その7 いろいろあるわけですよ 4番目
本日最後の投稿です。
今でこそ一日3回更新をしていますけれど、だんだん少なくなっていくかも……。
新キャラ登場です。
ただし、この新キャラはしばらく出番なしですが……。
「まさか黒川高校と一緒とはな」
屋上に上り、健太と吉行は話をしている。
「いや、里川だよ。下の4つの点はつけなくていいんだよ」
健太は、吉行の細かいボケも見逃さなかった。
「里川っていうと、あいつがいるところじゃなかったっけ?」
「ああ。幼稚園からの幼馴染だった『早乙女愛』がいるところだね」
「ところが、俺達がこの相馬高校に入学したときに、親の都合とか言って引越したおかげで、
里川高校に行っちゃったんだよな!くそー!!なかなかいい感じだったのに!!」
吉行は一人、南の方角を向いて吠える。
「……いや、吉行と愛は付き合ってないでしょ」
「そこはのってくれよ〜」
「はぁ」
吉行の発言に、健太は少し息を吐いた。
「久しぶりに会えるんだなぁ〜」
「そうだね。結構可愛かったしね」
「結構じゃない!凄くだぞ!何せ早乙女は、俺らの学年の中で一番モテたんだからな!」
吉行は、やや早口で、やや強めにそう言った。
まるで、何かに取り付かれたように。
「……吉行、もしかして、愛のことが好きだったのか?」
「え!いや、あの、その……そういうわけじゃ……」
顔を赤くする。そんな吉行を見て健太は少し呆れる。
「……まぁいいや。とにかく僕は帰るよ」
屋上を後にしようとした健太だったが、
(ガシッ)
袖を吉行に掴まれた。
「待ってくれよ。もう少し話そうぜ〜」
「いや、今日はもう帰って昼ごはんを……」
何がなにやら戸惑うしかない健太。
と、その時だった。
「そこの人!」
という、大きな声がした。
「「え?」」
2人声を揃える。その先にいた人物は……
「この子が困ってるでしょ!いじめはやめなさい!!」
見たこともない人だった。
入学式のときにも見なかった顔なので、恐らくは上級生なのだろう。
「いや、俺は別にいじめてなんか……」
吉行が反論を述べようとしたが、
「ほら!とっとと離れる!!」
(ドン)
と、突き放されてしまった。
「あの……あなたは一体……?」
健太はその女性に尋ねる。
その女性は、茶色くて長い髪の毛を風になびかせて、
「私は、真鍋瑞穂、高校2年生で生徒会副会長よ」
とだけ答えた。
「何か、ひどい目にあったぜ」
吉行は、愚痴をこぼしながら帰り道を歩く。
「まぁまぁ。もう済んだことなんだし」
「まさかあそこで生徒会の副会長さんが来るとはな〜。ちょっと考えてなかったぜ」
「まぁ……まさかのことだよね」
時刻にして12時。
もうお昼の時間帯だ。
「いいよなぁ〜お前は。帰りが遅くても誰にも怒られないし」
「まぁ、1人暮らしだからね」
そう、健太は今、アパートで1人暮らしをしているのである。
家からでは遠い学校に行くということで、両親が家賃を払ってくれて、ちょっとした自由が
あるのだ。
もちろん、自炊生活だ。
「とにかく、1週間後が楽しみだな」
「そうだね」
話は、オリエンテーション旅行についてのことに変わる。
「何か持ってくる?」
「何かって?」
「ゲームとか」
結構リアルな話である。
「いや、別に持ってこないけど。そもそもゲーム自体持ってないし」
「ああそうだったっけ。俺のゲームでよかったら貸してやろっか?」
「いいよ。どうせやる暇なさそうだし」
そして、歩いているうちに、健太のアパートの前まで来た。
「それじゃまた明日」
「また明日」
吉行と別れて、健太はアパートの自室へと入っていった。