9/19
6.4
パタン。
扉が閉まると、Kの瞳から、ホロホロと雫が零れ始める。
「イオさん。どうにかならないですか?絶対。絶対。ユルシカさん。王様の傍に居たい筈です」
「そう…ですね。アヤがあそこまで惹かれる存在が出来るとは思いませんでした」
「うっくっ。私。イオさんの傍、とても幸せです。ぎゅっ。とされると、イオさんに回復能力は無いのに、私の力が満ちてきます。なのに…なのに…」
「探してみましょう。どうにかする方法を」
「はいっ…だって…好きな人の傍には居たいですっ」
「ええ」
気合入れの様に、拳を作るKの頭を、イオはそっと撫で思考をフル回転させ始めた。
親友。
そして、大切な者の笑顔を護る為に。
______それでも。
時の流れは非情に二人の間に皹を生み出す。
片方は前に。
片方は地下に沈み行く為に……。