足を作ったからだ。ピクセルのアドバイスを元に試行錯誤を重ねて完成させ、彼女の新たな足としたのだ。


「ご飯ならできてるよ。それとも風呂?一緒に入ってあげるから」


(こいつ、こんなに積極的だったか?)


誘拐されて陵辱の日々から解放された一希は輝真にベッタリになっていた。元の世界にいたときは同性からモテるクール女子だったのに、今はすっかり甘えたがりな僕っ娘になっていた。



輝真は一希と食事を取りながら、入手した情報を彼女に話していた。


「地下闘技場?」


「あぁ、ラビリーの街の地下で貴族達の間で話題になっている違法の闘技場らしい。そこで選手の勝敗を賭けをやっているとか…」


「……」


貴族と聞いた一希は不機嫌そうな表情を浮かべる。輝真は貴族達からも良からぬことをされたのだろうなと思いつつ、話を続ける。


「とはいえ、その闘技場は違法と言えるもので、最近、女の奴隷を仕入れたとか」


「もしかして、叶や玲衣達の内の誰かかもしれないってこと?」


「おそらく……な」


輝真の持ってきた情報に一希は息をのむ。輝真は今度は廃村のようにはいかないだろうなと難しい顔をしながらテーブルに肘をつく。


「ところでそれはどこ情報なの?」


「これ」


一希がどうやってその情報を仕入れたのか聞くと、輝真はピンポン玉のような大きさの金色の球体を取り出した。するとその球体はカメラのレンズを展開すると一対の羽根を伸ばすと2人の周りを高速で飛び回った。


「新型のドローンだ。廃村を偵察したときの改良版だ。手記やピクセルのアドバイスを参考にしてここまで小型化することに成功した。飛べない場所は転がって移動できる。こいつで貴族達の話を盗み聞きした」


「へ、へぇ…、なんか凄いの作ったね…。でも、金色って目立って誰かに拾われたりしない?」


一希がそう聞くと輝真はニヤリと笑みを浮かべ、説明する。


「金色なのは敢えてそうした。金目なものに目がない貴族はそれを拾い上げて自分のものにするだろう。それで相手の懐に入って潜入捜査できる。まあこれは金色っぽく塗ってるだけで本当は金じゃないけど、奴らはコロッと騙される」


「……ということはもう実験済み?」


「あぁ、これらを10個ほど放つ。カメラがついているからバッチリ記録できるし重要なものが撮れたらピクセルが報告してくれる。後はうまくいってくれることを祈るか」


「用意周到だね…」


「これくらい証拠を取っておかないとな。念には念をってやつよ」


「テマって、そうやって相手が言い逃れできないくらいの証拠集めて徹底的に追い詰めるよね。まあ、事実だから何も言えないけど」


「当然だろ?それに今回の件ばかりはただ制裁するだけじゃ済まさないつもりだ。あの盗賊のように一生不自由な暮らしをさせる。自分らが行ったことがどれほど罪深いか後悔する程に……」


輝真はそう言うと拳を強く握る。その姿を見て一希は心配になった。輝真の雰囲気が変わったのが見ているだけではっきりと分かった。まるで悪魔が企みをしているかのように。一希は輝真の心が歪んでいっているように感じた。


「テマ、疲れたよね?風呂入ろ?僕も一緒に入るから」


一希は輝真の腕に抱きつき、半ば強引に風呂に誘う。彼女は思ったのだ。彼がこれ以上歪んでしまわないよう、癒してやらなければと。


「一希、積極的過ぎだろ。もしものことがあったらどうするんだ」


輝真は一希がやたら積極的なことにもしものことがあったらと心配になる。一希はふふんと笑いながら自分の首に着いている枷を掴む。これは彼女が廃村に囚われていた時につけられていたものだ。何故か彼女はそれを外そうとしないのだ。


「これね、意外に便利なんだ。避妊効果があるんだよ」


「……っ!?」


「これさえあれば何度でも問題ないよ。もしテマが望むなら外して相手してあげていいけど?」


一希は頬を赤く染めながら言う。彼女は輝真がしたいなら受け入れるつもりのようだ。そんな一希に輝真は赤い顔をして、プイッとそっぽを向く。


「いや、今はいい」


「そう?まあ今はしょうがないか。じゃあその分はりきっていこうかな」


そして一希は風呂場でも寝室でも輝真を激しく求めたのだった。



新型のドローンの1機が街中を偵察していると、綺麗な正装をした男達がいた。ドローンはその男達を解析する。


【服装、宝石の装飾品からして貴族と判定……】


貴族と判定したドローンは地面に降りると、羽を収納し、転がって貴族達に気付かれぬよう近づき、一瞬だけ光る。その光で貴族達を気を引く。


「ん?なんか一瞬下が光ったような?」


「おい、なんか落ちてるぞ。なんだこれは?金の玉?」


「なかなかの輝きだ結構高価なものじゃないか?」


「でもなんでこんなところに?」


「誰かが落としていったとか?まあいいや、これは拾ったから俺のものってことで」


「おいおい、落ちてた物を拾うのかよ。……いや、よく見たらこの金の玉、装飾品の一部か?こんなの見たことないぞ」


「もしかしてお宝とか?」


「まっさかー」


貴族達はそんな会話をしながらドローンを懐にしまい、裏路地に入っていき、壁に突き当たる。彼らは壁に向かって手をかざすと壁が開き、地下へ続く階段が姿を現し、その階段を降りていった。ドローンはその場所をしっかりと記録して、羽を展開すると、貴族達に気づかれないよう、懐から抜け出した。そしてその場所を始めた。



【マスター、新型球体ドローンの1機が貴族の1人に拾われ、地下闘技場についてが少しわかりました。最近女性の奴隷を仕入れたというのは本当です。地下闘技場のチャンピオンが所有権を握っているそうです。その女性は照合の結果、井本玲衣であることがわかりました】


「あそこに玲衣がいるのか!?」


地下闘技場に玲衣がいることがわかり、輝真は思わず立ち上がる。すぐさま助けに行きたくなる気持ちを抑えながらピクセルに報告の続きをさせる。


【地下闘技場に続く道も発見しました。ですが普通の方法では入れません】


「入れない?どういうことだ?」


【魔術による認証システムです。VIPエリアみたいなもの思って貰えればよいかと】


「……予想してたが、そう甘くないか」


輝真は椅子にもたれ掛かり、どうしたものかと考える。いっそのこと貴族の1人を利用して意地でも潜入しようかとも考えた。するとピクセルがある提案をしてきた。


【……1つだけ、マスターでも入る方法があります】


「何?」


輝真はそれに反応し、ピクセルの方を向く。


【それは、マスターが闘技場の選手になることです。そうすれば中に入ることが可能になるでしょう】


「選手……ねえ…。ならそれで潜り込むのもありか」


客として入るのが駄目なら選手として入る。ピクセルのその提案に輝真は悪くないと判断する。それと同時に案もひらめいた。


「ピクセル、小型球体ドローンを拾った貴族をマークしてくれ」


【マスター、何をするつもりですか?】


「その貴族と交渉する。俺があの闘技場の選手として参加できるように」


輝真は不敵な笑みを浮かべながらピクセルに指示を出す。ピクセルは承諾し、その貴族がいる場所を突き止めると位置情報を輝真に送る。輝真はそこに出かける準備をする。


「ローウェル、今度はラビリーの街の地下闘技場だ。そこに玲衣がいる」


『輝真さん、ちょうどよかったです。実は私もラビリーの地下からインフィットリングの気配を感じました』


「なんだと?」


ローウェルのその言葉を聞いた輝真は目を丸くした。

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