その77 球技大会 2番目
選手宣誓です。
新キャラ登場です。
開会式。
「ではこれより、開会式を始めます」
「あれ?何で司会を先生が……?」
「さぁな。外川先生の考えることはさっぱりだ」
何故か球技大会の司会まで、外川が受け持っていた。
ひょっとすると、目立ちたがり屋なのかもしれない。
「まずは、この球技大会の発案者である、四季高校校長、風間秀樹校長、お願いします」
外川の言葉と共に、一人の男性が壇上に上がる。
何やら発言力のありそうな、威厳ありそうな男だった。
「皆さん。おはようございます」
そんな人物の第一声が、これだった。
「い、意外だ……」
大貴は、思わずそう呟いてしまった。
しかし、そんなことも気にせずに、風間の話は続く。
「この球技大会を思いついたのは、今から約5年前の話でした」
「5年前か……わりと最近だな」
誰かがそう呟く。
男の話をまとめると、こうなる。
この大会を思いついたきっかけは、県内私立高校の会合の時だった。
そこで、6校の校長が、話をしていて、その時議題になったのが、『交流イベントについて』だった。
なかなかいい案が思い浮かばないまま、時間だけが過ぎていく。
やがて、窓から入ってくる日の明かりが、赤色に変わった時。
ある人物が、窓の外で行われている、ある競技に目をつけた。
それが、サッカーだった。
その人物こそが、今壇上に上がっている、風間その人なのであった。
「ふ〜ん。その頃から、こういうイベントをやること考えてたんだ」
「凄いね〜」
大貴と健太の二人は、どこか感心していた。
「確かに、そうかもね」
隣に並んでいるミサも、そう言っていた。
「では、これで私の挨拶を、終わりにします」
そして、風間は一礼すると、壇上から降りた。
「続きまして」
ここで再び、外川の声が、マイクより発せられる。
「選手宣誓。生徒代表、大木高校より、尾崎早織さん、お願いします」
「尾崎早織?もしかして……」
「知ってるの?大貴」
「……いや、何でもない。勘違いかもしれない」
大貴は、その名前に聞き覚えがあったらしい。
早織と呼ばれた少女は、壇の前まで歩いてくる。
緑色のロングヘアー、整った顔立ち、緑色で見る者を魅了するような瞳。
早織を一言で表すのなら、『美しい』だろう。
「宣誓!」
右手を挙げ、言葉を発する。
その声は、よく透き通っていた。
「やっぱりだ……」
「何が?」
またもや何かを呟いた大貴に対して、健太が尋ねる。
大貴は、健太の方を見て、言った。
「あいつはな、俺の中学の時の同級生なんだよ」
「へ〜あんなに美しい人が……羨ましいかも」
「……お前、そのセリフ、人前で言ってみろ。殺されるぞ?」
聞こえていなかったのか、聞き流したのか、健太はその言葉に反応しなかった。
そんな中、宣誓は続く。
「我々は、スポーツマンシップに則り、正々堂々戦い抜くことを誓います。平成21年6月13日。生徒代表、大木高校2年、尾崎早織」
早織の宣誓の終了と共に、球技大会は、始まった。