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その82 球技大会 7番目

いつからスポーツ小説になったんだ、これは……

「ハァハァハァ……」

「相手ピッチャーがばててきてますね」

「今がチャンスだ。タイムお願いします!!」


ここで、キャプテンがタイムを申し込む。

そして。


「代打!神内えりな!!」


ついに、えりなが代打に出た。


「ここで、神内が?」

「一体、どれほどの実力が……?」


健太達は、えりなの登場に、少々驚く。

果たして、えりなにどれほどの実力があるのだろうか。

その、第一球。



(シュッ)



コントロールよく、真ん中に来る直球。


「……」

「え?何で振らないんだ?」


えりなは、ストライクゾーンだというのに、振ろうとはしない。

そのまま。



(パン!)



ボールはグラブに吸い込まれる。

しかし。

その判定は。


「ボ、ボール!」

「「「「何〜!!??」」」」


一同は、その判定に驚いた。

ボールが入った所は、確かにボールコースだった。

ど真ん中から垂直に落ちる、ボールだった。


「今の球を予測するなんて……」

「なんてバッターなんだ……」


相手チームは、驚きの色を隠せない。

それだけ、今の球に意味があったのだろう。


「こうなったら……ここよ!」


実際には叫ばず、キャッチャーは、次の球を指定する。

ピッチャーは頷き、そこへ投げようとする。

しかし。



(ツルン)



「あ……!!」


汗で滑ったのか、甘いコースに入ってしまう。

えりなは、その一瞬を見逃さなかった。



(カキ〜ン!!)



「くっ!」


苦い表情を見せる。

それだけ悔しかったのだろう。

打球は、どんどん勢いを増して飛んでいく。

そして。



(トンッ)



「ほ、ホームラン!!」


何と、ホームランを打ったのだった。


「おいおい、マジかよ……」

「ほ、ホームラン……」


この一発は、会場内を動揺で埋め尽くした。

もっとも、喜びの声も目立つのだが。


「ピッチャー交代よ!」


ついに相手は、ピッチャーの交代を宣言した。


「ピッチャー……早乙女愛!!」


その言葉と共に、愛はマウンド上に上がった。


「愛って……ピッチャーだったんだ」

「へぇ……それは知らなかったなぁ……」


吉行は、感嘆の言葉を述べる。

そして、気になる愛の第一球。



(スパーン!)



「は、速い……」

「な、何てスピードだ……」


ど真ん中ストライク。

ただし、その速度は、バットに当てることを許さない程であった。


「ストライクツー!」


こうしている間にも、愛はストライクを取っていく。

そして。



(パァン!!)



「ストライク!バッターアウト!!」


あっという間にアウト一つを取っていた。


「す、凄ぇ……」


いきなりの死力を尽くした勝負。

果たして、勝つのはどちらなのか……?















試合は、里川高校が一点入れて相馬学園に追い付いた為に、この最終回が勝負となった。

愛は、そのリリーフぶりを発揮し、ここまで愛自身の失点は0。

かなりの好投だった。

それがここまで続いているのだから、スタミナもあるほうなのだろう。


「ここを抑えたら、次の回で私に回る。そして、健太との約束を、果たす!」


やる気十分の愛に対する次のバッターは、えりな。


「……要注意人物ね」


愛は呟く。

えりなも、真剣な眼差しへと変わる。


「最初はここで」

「はい」


愛は、キャッチャーと無言の会話を交わすと、ど真ん中にストレートを放った。



(パァン)



まずはタイミングを取るえりな。


「そう簡単には、打たせないわよ」



(シュッ)



愛は、次の球を投げる。

その球を、えりなは振った。



(チュン)



バットに掠り、別の方向にボールが飛んでくる。

その方向には、健太達がいた。


「こ、こっち来る!」

「よ、避けろ!」


大貴の言葉と共に、何人かは安全を確保する。

しかし、逃げ遅れた人が一人いた。


「あ、あれは……壇上で宣誓してた人だよ!」

「も、もしかして……」


マコの言葉に、健太は何かに気付く。


「ああ。多分、尾崎早織だ」



(ダッ!)



大貴の言葉と共に、健太は早織の所へと走っていた。

















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