その65 体育祭 6番目
騎馬戦編です。
男子だけしか登場しません。
逆に、次回は女子中心の話です。
午前中の競技がすべて終了し、ここからは午後の競技となる。
午後最初の競技は、一年生による、旗取り合戦だった。
「ある意味では騎馬戦の次に危ないとされるこの競技……まさか俺達がやることになるとは」
「思ってもみなかったな」
「あれ?旗取り合戦って、こんなにオーラが違う物だったっけ?」
健太は、いつもとは違うみんなのオーラを、感じていた。
今回は、男子の番というだけあって、その威圧感は凄いものである。
「大丈夫だろ。俺達三人が組めば」
「向かう所敵なしだぜ!」
「あの、いつから僕達最強コンビになったの?」
健太が、二人に突っ込みをする。
騎馬戦において、この三人で馬を作っていた。
「よっしゃ!絶対勝つぞ!!」
「「「「「おおおおおお!!!!」」」」」
吉行の雄たけびに、クラスメート達は声を合わせる。
他のクラスでも、同様のことが発生していた。
「なんだか、大変なことになったような気がする」
「まぁ、副賞がでかいからな。それだけに、やる気も大きいんだろうな」
「副賞って、恐ろしい……」
大貴の言葉に、健太はそう呟いた。
「何がともあれ。俺達三人は、決して帽子を取られることはないだろうな。健太、大貴!
いっぱい帽子取ってやろうぜ!!」
「うん!」
「おう!」
健太と大貴と吉行は、最後まで生き残ることを誓い合った。
ここで、軽く騎馬戦についての説明をしておこう。
まず、三人でひとグループを作る。
次に、そのグループで、二人が土台で、その上に一人乗っかる形の馬を作る。
上に乗っかっている人は、自分の色の帽子をかぶる。
後は、他の人の帽子をたくさん奪い取るのみ。
奪った帽子の総数の多い組が勝ち。
ただし、奪われたグループは、即刻戦場から去るのが原則だ。
『それではみなさん!位置についてください!!』
「いよいよだな……」
「そうだね」
「絶対勝つぞ」
「うん」
三人で、もう一度確かめ合う。
そして。
『よ〜い、始め!!』
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」
戦いの火ぶたは、切って落とされた。
「よっしゃ!まずはあそこだ!!」
「OK!」
(パシッ)
「あっ!」
(パシッ)
「くそっ!」
順調に帽子を取っていく、健太達。
その健太達の前に、
「悪いな!取らせてもらうぞ!!」
智也のグループが現れた。
「健太!そいつから一旦離れるぞ!!」
「え?う、うん!」
「あ、お、おい!待て!!」
吉行の判断で、智也から離れる。
納得いかない様子の智也は、そんな健太達を追いかけようとするが。
(パシッ)
「……え?」
「もらいました」
「……あああああああああああああああああああああ!!」
あっけなく、他の人に取られた。
「ふぅ……危なかったぜ」
「さすが吉行。こういう時の状況判断は、プロ級だよね」
「褒めても何も出ねぇぞ!」
「とにかく、このまま突き進むぞ!」
「うん!」
その後、健太達は、一度も帽子を取られることなく、15個もの帽子を取った。
結果、圧倒的な数を占めた青組が、騎馬戦で一位を取ったのだった。
そして、次は女子の競技の番だ。