その86 球技大会 11番目
もうこれ以上続けるわけにはいかないので、強制的に終了。
サッカーの結末やいかに……。
「くっ!なかなか点が入らない……!」
「このままだと、延長だな」
点が入らないことに焦りを見せ始める選手たち。
そんな中でも、健太と和樹、一部の選手は落ち着いていた。
「この五分……この五分で、決着が決まる!!」
最初から予測していたらしい。
終了間際五分前まで試合が来て、未だに無得点と言うその状況。
しかも、選手のスタミナは、底を尽きてきているというこの事態。
この瞬間まで、健太と和樹は待っていたのだ。
他の選手達が、前の試合で疲れが残っているのとは違い、一年生である彼らは、今の今まで試合には出ていなかった為、力は十分に残っていた。
「だけど、先輩達の体力的にも、僕の体力的にも、この五分でゴールを決めないと、負ける」
健太は、頭の中でそう考えていた。
同様のことを、和樹も考えていた。
「「何としても、先にゴールを入れる……!!」」
やはり、この二人はどこか似ているようだ。
「今はこっちの方に流れが来てるぞ!ここで決めろ!!」
相馬学園側のリーダーが、選手達に向かって叫ぶ。
その声に答えるかのように、彼らは、残された力を利用して、ボールを相手ゴールへと運んでいく。
しかし。
(パシッ)
「あっ!」
「貰っていきますよ」
そのボールは、一瞬の隙を突かれて、和樹に持っていかれてしまった。
「先輩、パス!!」
「させるかよ!!」
和樹は、先輩にパスをしようとするが、側にいた相馬学園側の選手によって、それを阻止される。
そのボールは、そのまま味方選手に行き渡る。
「走れ!ヤバくなったら、誰かにパスだ!!」
ボールを渡された選手は、無我夢中で走る。
取られそうになっても、何とか体制を整え、難を逃れていく。
そして。
「シュートだ!!」
そのままボールを、ゴールに押し込もうとする。
だが。
「入れさせるわけにはいかない!!」
相手選手が、彼目掛けて突っ込んで来た。
「くっ……木村、シュートだ!!」
(ボンッ!!)
最初の方と同様、ボールを高く上げる。
健太は、落下地点に向かって走る。
「これで……終わりにする!!」
終了30秒前。
この一発が入るか入らないかによって、延長か否かが決定する。
それを考えてなのか、
「させない!!」
またしても和樹がトラップに入る。
「これで……終わりにする!!」
「ここで止めて、疲れている体でも、延長までもっていく!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」
ボールに先に触れるのは、健太の方か。
それとも、和樹の方か。
このまま逃げ勝つのか、それとも延長か。
運命の一発が、ここに決定する。
「はぁ〜疲れた」
競技がすべて終わり、健太達は、競技場を出た。
競技に参加した者も、そうでない者も、皆疲れていた。
「バスケの優勝、おめでとう」
「ああ、ありがと」
大貴は、あくまでクールに返す。
その隣では、ミサが悔しそうな表情で、
「まさか一回戦負けするなんて……」
「け、けど、ミサも結構格好よかったよ」
落ち込んでいるミサを、かなえが慰めていた。
「ねぇ健太。約束、覚えてるよね?」
「へ?あ、うん。覚えてるよ」
愛が、健太の元へやって来て、そのことについて確認する。
「いつにするかはまた連絡するから。絶対に守ってね。絶対だよ!」
「わかったって……」
念を押されて、健太は頷いていた。
その時。
「健太〜!!」
「この声は……和樹!」
健太達に向かって、和樹が走って来た。
「あっ!和樹じゃねぇか!久しぶりだな〜」
「吉行も元気そうだね。早乙女さんも」
「おかげさまでね〜」
(ギュッ)
言いながら、愛は健太の腕に掴まる。
「……そういうことか」
それだけで和樹は、すべてを理解したらしい。
「ところで、どうしたの?」
「え?あ、そうだ。言いたいことがあったんだった」
和樹は健太に向かい、こう言った。
「……優勝、おめでとう」
「……うん」
あの時。
最後にボールに触れたのは、健太だった。
そして、ゴールを決めて、そのままゲームセット。
よって、相馬学園サッカー部が、優勝を果たしたのだった。
「……また、健太と試合をしてみたい」
「……僕も、和樹とまた試合できたらいいな」
(ガシッ)
最後に二人は握手をし、別れた。
そして時間は流れ、七月となる。
次回は、ちょっとした登場人物紹介です。




