その89 遊園地で 3番目
もうすぐ90話に達成致します。
目指せ100話!
というか、構成上、100話で一旦区切りつけようと思ったんだけど……ちょっとこの調子だと無理だな。
「で、結局お前と一緒に行動することになるとはな」
「文句言うな。俺意外は女だろうが」
後方を歩く吉行と大貴。
吉行の顔は、心なしか少し暗かった。
対して、大貴の顔は、清清しそうだった。
「……まっ、二ノ宮がこっちの班に来たしな。お前は満足だろうぜ」
「んなっ……!!」
図星なのか。
吉行にそう指摘された大貴は、えらく動揺していた。
「仕方ないな〜大貴は。まったく」
「うるせぇよ!」
ちなみに、吉行達のグループには、吉行・大貴・夏美・美奈の四人がいた。
揃って、パーのグループである。
「あなたも大変ね。あんな奴と……」
「え?何の話ですか?」
「……一つ、聞いてもいいかしら?」
美奈にしては、やけに真剣な眼差しを、夏美に見せる。
「な、何でしょうか?」
その迫力に、夏美は軽く押されてしまう。
美奈は、言った。
「あなた……誰か好きな男の子でもいるの?」
「ブッ!」
柄にもなく、夏美は噴き出してしまった。
「な、何をいきなり……」
「いるんでしょ。そうじゃなかったら、雛森マコに誘われた時、行くなんて言わないわよね」
「け、けど、雛森さんとは、私、友達ですから……」
そう。
理由はともあれ、夏美とマコは今や友達同士。
誘われて来ることに、何も問題はないはずである。
しかし。
「理由はそれだけじゃないわよね?」
「……」
美奈は、変なところで勘がいい。
何故かは知らないが、そういう人物であった。
「……勝てませんね、中川さんには」
「美奈と呼びなさい。私が気にいった相手には、そう呼ばせてるのよ」
「……はい、美奈さん」
笑顔で夏美はそう言った。
「それで?あなたは誰か好きな人、いるわよね?」
「……はい」
顔を赤くして、夏美は呟く。
「……けど、無理にとは言わないわ。言いたくないなら言わなくてもいい。ていうか、普通は
言いたくないわよね?」
「まぁ、普通は秘密にしておきたいものですよね……」
「まっ、今はこの四人で、遊園地を楽しむわよ」
「……はい!」
本日、夏美は新たなる友達を手に入れた。
「いやぁ〜何だか凄いことになったわね」
「見事に周りが女子だけに……何だか悪い気がしてきた。僕、確実に邪魔だよね?」
健太の周りには、美咲・かなえ・ミサ・マコの四人がいた。
その為、健太は肩身が狭い思いをしている。
……鈍感もここまで来れば、もはや重症物である。
「そんなことないよ、お兄ちゃん!」
美咲は、健太の右腕にしがみつきながら、そう言った。
「そうそう。気にしない気にしない♪」
左腕には、マコが笑顔で健太に腕に抱きついていた。
まさしく、両手に花とはこのことだろう。
「……あんた達、やるわね」
「あはは……」
少し後ろでは、呆れるミサと、微妙な笑みを零すかなえがいた。
「そ、そうかな?」
「そうそう♪」
「今日はたくさん楽しもうよ、健太君♪」
完全に健太に甘えきりの美咲とマコ。
ついに見かねたミサは、
「あ〜もう見てらんないわ!とりあえず二人は健太君から離れなさい!」
と、健太から、マコと美咲の二人をひん剥いた。
「う〜」
「あ〜ん」
悲しそうな声を二人は出す。
「はいはい。これから乗り物とかに乗る時は、じゃんけんで勝った順に乗ってもらうからね」
「あっ。それいいかも」
健太がミサの提案に同意を示す。
「まぁ……健太君がいいなら」
「お兄ちゃんがいいなら……」
「私も賛成!」
三人とも、ミサの提案に同意を示した。
「それじゃあまずは、遊園地の定番……ジェットコースカーからよ!」