その66 体育祭 7番目
体育祭編は、次回でラストです。
その次は、ちょっとシリアスな話を入れたいと思います。
『続きまして、一年女子による、旗取り合戦です』
会場に、アナウンスの声が響き渡る。
どうやら次は、一年女子の、旗取り合戦のようだ。
「これまた危ない競技を持って来たね……」
「というか、男子と女子で、競技を分けていいのか?他の学年がやること、なくなるぞ?」
大貴が、競技の心配をしているのを無視して、女子達が入場してきた。
「さて、今日は思いっきり楽しむわよ、かなえ」
「そうだね!」
「よ〜し!ボクは旗を取りにいくぞ〜!!」
純粋にこの競技を楽しもうとする三人。
ただし、マコは健太にいい所を見せようとしている。
「それじゃあみんな!思いっきり楽しむわよ!」
「「「「お〜!!」」」」
ミサ先導のもと、1−Bの女子の声が重なる。
どうやら、1−Bの女子の中では、ミサはリーダー格にあるらしい。
ここで、旗取り合戦のルールを説明しよう。
まず、敵陣の旗を取りに行く人と、旗がついてる棒を守る人のふたグループに別れる。
後は、敵の旗を先に取れば勝ち。
単純なルールながら、騎馬戦の次に危険な競技でもあった。
ただし、女子がそれをやるとなれば、多少危険度は減少するが。
「私は取りに行くわよ」
「美奈、気合い入ってるね」
いつもよりも気合いが入っている美奈に、かなえが尋ねる。
「そうね。なんだかやけにやる気が出るわ」
「ボクもだよ〜!」
「雛森さんまで……」
いつにもなくハイテンションな二人に、かなえはついていけなくなる。
そんなかなえを置いていき、
『位置について〜』
アナウンスが流れる。
それと同時に、各人準備にかかる。
『よ〜い』
(パン!!)
そして、競技が始まった。
「行くわよ!かなえ!マコ!!」
「「うん!!」」
美奈に続き、何人かが旗を取りに行く。
ミサは、旗を守る役だ。
「ここから先は、通さないわよ!」
「無理矢理でも、通らせていただくわよ!!」
ミサと他の組の女子との、戦いが始まった中、美奈達は、赤組の旗の所に到達した。
「ここから先は通しませんよ!」
「夏美さん!」
かなえの前に、夏美が立ちふさがる。
「これは競技だから……許して、夏美さん!」
かなえは、夏美の横を通り過ぎようとする。
しかし、その位置を予期したかのように、他の女子が入って来た。
マコの方も、同様であった。
「他の女子も、囲まれた……?」
「私達のフォーメーションは完璧よ。これを突破出来るものなら、突破してみなさい!!」
A組のリーダー的な人が、笑いながらそう言う。
しかし。
「突破出来たわよ?」
「はぁ!?」
棒によじ登って、赤色の旗を手にしている美奈を見た時、その人は卒倒した。
「さて、次よ!……って、残るは緑組だけね」
黄色組の旗は、すでに緑組によって取られていた。
つまり、青VS緑の一騎打ちということになる。
「行くわよ、みんな!」
「多分、美奈一人で勝てるよね、これ」
「行くよ〜!」
緑組の所まで、一気に走る。
「なぁ、健太」
「何?」
「これ、女子の競技だよな?」
「そうだけど?」
「何故か、戦国時代を思い出すんだが……」
「奇遇だね、僕もだよ」
健太と大貴は、女子達の姿を見て、そんな感想を持った。
「これで、終わりよ!」
(バッ!)
「んなっ!?と、飛んだ!?」
「アイツ、とうとう人辞めたか」
大貴が、そんな感想を漏らしていた。
そんな中、意外とあっさりと、決着はついていた。
結果、青組の勝ちだった。