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その63 体育祭 4番目

体育祭編は長いですよ。

ひょっとしたら、新キャラも登場するかも。

「次はいよいよ相沢の番だな、健太」

「……何故僕を見て言う?」


健太は、自分を見てそう言ってきた吉行に、そう言った。


「……気づいてないのは本人のみ、ってか」

「何が?」

「……いや、なんでもない」


呆れたように、前を見る。

そんな吉行の態度に疑問を感じながらも、健太も前を見る。

かなえと、その隣にいる人達は、走る準備をしていた。


「そろそろ始まるな、健太」

「だから何で僕を見て言う?」


全然意味が分かっていない健太。

もはや何も言うまいと言った顔で、吉行はもう一度前を見た。


「位置について。よ〜い」



(パン!)



かなえは、懸命に走る。

前へ前へと進む。


「がんばれ、かなえさん!!」


健太は、かなえに向かって応援していた。


「行けー!!」


吉行も、健太につられて応援する。

その甲斐あってか、かなえの順位は、2位となった。















『次は、借り物競走……え?違う?借り人競争?……次は借り人競争です』

「借り人競争?なんだそりゃ?」


アナウンスに対して突っ込みを入れる吉行。


『ご説明しましょう!』

「……あれ?」


微妙な違和感を感じたが、気にしないことにした。


『借り物競走のように、封筒がある所まで走ります。封筒を拾ったら、中身に書いてある紙の

 指示に従って、その指示に準ずるような人を見つけてきてください』

「ようは、借り物競走で借りる物が、人になっただけなんだな」

『御名答!』

「……なぁ、さっきから何か、変じゃないか?このアナウンス」

「気にしちゃいけないんだよ、多分……」


1−Bでこのクラスに参加するのは、大貴と健太とマコと、その他何名かだった。


「早く行こうぜ、木村、雛森」

「あ、うん!」

「がんばろうね、健太君!」


心からの笑顔で、マコは言う。


「うん!」


健太も、心からの笑顔で、マコに言った。

そんなやり取りを見て、複雑な表情を浮かべる人物が一人。


「……」

「どうした?相沢」

「へ?あ、ううん、なんでもないよ」


取り繕うが、目線の先には、健太がいる。

吉行は、そんなかなえの心境に気づいてか、


「大丈夫だよ」


と、声をかけていた。


「え?」

「相沢が考えてるようなことは、健太に限ってないから、安心しろ。ああ見えてもあいつは、

 お前のことも満更じゃないみたいだからな」

「……そう、なんだ」


少しかなえの顔に笑顔が宿る。


「……ところで相沢」

「何?」

「お前、健太のこと、どう思ってるんだ?」

「え?」


突然降りかかってきた質問に、かなえはそんな声を出してしまう。


「正直に答えてくれ。相沢。お前は健太のことを、どう思ってる?」

「……私は、健太君のことが、好き」

「……いつからだ?」

「多分、出会ってからすぐ、だと思う。気づかされたのは、あの日……」

「あの日?」

「展覧会に行ったんだ、健太君と」

「……ああ、あの日か」


思わず吉行は呟いてしまった。

その呟きを、かなえはかすかに聞いていたのか、


「何か言いました?」


と聞かれた。


「あ、いや、何でもない。それで、展覧会に行った時に、自分の気持ちに気づいたのか」

「……うん。前に助けてもらった時は、健太君のことを尊敬してた。けど、いつからか

 それは尊敬から、好きに変わってた」

「……そっか。なら、その気持ちを忘れるな」


吉行は、まじめな顔でかなえに言った。

かなえは、黙って頷いた。


「よっしゃ!今は健太達を応援しようぜ!!」

「うん!」


笑顔でかなえは答えた。
















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